2017.06.29一緒に。もっと、

【犬との暮らし】都会の犬たち5~ビビリは性格?

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「都会の犬たち」連載5回目は、犬の社会化のお話です。

子犬の社会化がいかに重要かということは、今では当たり前のように言われていますが、社会化は子犬だけのものではありません。強いて言えば、犬にとっては一生続くと言ってもいいかもしれません。もちろん、生まれた時から一生同じ場所で生活し、一度も外に出ることが無いのであれば社会化は必要ないかもしれませんが、それでも宅配便なども含め、来客が一度もないことなどあり得ないことなので、犬にとってのストレスを軽減させるための社会化は全ての犬たちにとって欠かせないものではないでしょうか。ましてや都会で暮らす犬たちに、目まぐるしく変わる周囲の環境への免疫力をつけてあげることは飼い主の大事な役割と言ってもいいでしょう。

トレーナー三井さんのこれまでの記事はコチラ→ 三井さんの記事一覧

社会化の重要性

一般に犬の社会化と言われているのは、子犬の成長過程の中で、好奇心が旺盛で、いろいろなものを難なく受け入れやすい時期に、新しいものになるべく多く触れさせて恐怖心を持たせないようにしていこうというものです。そのために、新しい家族の元にきたら、ワクチンプログラムなどの関係で直接地面に下ろして散歩ができなくても、抱っこやカートに入れて外に連れ出し、多くの人や、もの、車など、日常生活の中に当たり前に存在するものに早く慣らしてあげることを言います。

「そんなことは、あとからゆっくりやればいい。」とついつい思いがちですが、子犬にとって、ストレスが少ない状態で外部の刺激を受け入れやすい時期(感受期)と言うのは限られた期間しかないので、その時期を過ぎると恐怖心が先に出て、受け入れることに時間がかかってしまうと言われています。タイミングが重要と言われる所以と言ってもいいでしょう。もちろん恐怖心が出ても慣らしていくことは出来ますが、その際、吠える(警戒吠え)などのいわゆる人間にとっての問題行動が出やすくなります。

犬の目線で犬の行動を観察しよう

愛犬が吠えていると、飼い主としてはついつい「イケナイ!」と声をかけてしまいますが、吠える原因を考えてみれば、この場合はただ叱っても治らないことは容易に判断できます。なぜなら犬は「怖い!」と言っているので、それを「怖くないから吠えるな!」と言ってみても、お互いの話しは平行線をたどるだけで解決にはならないからです。その時一時的に吠えが止んだとしても、また別の怖いものと遭遇すれば必ず吠えてしまうでしょう。そう考えると、早いうちから怖いものを少しずつ減らしてあげられると、問題行動が減ってくることに繋がることが予測できます。

社会化はなるべく早いうちから

感受期は生後3週齢ぐらいから12週齢ぐらいまでの間に現れるので、本当はブリーダーの所にいるころから社会化を始めると、犬たちにとってはさらにストレスは少なくなります。母犬や兄弟犬たちとの交流はとても大事ですが、それに加えて人間社会を少しずつ覗かせてあげるというサポートをしてあげると、犬たちは心の準備が出来ているので、新しい家族の元に行ってもいろいろな物への適応が速くなります

ちょっと想像してみてください。もし、あなたがある朝突然言葉の通じない国で目覚めたとしたら。何かを伝えたくても、相手には通じない。相手の言っている言葉も全然わからない。しかもその国の人たちがかなり大きくて、いつも上から見下ろされている。その場から逃げ出したくなりますよね。でも、その国に行く前から、どんな人たちが住んでいて、どんな言葉を使って話しているのか前準備をしていれば、知らない国での生活にも早く慣れることができるでしょう。

社会化は一生続く

幼少期からちゃんと社会化をしてきた犬であっても、当然のことながら、その後遭遇するもの全てが見知ったものではないので、社会化は生涯続いていくといってもいいでしょう。ただ、幼少期に丁寧な社会化を経験してきた犬は、新しいものへの順応が速くなります。怖いからとすぐ吠えるだけでなく、自分で確認しに行こうと考える余力を備えています。多少のことでも、「これは、あれと同じかな。」と言ったカテゴライズ(般化)も可能です。

都会の暮らしは、刺激がたくさん

つまり、様々な色のバスを見た経験があれば、見たことのない色のバスが走ってきても、それも同じバスとして認識して知らん顔が出来るのです。しいて言えば、乗車やトラックもバイクみんな同じで、自分とは関係ないものだと認識することで、いちいち反応することなく、落ち着いてお散歩ができるわけです。慣れない環境にいる状況は、犬にとってはストレスがかかります。愛犬といろいろな場所に出かけた時、それぞれが新しくても、「ここもカフェだからマットの上でお昼寝していればいいんだね。」と犬が理解できるようにしてあげるには、多くの経験をさせることが大事です。

特に都会生活は忙しいもの。小走りで通り過ぎる人、道路をひっきりなしに往来する車、建築現場の騒音、見上げれば高速道路。犬たちにとっては過酷とも言える環境です。のどかな自然の中での暮らしと違い、いつもの散歩コースでさえ日々目まぐるしく変化しています。そんな生活を強いているのですから、犬たちの心のケアは欠かせませんね。

おわりに

しかし、当然のことながら犬にも個体差があります。石橋をたたくようなタイプがいれば、自分からすっ飛んで行くような犬、ちょっと地面の素材が変わっただけでも歩かなくなる子から、人の足を踏んでいても気にならない子まで様々です。ですから、その子にあったペースで社会化をすることが大事です。無理に対峙させるのではなく、犬が自分から確認して納得できる環境を作ってあげることも必要です。

よその子と比べることなく、かといって、この子はこういうタイプだからと決めつけることなく、その場その場の状況に合わせて柔軟に愛犬の様子を観てあげましょう。愛犬も日々成長しています。犬の目線で考えてみると、犬のとった行動の「なぜ?」の意味が自然とわかってくると思います。犬たちが少しずつ目の前のハードルを自力で越えていかれるような抵抗力を付けられるように、私たち人間がサポートしてあげられるといいですね。

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三井 惇(みつい じゅん) CPDT-KA、ドッグトレーナー/ドッグダンスインストラクター、ホリスティックケア・カウンセラー

三井 惇(みつい じゅん) CPDT-KA、ドッグトレーナー/ドッグダンスインストラクター、ホリスティックケア・カウンセラー

1997年に迎えたボーダーコリーと始めたオビディエンス(服従訓練)をきっかけ に、犬の行動学や学習理論を学び、2006年WanByWanを立ち上げる。愛犬の出産、子育て、介護と様々な場面でも多くを学び、愛犬のQOLの向上を目指して2008年にホリスティックカウンセラーの資格を取得。2016年自身のトレーニング方法を再確認するために世界基準のドッグトレーナー資格CPDT-KAを取得。現在、4頭目と5頭目のボーダーコリーとドッグダンスの楽しさを広めながら、東京近県で出張レッスンを行っている。
三井 惇(みつい じゅん) CPDT-KA、ドッグトレーナー/ドッグダンスインストラクター、ホリスティックケア・カウンセラー

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【犬との暮らし】都会の犬たち5~ビビリは性格?」への2件のコメント

  1. shirota

    うちの犬は成犬(推定1~2歳)をボランティアさんから引き取りましたが、すでに何もかも怖がる状態でした…
    2年一緒に暮らしている今は信頼関係もできて少しマシになってますが、ずいぶんと苦労しました。

    こういった社会化についての記事はいつも「これから社会化期を迎える子犬」が対象で、うちの子のような「すでにビビってる成犬」の情報がなかなか見つからないのも苦労した一因です。
    うちは本でもネットでも成犬の情報が足りなかったので手に負えず、訓練士さん(訪問タイプ)のお世話になりました。

    今は保護犬を迎えた友達がたくさんいるのですが、深刻なビビり犬の多さに驚きます。
    そしてみなさん「どうやってビビりを克服したの?」と聞いてきます。
    保護犬・成犬を引きとろうという記事が溢れるなかで、引き取ったあとの情報が少なすぎるのです。
    ちなみにたくさん本も読みましたが、日本の専門家が書いた本は「購入した幼い子犬」が前提で役に立ちません。
    成犬のビビりについて有益な情報があったのは、海外の専門家の本でした。

    これから成犬や保護犬を迎えようという意識が高まるなかで、「過去に何があったかわからない成犬」への情報も増えると助かる人も多いのではないでしょうか。

    1. 「犬のココカラ」編集部 チームGREEN DOG 監修・執筆「犬のココカラ」編集部 チームGREEN DOG 監修・執筆

      コメントありがとうございます。犬のココカラ ライターの三井です。

      保護犬の場合はそれまでの状況がわからず、何に対して怖がっているのかを見つけるのは時間がかかります。
      一口にビビリといっても、その対象や度合が全て異なるために、参考となる文献は無いのかもしれませんね。
      子犬の場合であっても、個体差は大きく、教科書通りにやってもうまくいかないことは沢山あります。

      そのために、まず犬を観察することから始め、無理に引っ張り出すのではなく、自分から出てきたり、近づいたりするのを待つことが重要なポイントとなります。
      人間に対しての警戒心はどうか、子供は?男の人は?などなど、様々な状況への反応を見ながら、もし怖いものがあるとしたら、それに少しずつ慣らしていくこ
      とが必要です。

      例えば男の人が苦手だったら、男の人には絶対動かないで地面に座っていてもらい、手には美味しいものを持っていてもらうなり、男の人の傍に美味しいものを
      置いておくなりして、自分から近寄って行くのを待つことから始めます。※そばに来たからと言って大声で褒めたり、触ろうとすれば逃げてしまいます。

      それも一度で解決するわけではなく、ようやくその人からおやつがもらえるところまでいったとしても、他の男性が大丈夫とは限らないので、こういうことを地
      道に繰り返していきます。この場合はいつでも逃げられるようにリードにはゆとりを持たせておくことが肝心です。

      ただ、その犬が過去に男の人から虐待を受けていたりした場合は、ただの社会化不足とは異なるので、もしかしたら、男性とは一生距離を置く生活になるかもし
      れません。それでも、大丈夫な男性が一人二人と増えていくことで、長い時間をかければ傍を通れるようになるかもしれません。

      犬も個体差があるので、同じ環境にあっても同じ反応を示すわけではないので、その子にあった対応を模索しながら、無理せず、犬の自主性を尊重することで解
      決への糸口は見つかるのではないでしょうか。怖がりの対象をひとつひとつ減らしていくための作業は根気と時間が必要なので、そういう時間が取れる里親さんを探さなければいけないかもしれません。

      shirota様が二年間かけて信頼関係を築かれたように、犬との関係性を確かなものにするには時間がかかることさえわかっていれば、あとは階段を一歩一歩、
      上がって経験値を増やしてあげることで怖いものを減らしてあげられるのではないでしょうか。

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