2020.01.20一緒に。もっと、

もっとノーズ、プリーズ!~うまくいかない理由と次のステップ~ノーズワークシリーズその8

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もっとノーズ、プリーズ!~うまくいかない理由と次のステップ~ノーズワークシリーズその8
文と一部の写真:藤田りか子

藤田りか子さんのノーズワークシリーズはこちら

前回からのおさらい

みなさん、前回の宿題はこなすことができましたか?宿題は、紅茶の葉をいれた容器を犬の前に置いたら、自発的ににおいを嗅ぎにいく、というものでした。

もしうまくいかない場合、次のようなことが考えられます。

うまくいかない理由① さっきもうこれ嗅いだよ

犬の性格にもよるのですが、何度何度も勧められると、
「それ、さっき嗅いでチェックしたよ。どうしてまたやらなきゃいけないの。もう、わたし、それが何だかわかっているから、2回嗅ぐ必要ないよ」
と(おそらく)感じる犬もいるのですね。なので、その場合は、何度もやるのではなく、一回嗅いでそのときご褒美にトリーツを与えたら、次のトライまで少し時間をおくこと。その間、犬に話しかける必要もなし。スマホでメッセージをチェックして時間をつぶすのも構いません。私なら、コーヒーでも(お茶でも)沸かしにその場を離れます。そして出していた紅茶の葉が入った容器は片付けてしまいます。これは容器への犬の好奇心を煽るため。練習をするときだけ「パッ」と目の前にだしてあげると、「おや?」とまた近づいていってくれるはず。

適当なタイミングをみはからい、練習を再開します。容器は後ろに隠しておいて、犬の前にさっと出してあげます。鼻をつけると思うので、つけた瞬間にトリーツを与えます。これを何回かくりかえしてみましょう。

うまくいかない理由② トレーニングのやりすぎ

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犬が容器に向かってにおいを嗅ぎにゆくのがついつい面白くなってしまい、私たちが何度もやりすぎて、犬が飽きるという場合もあります。なので、たとえ犬が自主的に何回かにおいを嗅ぎにいってもせいぜい3回ぐらいにとどめて、一度小休止をとりましょう。

小休止をとるときは、犬とコンタクトをとらず、ただボーッとしておくのが大事です。犬の脳を一度休ませるため。私たちがコンタクトを取り続けていると、犬は忙しく脳を働かせねばならず、本当の意味での「おやすみ」タイムにならず。

次のステップ

容器を増やしてみよう

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1. ひとつの容器に鼻をつけることを覚えたら、今度は容器を増やします。ただし、片方は完全に空にしておくこと。つまりにおいの入っている方に鼻をつけたら、ご褒美をあげる、というルールをつくってみてください。

2. きっと犬は増えた容器を何だろうとにおいを嗅ぎにゆくと思いますが、その時は何も言わずに。そして隣に置いてある紅茶の葉が入ったほうに鼻をつけたらトリーツを与えます。

3. 2つ目で上手にできたら、こんどは3つ目、4つ目と6つまで増やしてみましょう。

4. 容器は毎回、同じ位置に置くのではなく、順番をいろいろかえてみてください。いちばん最初に置いたり、真ん中に置いたり!

5. この場合も、犬ができるからといって延々に続けないこと。犬は人と同様、すぐに飽きるものです。3回ぐらいやったら小休止をとる、という風に行います。また、止める前の最後のセッションは必ず成功させなければいけない、とよく言われることではありますが、どうしてもうまくいかないのであれば、無理に続けることはありません。それよりも飽きさせ、モチベーションを失ってしまう方がよっぽど深刻!

紅茶の残り香に注意!

紅茶の葉は同じ容器に入れたままにして、容器ごと移動させて順番を変えること。紅茶の葉が入っていた容器を「空」として使ってしまうと、犬はその「空」の容器にたいしても反応をしてしまいます。というのも、紅茶の残り香があるからです。人の鼻ではまるでわかりませんが、犬にははっきりとにおいます。

使った容器は紅茶の葉が入っていたものも、空のものも一応に全て洗っておきましょう。こうすることで全ての容器のにおいを一律にしておきます。

ブラインドでやってみよう

紅茶の葉が入っている容器を上手に見つけられるようになったら、ブラインドで試してみましょう!ブラインドというのは、あなたと犬はどこにその隠されている容器があるかわからない状態。だれかに隠してもらいます。

この時、犬がどんなボディランゲージで「ここにあるよ!」を教えてくれるか、飼い主さんはちゃんと読み取らなければなりません。多くの犬は当たりの容器のところにくると何らかの反応をみせます。しばらくにおいつづける、飼い主の顔をみる、頭で押す、前足をでひっかく、などのジェスチャーが一般的です。犬をよく観察してみるのが大事。そして「これが当たりを見つけた時の行動ね」と犬のジェスチャーを読むことを鍛えてみましょう。

友人や家族にお披露目してみよう

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紅茶の葉が入っている容器を上手に見つけられるようになったら、さっそくお友達に披露してみましょう!ホームパーティの余興として最適!友人に紅茶が入っている葉の容器を置いてもらってブラインドでサーチをさせてみます。犬の嗅覚の鋭さにみなが驚くこと請け合いです!

犬がコンスタントに正しい容器を探すようになれば、いつも使っている容器ではなく、別の容器に変えてみます。例えば、プラスチックのお弁当箱でも良いし、植木の鉢を逆さにしたものを使ってもかまいません。

これまでは直線状に並べていましたが、なにもこれに限る必要はありません。容器をランダムに並べてもチャレンジをしてみましょう!

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藤田 りか子(ふじた りかこ)

ドッグ・ジャーナリスト。レトリーバー二匹と自然豊かなスウェーデン・ヴェルムランド県の小さな村に在住。スウェーデン農業大学野生動物管理学科にて修士号を得る。犬の繁殖管理や福祉の先進国スウェーデンはじめ北欧の犬情報はもとより、ヨーロッパ各地の純血種の知識に詳しい。著者に『最新世界の犬種図鑑』。 現在ノーズ・ワーク(嗅覚を使うドッグスポーツ)に夢中、コンペティターでもある。