2017.04.12心のケア

【犬との暮らし】犬の心を育む1~心と行動の関係

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犬の心を育む心と行動の関係

こんにちは。ヒトと犬の心と行動カウンセリングをしている、ドッグメンタルトレーナーの白田祐子です。

遺伝子や脳の発達などさまざまな分野の研究を通して犬の問題行動を科学的・客観的に分析をしようという試みが近年行われているようです。その過程で、犬の問題行動の一因として心の病が関係しているケースがあることを耳にするようになりました。

そこで今回から、犬の問題行動と呼ばれる困った行動や人から見て望まない行動があった場合、どのような心の問題と関係しているのか、また私たちがしてあげられることは何かをお伝えてしていきます。少しでも、愛犬の心を理解するための手がかりとなれば幸いです。

犬の心は複雑で人と似ている?

犬の心は複雑で人と似ている

ここで取り上げるとは、喜怒哀楽の感情よりももっと豊かでより人に近い複雑な感情のことを意味します。

たとえば、達成感や満足感、倦怠感や高揚感のようなものから、集団の一員でいたいという所属欲求やそこで信頼され認められたいという欲求など、犬は他者との繋がりの中で意識される感情も持っているといわれています。

そして、社会や集団にうまく溶け込み自分は大切にされていると感じると、犬も自己効力感や自尊心、チャレンジ精神が高まるなど、どんどん心が成熟していくと考えられています。

犬の心を理解するには

犬の心を理解する

行動を観察することが犬を理解する近道

そんな犬の心はどのように理解してあげれば良いのでしょう。たとえば、他の犬と穏やかに接している犬を見て「優しい性格(心)の犬」と思う人がいるとします。でも、心は残念ながら見ることはできませんから、現実には穏やかな行動を見たことで、心や性格を優しいと判断しているものと考えられます。犬の顔で判断することもできるかもしれませんが、容姿だけで犬の心の状態を判断するのは、かなり困難ですし危険なことでもあります。一方で、行動を観察することで犬の心を理解することは可能かもしれません。なかでも問題行動の原因を理解することは、犬の心を理解する早道であると私は考えています。

問題行動の原因

では、問題行動とはどのようなもので、どこに原因があるのでしょうか。その一部を見ていきます。

一つには、ストレスを抱えやすい生活環境が原因といわれています。たとえば、運動不足や人工的な刺激や長時間の留守番など、過度にストレスがかかった結果トラブルが発現する可能性があると考えられています。

犬のストレスの原因とは?→そのしぐさ、ストレスのサインかも。ストレスを感じている犬の行動とは

その他にもさまざまなストレスによって起きるトラブルがあり人にとって不都合な行動(問題行動)の原因となっている場合があります。

未学習

 他の犬を恐れる

  • 特に社会化期に他の犬との接触機会を逃してしまった結果、他の犬を恐れるようになり吠えたり逃げたりするようになったなど

 欲求不満

  • 犬同士のコミュニケーションを通して、挨拶や接近の仕方など正しい振る舞いを学ぶことができなかった結果、他の犬に近づきたいという欲求が不安や緊張に阻害される。欲求不満から欲求対象に吠えたりするようになったなど

嫌な経験

 ストレスやその他の経験

  • 他の犬に吠えられるなど、ストレスやその他の経験が新たに加わった結果、それまでは友好的だったのに吠えるようになったなど

誤学習

 不安の誤学習

  • 他の犬と接触させるときに、飼い主が先に躊躇したり緊張してしまい、それが愛犬に伝わり愛犬も他の犬をみると緊張して吠えたり逃げたりしてしまうようになったなど。

 不安の助長

  • 愛犬が他の犬を避けたり吠えたりするのを見て、飼い主が「怖いね、怖かったね」と同情の言葉をかけた結果「犬は怖い存在なんだ」と愛犬の不安が助長されてしまったなど

 報酬の誤学習

  • 愛犬が他の犬に吠えるなどした時、落ち着かせようとおやつを与えたり、「大丈夫よ、いい子ね」と優しく声をかけた結果、他の犬に吠えるとおやつが貰えたり、優しく褒められると勘違いしてしまい、ますます他の犬に反応するようになったなど

 嫌悪刺激の誤学習

  • 愛犬が他の犬に突進しないように、リードを強く引いて行動を制御しようとした結果、反発からますます力ずくで前へ進むようになったり、首が苦しくなる嫌悪刺激から、苦しくなったのは他の犬のせいだと思い、なおさら敵意のような反応をみせるなど

原因は複雑

原因は複雑

問題行動の一部には、注意のタイミングや方法、接し方を間違ってしまったことが原因の外的な行動トラブルと、経験や学習をする機会がなかった結果、欲求が満たされなかったり、ストレスが加わるなどが原因の内的な心理トラブルの2種類があるようです。

室内で排泄する原因を一つとっても、トイレの場所や大きさが悪い、床とトイレとの境界が分りにくいなど人間が作り出した環境による場合や、どこにしても良いと思いこんでいるなど、教え方に原因がある場合もあります。一緒にいる時間が短いために、孤独感や不安感が原因で排泄をしてしまう場合は、内的な心理トラブル心の病が原因であることも少なくありません。

飼い主の方に「ウチの子はこんな問題があるのですが原因は何ですか?」と聞かれたときに即答することはできません。それは、このような問題行動の原因は一つではなく、ときに複合的に絡み合っている可能性があるためです。身近な人々の接し方や犬の行動を注意深く観察しなくては、正しい原因を理解することはできないということを、少しでも多くのかたに知ってもらえるように日々努力しています。

犬の心へ目を向ける

犬の心のありようを想像して内面に注意を向けることはとても大切なことです。

「愛犬がその行動をするのは、どんな心の欲求を満たして欲しいからなのだろう?」と考えることは、犬の生活の質を改善してあげられるだけではなく、互いに理解しあい、絆をより深める道標になるかもしれません。

おわりに

犬と暮らす多くの方が愛犬を幸せにしたいと願っていると思います。たとえ無意識にしたことでも、あなたの行動や感情が犬の心や行動にも大きな影響を与えている、と知ることが、愛犬のそしてあなたの幸せに繋がると私は思っています。

次回は、心理的なトラブルをもう少し掘り下げながら、心の成長の目指すところへお話しを続けていきたいと思います。少しずつポイントを小さくして、より身近な話題を取り上げていきます。次回もみなさまと一緒に考えていきましょう。

GEEN DOG相談ルーム

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白田 祐子(しらた ゆうこ)心理士/ホリスティックケア・カウンセラー

白田 祐子(しらた ゆうこ)心理士/ホリスティックケア・カウンセラー

公益社団法人日本心理学会認定心理士。トレーニングスクール、ル・ブラン湘南代表。25年前から犬の気持ちを理解するため犬の行動や心理を独学し、保護施設でしつけなどのボランティア活動を開始。現在のパートナーは、3頭目の雑種の保護犬11歳の女の子。大学で教育学、認知心理学、社会心理学などを専門的に学び、人と犬の関係性や犬の心の成長の研究を行う。2013年にスクールを立ち上げ、飼い主と犬のパーソナリティを重視。思考に訴えかける行動矯正が多くの女性に支持されている。翌年ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。食事の重要性を再認識しフード選びのアドバイスも積極的に行う。里親制度の啓蒙や地域行政と連携した動物相談など、教育、行政、法律と多方面で犬と人の問題に向き合っている。ヒトと犬の関係学会員、愛玩動物飼養管理士、神奈川県動物愛護推進員。

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