2018.03.02一緒に。もっと、

【犬種シリーズ】こんなレトリーバー種もいた!~ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバー

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【犬種シリーズ】こんなレトリーバー種もいた!~ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバー

文と写真 藤田りか子
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知られざるレトリーバー

レトリーバーという犬種はよく知られているけれど、それはラブラドールやゴールデン・レトリーバーに限っての話。レトリーバーという種には他に4種、つまり全6種存在するのをご存知だろうか。これら犬種名を全てそらで 言える人がいれば、それはかなりのレトリーバー・フリークだろう。 それに中には一種、非常に覚え難い名前を持つ犬もいる。

「ノバスコシア・ダック・トーリング・レトリーバー」

こんな風にやたらと単語が並ぶ犬種は、他にもキャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、とかウェスト・ハイランド・ホワイト・テリアがいる。ただしこうも名前が長くなると、日常の会話では名前を省略せざるを得ない。前者はキャバリア、後者はウェスティというニックネームを持つ。そしてノバスコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの場合、トーリングの部分をとって「トラー」と英語圏の人は呼んでいる。

トーリングとは?

トラーは名前だけではない、犬種世界全体からみても、その歴史的使役はとてもユニークだ。レトリーバーと呼ばれているものの、ラブラドール・レトリーバー(以下ラブ)に比べると、その専門性はやや低いかもしれない。というか、トラーには他に得意技があるからだ。それがトーリングという芸。名前の由来にもなっている。トーリングというのは、遠くの水面にいるカモなどの水鳥を射程距離に近づけさせるべき、おびき寄せる技のことをいう。そのおびき寄せ方だが、狂ったように水辺で犬は走り回る。鳥は「何をやっているのだろう」と好奇心を持って岸に近づいてくるのだ。射手はその間ブラインドに隠れシューティングのチャンス到来を待つ。

なぜトラー?

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狂ったように走ってもらうよう、ブラインドに隠れている人はテニスボールを投げては犬に回収させる。これをラブにだってやらせてもいいではないかと思うだろう。だが、ラブは真面目すぎて、まっすぐにボールを持って人のところにやってくる。それでは、「狂った」雰囲気が出ず、鳥になんの興味も沸かせない。トラーの遊び心満載のピョンピョンした動きこそが、カモ達の好奇心をくすぐる素晴らしい効果を生み出すのだ。さらにロングコートであるのもアドバンテージ。フリンジのある尾が走っているときに高く掲げられ、ヒラヒラと左右に動く。遠くからでもより目につきやすくなるわけだ。

一見小型の赤いゴールデン・レトリーバーと間違えられやすい。がトラーは狩猟のシーンのみならず、日常でも動きのいいアクティブな犬。ゴールデンのおっとりとした部分を期待して飼ってはいけない 。敏感だから反応も早く、レトリーバー界のボーダーコリーとも呼ばれる所以である。間違った飼い主の元では神経質な犬になるリスクも大だ。

カナダ原産、北欧で大人気

 

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体高は45cmから50cmほど。
柴ほど小柄ではないが、ラブほど大きくもない。

ほとんどのレトリーバー種はイギリスを原産としている。トラーはカナダの東岸ノヴァ・スコシア半島を故郷とする。その地以外で滅多に見ることのない犬だが、北欧は、ドッグスポーツの友としてトラーが世界でも人気の高い国である。狩猟犬として、というよりもやはりオールマイティにスポーツができる家庭犬として好まれている。敏感ゆえ、決してビギナー向けの犬ではない。間違ったこともあっという間に覚えてしまうからだ。

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藤田 りか子(ふじた りかこ)

ドッグ・ジャーナリスト。レトリーバー二匹と自然豊かなスウェーデン・ヴェルムランド県の小さな村に在住。スウェーデン農業大学野生動物管理学科にて修士号を得る。犬の繁殖管理や福祉の先進国スウェーデンはじめ北欧の犬情報はもとより、ヨーロッパ各地の純血種の知識に詳しい。著者に『最新世界の犬種図鑑』。 現在ノーズ・ワーク(嗅覚を使うドッグスポーツ)に夢中、コンペティターでもある。