2017.03.23心のケア

犬も夢を見る?寝言を言うの?寝ている犬たちの不思議な行動

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犬も夢を見る?

愛犬が寝ているときに遠吠えのような声をだしたり、クーンと鳴いたり、足をバタバタと動かして走るようなしぐさを見せたり…。愛犬の寝ている最中の不思議な行動の数々。驚いたり、心配になったりしませんか。

今回は、代官山動物病院の獣医師で、獣医行動診療科認定医の藤井仁美先生に「犬は夢を見ているのか」についてお聞きしました。

犬も夢を見るの?

そもそも犬は夢を見るのでしょうか?

残念ながら、今の科学では犬が夢を見ているかどうかはわからないというのが答えです。科学的に調べる研究などが行われたり、立証がされたりはしていません。

人間は、寝ているのに脳の中で映像を見た、つまり「夢を見た」と話すことができますが、犬がヒトと同じように夢を見ているかどうかについては、犬に聞いてみないとわからないので、正確なところわからないというのが現実です。科学的に立証できないのは仕方がないことかもしれません。

人間の場合は、夢を見ているときにMRI(磁気共鳴画像装置)で被験者の脳のどの部分が活発に活動しているかを正確に計測し、人が無意識下で見ている夢の内容を読み取ることに成功したと、米科学誌「サイエンス(Science)」が伝えています(2013年4月、AFPより抜粋)。

しかし、犬のMRIは犬に全身麻酔をかけますから、脳の働きは普通に寝ているときと異なってしまいます。犬は、人間と違って検査しにくいのですね。

いつか、寝ている犬の頭の中で視覚に関する部分の脳が働いているかどうか、寝ているときに犬が見ている映像を映し出せるような新しい発明が登場するかもしれません。そうすれば「犬も夢を見る」と科学的に証明できる日が来るかもしれません。パートナーがどんな夢を見ているのか、ぜひとも知りたいところです。

レム睡眠、ノンレム睡眠は犬にもある?

レム睡眠、ノンレム睡眠

犬の眠りサイクルはまだ明確になっていない

ヒトの睡眠でしばしば目にする言葉、レム睡眠、ノンレム睡眠。どんな睡眠のことでしょうか。

     レム睡眠
  • 体は寝ているが、脳は起きている状態のことを言う。このときに人間は夢を見ます。
     ノンレム睡眠
  • 脳も体も寝ている状態のことを言う。このとき人間は夢を見ず、ぐっすり深く寝入っています。

人間は、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返すことがわかっています。これは睡眠中に脳波を測ることによりわかります。しかし犬の場合は、まだそのような本格的な研究がなされていないようです。ごく少数の犬の脳波をとったという論文はあり、犬にも人間と同じようにレム睡眠とノンレム睡眠があるようだと書いてあるものは存在するようです。一般的に、人間の場合、レム睡眠とノンレム睡眠は90分のサイクルで繰り返されていると言われます。しかし犬の眠りサイクルはまだはっきりとわかっていない部分が多いのです。

では、犬は、1日どのくらいの時間寝ているものなのでしょうか。犬の場合は、人間のように夜間に連続的に長時間寝るのではなく、ちょこちょこと睡眠をとり、その時間を合計すると1日12時間〜18時間くらいの時間になるそうです。思った以上に寝ていますね。

犬はこまめな睡眠=レム睡眠で脳は起きている状態のことが多く、本格的にぐっすり寝込む=ノンレム睡眠で脳も寝ている時間は短いのではないかという印象を藤井先生自身もお持ちのようです。

番犬(ドーベルマンなど)や護羊犬(ピレネー・マウンテン・ドッグなど)、家畜追い犬(コーギーなど)のような仕事をしていた犬種は、泥棒やオオカミなどの外敵が近づいてきたら敏感にキャッチして吠えて知らせたり、追い立てたりします。そんな風に家財や家畜を守らなければなりませんから、犬種によって、ぐっすり寝込むノンレム睡眠の時間は短いのかもしれません。

犬種に関係なく犬は、人間よりも野生の本能が濃く残っていると考えられています。子犬ならば、ぐっすり寝ていて呼んでも起きないことが多いですが、成犬の場合、寝ていても呼べばパッと起きて寄ってきたり、薄目を開けてしっぽを振ったりすることも。犬は「寝たふり」をしているわけではなく、ちょこちょこと寝ているだけで、ぐっすり完全に寝落ちするような時間は短いのだと推察されます。野生動物だったら、人間のように無防備に寝てしまうと天敵に襲われることもありますから、犬にもその名残がありそうです。

一方、ぐっすり寝込むノンレム睡眠も、犬にあると考えてよさそうです。

寝ているときの不思議な行動

寝ているときの不思議な行動

犬が寝ているときにする行動は謎が多い

夢を見ているのかどうかは、犬に聞いてみないことにはわからないとしても、寝ているときに犬が行っている不思議で、面白くて、不可解な行動は、どう見ればいいのでしょうか。何か意味があるのでしょうか。たとえば、みなさんのおうちのパートナーは、寝ているときに、下記のようなことをしませんか。

  • 寝言(遠吠え、吠える、クーンクーンと鳴くなど)
  • 尻尾を振る
  • 痙攣、走るようなしぐさ(足をバタバタ、ピクピクさせる)
  • 耳や目がピクピク動く
  • 興奮している(呼吸数増加など)
  • 夢遊病、寝ぼける

犬のこれらの行動はすべて、何の意識もなくやっているそうです。なんと無意識なのですね
けれど、たとえば自然の中をたくさん走った日や、たくさんの犬に会った日など、刺激が強くてくたびれた夜寝ているときに、このような不思議な行動をとることが多い気がしますが、何も関係はないのでしょうか。

人間の場合では、その日にあったこと、記憶、感情などを寝ながら脳の中で整理すると言われています。人間でもまだ仮説の段階ですが、もしかすると、犬も同様に、その日の出来事を寝ながら脳の中で整理している可能性はあるかもしれないそうです。いっぱい走った日に、寝ながら足をバタバタ、ピクピク、まるで駆けるような仕草をするのなら、そのときの記憶、楽しかった感情が、そうさせているのかもしれません。本当のところはやはりわかりませんが、もしかしたら、と思うだけでも「今日は楽しかったのかな。満足したのかな」と、なんだか愛しさが増してきますね。

病気の可能性はある?

寝ているときに見せる不思議な行動は、ときに苦しそうだったり、興奮しているように見えるときもあり、このまま放っておいてよいものかと心配になる場合もありますね。

意識がなく寝ている最中に動くしぐさや自分の意志に反して動いてしまうことは、苦しい、辛いの合図や、脳腫瘍など脳の病気の可能性もあります。また脳の異常がないのに病的に身体が動くてんかんの可能性も否定できません。単発な動きや短時間のしぐさですめば、そう深刻なものではないはずです。でもやはり、パートナーのことをよく観察する目を持つことが欠かせません。

ココをチェック! 犬が寝ているときに見せる要注意なしぐさ

 動きが激しすぎる
 以前より動きの激しさが増してきた
 その行動が長時間に及ぶ
 1日に何回も何回も繰り返す

このようなときは、脳の病気が疑われます。脳に病気があるかは、MRIや脳波をとることによりわかります。しかし脳波の検査器機は近所の動物病院にはなかなかない特別なものです。関東地域では、たとえば東京大学大学院農学生命科学研究科附属動物医療センターで脳波検査を行えます。必要があれば、まずはホームドクターに相談し、紹介状をもらいましょう。

愛犬が寝ているときの行動を動画など映像で録画しておき、獣医師に見せると症状の説明に役立ちます。また、日記のように記録をつけておく のも貴重な判断材料となります。「1日に何回、何分間」「発症時刻」などをメモに残し、動物病院に持参しましょう。「ただ寝ぼけているだけ」という診断になるかもしれませんが、それならそれで安心できますね。映像やその記録を獣医師に見せて報告するだけなので簡単です。

おわりに

犬はちょこちょこと寝るスタイルですが、やはり動物のライフサイクルは、日の出とともに起き、日の入りとともに寝る、のが理想です。犬も夜間に寝る時間を確保することが良いといわれています。

パートナーは飼い主さんの生活に合わせてくれるので、飼い主さんが夜型人間なら、愛犬も夜型犬になっている危険性もあります。夜中でも煌々と明かりを点けてテレビを見たり、ゲームをしたり、あるいは同じベッドで寝て、寝返りのたびにぶつかって、犬もヒトも熟睡できていないなど、慢性的な寝不足で生活をしていると、自然のリズムが崩れ、ホルモンバランスや自律神経に悪影響を及ぼして、病気の原因となることも。犬も不眠症になるのです

愛犬にも十分な睡眠が確保できるような環境を整えてあげましょう。暗くて、静かで、落ち着ける寝床 に、犬が自由に出入りできるようにするのがおすすめです。そうした平穏な環境で、寝ながら口を動かしたり、ちょっと足をパタパタとさせていたら、犬が夢を見ているかどうかは断定できないとしても、幸せに寝入っている姿であるのに間違いはなさそうです。愛犬の健やかな眠りについてもぜひ考えてみてはいかがでしょうか。

取材・文:白石 花絵(しらいし かえ)/ドッグジャーナリスト

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監修: 藤井 仁美(ふじい ひとみ)  獣医師 代官山動物病院 行動診療科担当

監修: 藤井 仁美(ふじい ひとみ)  獣医師 代官山動物病院 行動診療科担当

英国ロンドンで10年間暮らし、伴侶動物の行動学を学び、その知識を生かして動物病院やドッグトレーニングスクールで幅広く活動してきました。GREEN DOG代官山内にある代官山動物病院でも行動問題の治療、しつけ方指導、病気のパートナーのメンタル面(精神面)のケアを専門に行っています。犬や猫が抱える多様なストレスは病気に大きな影響を与えています。病気のパートナーに心のケアを行うと治療効果も上がり、再発予防にもつながることを実感しています。心と体の両方から、パートナーの健康な暮らしをサポートいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。 1990年 東京農工大学卒 2001年 英国応用ペット行動学センターにて研修、公認インストラクター資格を取得 2007年 英国サザンプトン大学院にて動物行動学を専攻 2009年 伴侶動物行動カウンセラーのディプロマを取得 2013年 獣医行動診療科認定医の資格を取得
監修: 藤井 仁美(ふじい ひとみ)  獣医師 代官山動物病院 行動診療科担当

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