2017.12.12一緒に。もっと、

お留守番の時に『オーディオブック』でリラックス効果

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お留守番の時に『オーディオブック』でリラックス効果

今回は ガニング亜紀 さんの記事です。
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年末年始の忙しい季節がやってきました。お出かけや来客の機会も増える時期ですね。それは犬たちにとっても、お留守番をしたり別室で待機したりする時間が増えるということ。

そんな時、犬のためにオーディオブックを流しておくというアイデアが提案されています。きちんとした研究に基づいたこの方法についてご紹介します。

最初の研究はシェルターの犬のために

2015年イギリスのハートプリー大学の研究チームが、アニマルシェルターの犬舎に数種類の音楽と他の音を流し、犬たちのリラックス度や興奮度を調査するというリサーチを行いました。

リサーチに使われた犬舎はよく整備された施設で、犬たちの吠える声がひっきりなしに響き渡るような場所ではありません。その中で「何も音を流さない」「クラシック音楽」「ポップミュージック」「犬のためにデザインされたBGM」「朗読のオーディオブック」を1日2時間流し、犬たちの様子を録画観察しました。

この中で犬たちが最もリラックスした状態になり、ウロウロ歩きや吠えなどの行動が減ったのはオーディオブックを流した時だったのだそうです。犬は、ビートの激しいリズムや自然なトーンではない大きな音を好みません。その点で従来は静かな室内楽のようなクラシック音楽が犬のリラックスのために良いと言われていました。

オーディオブックの朗読の声は、クラシック音楽よりもさらに落ち着いたトーンで、人間の声であるという点でも犬がリラックスできるようです。ちなみにこの研究に使われたオーディオブックは『ナルニア国物語』だったそうです。

家庭犬のためのオーディオブック

お留守番の時に『オーディオブック』でリラックス効果

前述のハートプリー大学の論文が発表された後、多くのメディアでこのニュースが取り上げられ話題になりました。そして今年2017年、アメリカのアマゾンが『犬のためのオーディオブック』という企画をスタートさせました。

この企画に先駆けて、同社は犬を飼っている100世帯を対象にして、犬にオーディオブックを聴かせる体験を4週間続けてもらうという調査を実施しています。オーディオブックの朗読者の性別、英語のアクセント、本のジャンルなど、いくつかの違うタイプのものを渡し、1時間以上の留守番の時に流して、その様子をモニターカメラで録画するというものです。結果は76%の飼い主が「犬はいつもよりもリラックスして落ち着いた様子だった」と回答しています。

アマゾンが今夏に開始した『犬のためのオーディオブック』は、この調査の時に特に犬の反応が良かったものを集めて紹介しています。(「犬のための」といっても、犬語でワフワフ言っているのではなく、オーディオブックそのものは人間が聴くために普通に録音されたものです。)

アマゾンではオーディオブックの定額聞き放題サービスを設定しており『犬のためのオーディオブック』というのはその中の1カテゴリーです。このカテゴリー、本のジャンルでは犬が主人公の小説やノンフィクション、古典文学などが多いようです。

オーディオブックを試してみるには

お留守番の時に『オーディオブック』でリラックス効果

犬にオーディオブック、「うちでも試してみようかな」と思われましたか?

選び方や使い方にはいくつかポイントがあるようです。犬をメインで世話している人と同じ性別の朗読者、できれば声のタイプも似ていると理想的なのだそうです。オーディオブックを使う時は1日に2〜3時間を目安に。1日中流していると、慣れてしまってリラックス効果が薄くなるそうです。

ほとんどのオーディオブックはBGMや効果音は入っていませんが、たまにそういうタイプもありますので、犬のためには人間の声の朗読だけのものを選ぶようにしましょう。動画サイトなどにアップされているオーディオブックを利用する場合には途中にコマーシャルが入らないものを選びます。突然音のパターンが変わったり、音楽が入ったりすることでリラックス効果が低くなるからです。(テレビやラジオよりもオーディオブックの方がリラックス効果があるのも同じ理由です。)

我が家でも、留守番の時や、犬の苦手な来客のある際に別室で待たせる時に、タブレットをセットしてオーディオブックを流しています。自分が留守の間の様子はわからないのですが、たまに自分もいっしょにオーディオブックを流して聴く時には、犬たちが落ち着いているような気がします。

温かい飲み物を用意して、愛犬と並んで好きな作家のエッセイや小説を耳で聴く時間、人間にとっても最高のリラックスタイムでお勧めですよ。

おわりに

犬にオーディオブックを聴かせることで、リラックスして落ち着く効果があるというのは興味深いことですよね。犬のためにわざわざデザインされた音楽よりも、人間の声の朗読の方が心が落ち着くとは、犬と人間の関係の深さを表しているようで、犬への愛しさもさらに募ります。

オーディオブックも公共の図書館での貸し出しや無料アプリもありますし、犬たちへの負担は何もありませんので気軽に試してみることができます。

心忙しい師走ですが、皆さんの愛犬が心おだやかに過ごせますように。

《参考サイト》
The effects of audiobooks on the behavior of dogs at rehoming kennels
http://www.appliedanimalbehaviour.com/article/S0168-1591%2815%2900312-3/pdf

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ガニング 亜紀(ガニング アキ)

米国カリフォルニア州在住。2005年から犬との暮らしをスタートして2匹の犬をそれぞれ15歳で見送りました。犬たちとの16年間で知識が増えると犬との暮らしが楽になることを痛感しました。自分が「へ〜!」と感じたことを堅苦しくなくお伝えしていきたいと思っています。