2017.06.26心のケア

飼いやすい犬はいるの?ランキング上位の犬種特性と飼う前の心得

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「初心者にも飼いやすい犬種は?」「お金のあまりかからない犬種がいいな」「オスとメス、どちらが飼いやすい?」「トイ・プードルとチワワだとどっちが飼いやすい?」などと検討している人もいるかもしれません。でもちょっと待ってください。その前にもっと大切なことがあります。「犬を飼うこととは」。この最も基本的なことを、代官山動物病院の獣医師で獣医行動診療科認定医の藤井仁美先生に聞いてみました。

飼いやすい犬はいるの?

誰にでも簡単に飼える犬はいるのか。その問いに対して、「飼いやすい犬はいません」と、藤井先生は明言します。そしてまずは犬を飼いたいと思ったら、先に確認してほしいことがあります。

 本当に犬でいいのでしょうか

毎朝毎夕、散歩に行けますか。仕事をしているのなら、留守番の時間はどれくらいですか。病院代、トリミング代、ごはん代などの経済的なことを、これから12年、15年、あるいはもっと長生きしてくれたらその間ずっと用意できるでしょうか。そして、犬を理解するために勉強する時間やしつけ・トレーニングを頑張る時間や意欲、体力はありますか。終生飼養する覚悟はできていますか。

 犬種選びを間違えていませんか

多くの日本人は残念ながら犬のサイズや外見から犬種を決めてしまうことが多いですね。それは犬と暮らす歴史や伝統の長い国、動物福祉の考えが進んだ国から見れば、問題のある選び方です。犬種を選ぶときはもっと冷静で賢明な判断が欠かせません。

犬種を選ぶときに考えるべきポイント

犬との生活を想像できますか?

では、犬の選び方で大事なことはなんでしょう。「その犬と自分は、どういう暮らしを共にしたいのか。自分は、その犬種が望む喜びを与えることができるのか」です。そのことについて家族全員で考え、しかも目先の数年だけでなく中・長期的な自分たちのライフステージとも照らし合わせて考えることが必要です。

したがって、万人にとって簡単に飼える犬、飼いやすい犬、理想の犬はいないわけです。自分の性格や家族の暮らしぶりにマッチする犬種を探すことが最初の一歩です。飼い主と犬とが、気持ち、体力、時間、経済、環境などがうまくマッチングしているかどうかが最大のポイントです。では毎日の生活の中でどんなところを見極めたらよいのかを説明します。

 ケアするための時間はありますか?

運動、トレーニング、犬と遊ぶことなどにかける時間、月1回くらいの頻度でトリミングサロンに送迎する時間などが、定期的に一生継続してとれるのか。毎日朝晩散歩に行くこと、毎日ブラッシングやコーミング(櫛で毛をすく)、ヨダレを拭き取るなどのお世話を、楽しいと感じることができるか、冷静に考える必要があります。

 飼い主のライフスタイルとマッチしていますか?

アウトドア・キャンプ・ランニング・登山などを犬と一緒に楽しみたいという体育会系飼い主さんには、ガンドッグやハウンド(またはトイ・プードルやパピヨンなどガンドッグを犬種改良してミニチュア化した犬種)、牧羊犬、テリアといった、体力的に運動能力が高く、タフで精神的にもやる気のある犬種がマッチしています。そもそも、このような犬種だけでなく犬たちは本来アウトドアが大好きと考えた方がよいでしょう。

読書や映画、ゲーム、インターネット、手芸などが好きなインドア系飼い主さんで、毎日外へ出ることが億劫なタイプや時間がない人は、犬を迎えられるかどうか再検討しましょう。まず犬というのは心身ともに健康ならば、毎日外を散歩することが食べることと同じかそれ以上に喜びを感じる生き物だからです。それでも犬と暮らしたいならば、マルチーズ、狆、ペキニーズのような比較的少ない散歩量で満足してくれるような犬種を選ぶと良いでしょう。ただし、これらの犬は散歩しなくてもいいというわけではありません。また、血統差、個体差があるので、親犬や親戚犬の性格を見せてもらえるなど、信頼のあるブリーダーに相談しましょう。このようにさまざまな犬種の中からライフスタイルに合ったパートナーを選ぶのは難しいことですが、とても大切なことなのです。

 小さな子ども、お年寄りがいますか?

子どもの兄弟の代わりや情操教育のために、と犬を望まれることがあります。けれども、犬種や、犬の個体の性質によっては、子どもの興奮ぶりに同調して犬まで興奮性が高くなったり、子どもが犬を手荒く扱い、犬に怪我をさせてしまうことが少なくありません。怖い、痛い恐怖体験をしたことから、犬が子どもを傷つけるという事件が起きることもあります。子どもの甲高い騒がしい声が苦手という犬もいるのです。犬と子どもの両方の安全を守るために、親の監視は絶対に必要であり、やはりそれ以前に犬種選びは重要です。

また、お年寄りの場合は、散歩中に犬の力を制御できず引っ張られて転倒することがあります。小型犬だと腰をかがめて世話をするのが大変だったり動きが素早くて扱いにくいかも知れません。その点、保護犬の成犬を迎える場合、子犬ほど手がかからず、性格もわかっていれば、ある程度は一緒に生活できるかどうかの想像がつきます。最近では年配の方がこのような理由で保護犬を迎え入れることが増えているようです。

 日中の留守番の時間はどれくらいですか?

甘えん坊、依存心が強いなどの性格や、犬種、今までの経験やトレーニングの有無などによっては、留守番の時間が長いことに耐えきれず、飼い主さんの留守中にずっと吠えたり、破壊行動やいたずらをしたり、所定のトイレ以外のところで粗相をするなどという分離不安症状をおこす犬もいます。大きな吠え声はご近所から苦情が出る可能性が高いです。

 住環境は適していますか?

住宅の広さ、戸建てかペット飼育可の集合住宅かなどの考慮が必要です。また自然の多い散歩コース、ドッグランなどのドッグフレンドリーな施設、迎える犬種に対応できる動物病院やトリミングサロンがあるかなど、事前に調べておきましょう。

 経済事情に問題は生じませんか?

終生飼養をするための、経済的な問題のほか、10年、15年先の家族の状況や、パートナーも高齢になると医療費もかさむということを真剣に考えた方がよいでしょう。

人気犬種の特性

欧米に比べて、日本は人気犬種といって流行が起きやすいのは少々残念なところです。人気に左右されず、自分のライススタイルにあった、飼いきれる犬種を選ぶことが最優先です。

ちなみに、2016年(1月〜12月)のJKC(ジャパンケネルクラブ)の犬籍登録頭数(その年にブリーダーから申請され、血統書が発行されて登録された133犬種のうちのベスト10は以下のとおりでした。

2016年(1月〜12月)JKC(ジャパンケネルクラブ)犬籍登録頭数 (※1)

順位      犬種    頭数
1位 プードル   77,461
(※2)
2位 チワワ   50,405
3位 ダックスフンド   26,153
(※3)
4位 ポメラニアン   18,221
5位  12,235
6位 ヨークシャー・テリア   11,108
7位 ミニチュア・シュナウザー   9,794
8位 シー・ズー   9,153
9位 マルチーズ   8,233
10位 フレンチ・ブルドッグ   8,189

※1:一般社団法人ジャパンケンネルクラブ公開データより
※2:内訳 <トイ76,393頭・ミニチュア159頭・ミディアム183頭・スタンダード726頭>
※3:内訳 <カニーンヘン5,836頭・ミニチュア20,239頭・スタンダード78頭>

ちなみに1位のプードルの内訳の中ではトイ・プードルだけで76,393頭登録されており、2位のチワワより多いことがわかります。ダックスフンドでは、ミニチュア・ダックスフンドが20,239頭を占めており、トイ・プードル、チワワ、ミニチュア・ダックは常に人気ランキングの上位を維持しています。

もともと猟犬だった犬は、アウトドア派の飼い主向き

猟犬はとってもエネルギッシュでタフなのです

プードルは水鳥用の猟犬のため、活動欲求が高くスポーティな肉体と精神力の持ち主です。ダックスフンドは鶏小屋を襲うアナグマの害獣駆除係として重宝されました。そのため気丈な性格、タフさ、太い声などを備えた根性のある犬です。このように両犬種とも活動的でアウトドア向きです。そのため運動不足にさせると、問題行動を起こしやすくなるでしょう。

同様に柴も、日本犬の中ではいちばん小さいですが、元は猟犬で運動性能が高いので、散歩の好きな飼い主さん向きです。刺激に敏感な面があり、それゆえに神経質で怖がりや攻撃性が高い犬がいることも事実なので注意が必要です。

犬種特有の病気も知っておきましょう

チワワは、水頭症などの病気がでやすいので、良いブリーダーを選ぶことが欠かせません。
性格はその愛らしい見かけと違い、とても気が強くて、しっかり者です。その性質を理解し、トレーニングできる飼い主さんに向いています。

ミニチュア・ダックスは長い背骨があるため、椎間板ヘルニアを起こしやすい犬種です。階段や段差、ソファーのジャンプなどは制限したり、室内環境を整備するよう、シニア期になって発症することを少しでも抑えるように、子犬の頃から用意した方がいいでしょう。性格は、小さい姿に似合わないほど吠え声が太いので、マンションや住宅密集地では飼わない方がいいと言われることもあります。

10位のフレンチ・ブルドッグは、暑さ寒さに弱く、室内の温度管理は必須です。また特有の皮膚疾患の発症が多いなど比較的医療費がかかる犬種といえるでしょう。イギリスからフランスへ連れてこられた小型のブルドッグが改良されたもので、愛らしい顔とお茶目な性格が魅力ですね。サッカーボールが大好きなどの溌剌とした一面もありますが、家では比較的順応性も高いため、都会のパートナーとして向いているようです。

おわりに

「犬を飼う」ということは、実際にはとても大変なことが多いのです。その大変なことを、犬と暮らす悦びだと感じることができる人が、飼い主さんになる資格のある人です。

犬を迎える際は、あらかじめ自分自身のライフスタイルや家族構成、住環境や経済事情などに合った犬種を選ぶことが大切です。それは犬を幸せにすることでもありますが、同時に自分や家族を幸せにすることなのです。なぜ、犬を飼うのか。本当に犬でいいのか。どの犬種が自分の生活や性格をマッチしているのか。パートナー選びは慎重にそして楽しみながら選択してくださいね。

取材・文:白石 花絵(しらいし かえ)/ドッグジャーナリスト

参考:dogplus.me 犬種図鑑ページ
(http://www.dogplus.me/canine/ 白石花絵著)

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監修: 藤井 仁美(ふじい ひとみ)  獣医師 代官山動物病院 行動診療科担当

監修: 藤井 仁美(ふじい ひとみ)  獣医師 代官山動物病院 行動診療科担当

英国ロンドンで10年間暮らし、伴侶動物の行動学を学び、その知識を生かして動物病院やドッグトレーニングスクールで幅広く活動してきました。GREEN DOG代官山内にある代官山動物病院でも行動問題の治療、しつけ方指導、病気のパートナーのメンタル面(精神面)のケアを専門に行っています。犬や猫が抱える多様なストレスは病気に大きな影響を与えています。病気のパートナーに心のケアを行うと治療効果も上がり、再発予防にもつながることを実感しています。心と体の両方から、パートナーの健康な暮らしをサポートいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。 1990年 東京農工大学卒 2001年 英国応用ペット行動学センターにて研修、公認インストラクター資格を取得 2007年 英国サザンプトン大学院にて動物行動学を専攻 2009年 伴侶動物行動カウンセラーのディプロマを取得 2013年 獣医行動診療科認定医の資格を取得
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