2017.04.17心のケア

犬の睡眠時間はどれくらい?短くて大丈夫?獣医師が解説します

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犬の睡眠時間はどれくらい?短くて大丈夫?獣医師が解説します

犬を家庭で飼っている人は、のんびり寝ている犬の姿をみて、羨ましいと思ったことはありませんか。犬の種類や飼われている環境によって多少は異なりますが、犬は常にうとうと寝ている動物であると思っている方が多いのではないでしょうか。

今回は犬の睡眠時間やサイクルについてGREEN DOGの獣医師伊東がお届けします。

犬の睡眠時間はどのくらい?

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犬の1日の睡眠時間は12~18時間位

ヒトの睡眠時間は、個人差があるため絶対という数値はありませんが、だいたいこれくらいというデータが出ています

ヒトに必要な睡眠時間

  • 6時間以上8時間未満*
  • 新生児は14~17時間、小学生では9~11時間、成人では7~9時間**

睡眠は、動物が生きるうえで大変重要なもの。睡眠時間が少なくても活動的な人もいれば、多くの睡眠時間をとったにも関わらずなかなか起きられない、など個体差はあります。

では、犬の睡眠時間はどうでしょうか。明確には分かっているものではありませんが、一般的には、犬の1日の総睡眠時間は、12~18時間ではないか、と考えられています。アメリカのポインター犬を用いた睡眠と覚醒のパターンについての研究では、24時間のうち44%は起きていて(覚醒)、あとの56%はうとうとしていた、もしくは眠っていた(睡眠)という結果を示しています。

睡眠時間は、犬の個体差や飼われている環境や仕事、警戒感の有無などによって、それぞれ違いもあるようです。子犬は成犬よりも全体の睡眠時間が長く、かつ眠りも深いようです。また、老犬(シニア犬)では外部刺激に鈍くなり、眠っている時間が増える傾向があります。


*健康づくりのための睡眠指針/厚生労働省 2014年
**全米睡眠財団(National Sleep Foundation)2015年

犬の睡眠のリズムは?

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1日の半分以上は寝ている犬ですが、犬の睡眠パターンは、人のものとは異なることが分かってきています。この時間をずっとぐっすり眠っているのではなく、ちょこちょこ起きたり、眠ったりしているようです。

ヒトの睡眠には、浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠があります。

ヒトの眠りはこれら性質の異なる2種類の睡眠で構成されており、約90分周期で一晩に4~5回、一定のリズムで繰り返されています。

一方犬では、オーストラリアにおいて家庭犬を用いたある研究がおこなわれ、夜間の8時間睡眠の間に、睡眠16分と覚醒5分、という21分周期が平均23回も繰り返されていたことが示されました。ヒトと比べると、かなり細かい周期ですね。犬は眠っていたとしても何かあればすぐに行動できるような睡眠パターンをもっているといえます。外敵に用心しなくてはならなかった野生のときの名残であるという考えが有力のようです。

犬にもレム睡眠、ノンレム睡眠もあるようですが、まだ充分な研究がされていないようです。

犬の眠りについてもっと読む→犬も夢を見る?寝言を言うの?寝ている犬たちの不思議な行動

犬が睡眠を取る理想の時間帯は?

オオカミは昼間もそれなりに活動しているようですが、採食や繁殖を主に夜に行う夜行性の動物です。その血を引いている犬ではどうなのでしょうか。

動物はその活動周期を環境の変化に合わせることができ、家畜化された動物は人間の生活リズムに合わせているようです。犬は、人と暮らすようになり安心できる環境で眠り、狩りの必要性もなくなったことから、ほとんどが昼行性の生活を送っているのではないでしょうか。

動物はヒト同様、睡眠不足になると心身に影響を及ぼします。家畜化された動物の睡眠障害はまれなのですが、犬には睡眠障害の1つであるナルコレプシー*があることが分かっています。

犬がいくら人の生活に合わせることができるといっても、日中ずっと騒がしいところに居させたり、夜遅くまで明かりをこうこうと点けて起こしていたりすると、犬も寝不足になってしまいます。

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老犬(シニア犬)にはとくに睡眠の質に気を配ろう

犬にとって、日の入りと共に寝て日の出と共に起きる規則正しい生活リズムは大切です。また、昼間にリラックスして眠りを確保できる時間を作ってあげることも忘れてはいけません。

愛犬のためのフカフカのベッドを用意している飼い主さんも多いと思いますが、より快適に寝られるような寝床の工夫も考えてあげましょう。とくにシニアの年齢に入り睡眠時間が長くなり始めたなと感じたら、このような体圧分散を考えた高機能マット を検討してもいいかもしれません。


*ナルコレプシー:突然強い眠気と筋肉の脱力がおこる睡眠障害です。人をはじめ、犬にも認められており、脳内のオレキシンという物質が関わっていることが分かっています。犬では、食事を目の前にしたり、他の犬と遊んで興奮したりすると、姿勢を保つ筋肉の力が突然に抜けてしまう発作が現れます。ドーベルマンやラブラドール・レトリーバー、ダックスフンド、プードル、ビーグルが罹りやすいとの報告があります。

まとめ

ヒトでは睡眠は1日の3分の1の時間を占め、その質が重要とされ、研究も進んでいます。犬では、ヒトより多い時間を睡眠に費やしていますが、ヒトと同じように実験に協力してもらうことは難しく、その内容は未解明なことばかりです。

けれど、どの動物にとっても睡眠は生きるうえでとても大切なのは確かなことです。犬が健やかに生活するために、ぜひ睡眠の時間と質についても意識してあげましょう。

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伊東 希(いとう のぞみ) 獣医師、ホリスティックケア・カウンセラー

1998年、日本獣医畜産大学(現在、日本獣医生命科学大学)獣医学科を卒業。動物病院や大手ペットフードメーカーでの勤務を経た後、GREEN DOGへ。現在は、スタッフ教育や商品の品質検証、オリジナルフードの製造に関わる。
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