2017.10.27一緒に。もっと、

【犬との暮らし】都会の犬たち9~散歩しなくてもいいんですか?

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「都会の犬暮らし」連載第9回目は、あたりまえのような散歩のお話しです。

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運動すれば散歩はいらない?

都会の住宅事情は郊外とはまったく違うものがあります。まず土が無い。散歩に行っても硬いアスファルトが続き、街路樹もまばら。夏の散歩が地獄と感じるほど、犬には全く優しくない環境であることは確かです。そんなに優しくない散歩なら行かない方がいい。と考えるのは当然です。それでも多くの飼い主たちは、なるべく涼しいうちにと夏場は朝5時台に散歩に出、夕方はアスファルトが少し冷えるのを待ってから散歩に行きます。

そんな思いまでして犬を散歩に連れ出したくない。と思われる方もいるかもしれません。特に小型犬の場合は、「家の中を走り回っていれば運動は十分だから、散歩に連れ出さなくてもいい。」とペットショップで言われたという方もいらっしゃいました。では、散歩は運動の為だけに行くのでしょうか。

家の外には様々な音やにおいがあります。家族以外の人間、犬、車、バス、トラックなど、家の中では見られない多くのものがあります。例えば、愛犬を一生家から一歩も出さないのであれば、散歩に行かなくてもいいのかもしれません。でも、現実的にそんなことは可能でしょうか。小型犬だからこそ、公共交通機関にもクレートに入れていれば持ち込みが出来ます。カフェやショッピングだけでなく、旅行にだって気軽に連れて行かれるのです。でも、もしあなたの愛犬が家の中しか知らなかったら、愛犬にとってあなたとの旅行は楽しいものになるでしょうか。おそらく、怖くてクレートから一歩も出られないのではないでしょうか。

中・大型犬の場合、散歩だけで運動不足を解消しようと思ったら大間違いです。作業犬種であれば、当然のことながら実働時のような運動量を都会暮らしに求めることは無理があります。日に何キロも移動する牧羊犬や狩猟犬などが満足できる運動量を一日の散歩でまかなうことは出来ません。でも散歩に出ることで犬たちは多少なりとも満足し、日中飼い主が出かけていても寝ながら待つことができるのです。つまり犬たちにとって散歩のメリットは運動だけでないということです。

犬の五感は情報収集の要

犬も人間同様、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感があります。特に聴覚、嗅覚に関して言えば、人間よりはるかに優れていると言っていいでしょう。怪しい物音がすればいち早く察知し、失くしたおもちゃや隠れたおやつもしっかり探しだしてきます。そんな彼らにとって、家の中だけの刺激で五感を満足させることができるのでしょうか。

犬にとって情報収集はとても大切なこと

嗅覚を使って彼らは様々な情報を収集していきます。その場所を誰が通ったのか、地面の匂いや他の犬の排泄物などから多くの情報を得ています。屋内トレーニング場などでも、前日に来た犬たちの匂いがあまり強すぎるとレッスンに集中出来なかったり、飼い主が外出先から戻った時は、歓迎する前にまず着ている洋服の匂いをひとしきり嗅いだりします。犬同士の挨拶も同様で、互いのお尻の匂いを嗅ぎ合ってお互いを認識しています。

犬にとってこんなに重要な嗅覚を日常的に使わないでいるということは、脳が活性化されないということにもつながります。犬の鼻なんて大して利かないだろうと思っている人は、一度部屋の中におやつを隠して愛犬に探させてみてください。彼らは何を言っても耳に入らないくらい集中して鼻を駆使しながらおやつを探し出してくれるでしょう。

「ウチの犬は床に落ちたおやつひとつ探せない」とおっしゃる方がいますが、最後までよく観察してみてください。一度は落ちているおやつと反対の方に行ってしまっても、空気中にひろがった浮遊臭から匂いの元を探り当て、最後にはおやつに辿り着くことができるはずです。動体視力がいい犬たちにとって、転がって行くおやつを追いかけることはたやすいのですが、一度床に落ちてしまうと目で追うことはとても難しくなります。しかし、おやつから漂う匂いを拾っていくと、最終的にはおやつを見つけることができるのです。
最近流行の犬の嗅覚を使ったノーズワークですが、我が家では先住犬の時(20年前)から、悪天候で外に出られない日などは家の中に隠したおもちゃを探す探し物ゲームとして大活躍でした。食べ物はすぐ見つけてしまうので、愛犬の大好きなおもちゃを別の部屋に隠して探してきてもらうのです。部屋のどこに隠したのか一生懸命鼻を使いながら探す犬はそれだけでかなり頭を使い疲れてくれたものです。

それなら家の中で探し物ゲームをすれば散歩がいらないかと言うことではありません。彼らにとってそれだけ重要な能力である嗅覚は散歩の時に発揮することで、健康的な日々を送ることができるのです。毎朝窓を開けるたびに、窓の傍まで走ってきて外の匂いを嗅ぐ犬たちの様子を見ていると、今日はどんな日?と聞きたくなってしまいます。

老犬は帰り道の体力も考えておきましょう

同様に老犬にとっては刺激を得る絶好の機会なので、なるべく散歩に連れ出してあげることをお奨めします。外の様々な匂いや音、動くものなどが脳を刺激してくれるので、痴呆の予防にもなります。退屈は健康の敵とも言えるので、歩きづらそうだからと家の中に閉じ込めておかず、自力で歩けるうちはなるべく外に連れ出してあげましょう。往きは元気に歩けても、帰りは疲れてしまうこともあります。時間を調整しながら、場合によっては、帰りはカートに乗せてくるつもりでお散歩に出かけてみてはいかがでしょう。

散歩は経験値をあげる勉強の場

人間社会で生きていく犬にとって、日々遭遇する様々なものに対して慣れていくためには散歩は欠かせません。若い犬にとっては、家の中の家族だけが人間だと思ってしまうと、外に連れ出したとき、子供や老人、傘をさした人、黒い服を着た人、サングラスをかけた人など、様々な人と出会うたびに興奮してしまい、飼い主の声が聞こえなくなってしまうこともあるでしょう。

散歩はいろんな刺激に出会うチャンス

警戒心の強い犬にとっては、ちょっとした違いに対して神経過敏になってしまうこともあります。毎日外に連れ出して一緒に歩くことが、犬たちにとって飼い主との関係性を深めるだけでなく、人間社会にある様々な物に早く慣らしてあげられる絶好の機会と言っていいでしょう。

おわりに

当たり前のことですが犬は生き物です。中には小さくて、とても激しい運動には耐えられそうもない犬もいるでしょう。でも自身の足で外を歩くことで、精神的に自立させてあげることができます。特に警戒心の強い犬の場合は、自分で安全を確認させてあげることで警戒吠えを減らすことにも繋がります。肉体的だけでなく、精神的にも健康でいるためには散歩は欠かせない日課と言ってもいいでしょう。毎日少ししか時間が取れなくても、是非愛犬と一緒に外に出てみてください。愛犬の新しい一面を発見できるかもしれませんよ。

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三井 惇(みつい じゅん) CPDT-KA、ドッグトレーナー/ドッグダンスインストラクター、ホリスティックケア・カウンセラー

三井 惇(みつい じゅん) CPDT-KA、ドッグトレーナー/ドッグダンスインストラクター、ホリスティックケア・カウンセラー

1997年に迎えたボーダーコリーと始めたオビディエンス(服従訓練)をきっかけ に、犬の行動学や学習理論を学び、2006年WanByWanを立ち上げる。愛犬の出産、子育て、介護と様々な場面でも多くを学び、愛犬のQOLの向上を目指して2008年にホリスティックカウンセラーの資格を取得。2016年自身のトレーニング方法を再確認するために世界基準のドッグトレーナー資格CPDT-KAを取得。現在、4頭目と5頭目のボーダーコリーとドッグダンスの楽しさを広めながら、東京近県で出張レッスンを行っている。
三井 惇(みつい じゅん) CPDT-KA、ドッグトレーナー/ドッグダンスインストラクター、ホリスティックケア・カウンセラー

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