2017.08.29心のケア

【犬との暮らし】都会の犬たち7~なんで外だと出来ないの?

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「都会の犬暮らし」連載7回目は犬の置かれている環境について考えてみます。

トレーナー三井さんのこれまでの記事はコチラ→ 三井さんの記事一覧

家では出来ます!

犬と言えばオスワリやお手などが定番の芸などのように言われていますが、お手は別にしてもオスワリは芸でもなんでもなく、犬が落ち着いていられる姿勢のひとつでもあるので、日常生活の行動の一つとして出来るようにしておくと何かと都合がいいものです。

例えば元気がよくて、いつもピョンピョン飼い主の横で跳びはねているような犬の場合は『オスワリ』が出来れば、飼い主が熱いお茶を手に持っていたりしても危なくありません。特に大型犬の場合はオスワリだけでなくフセが出来ると、外で子供が近くを通るような場合でも、怖がらせずに済みます。

ただ、ここで問題なのは、オスワリやフセなど、日常的に家の中ではちゃんと出来るのに、外に出ると出来ないことがよくあるということです。トレーニングのカウンセリングの時に「オスワリやフセは出来ます。」とお聞きしていて、いざ外でお会いしたときには全然やってくれないので、飼い主さんも不思議そうな顔で「家ではできるんですけどねぇ。」とおっしゃることがあります。

環境の違いを忘れていませんか?

家で出来ることがなぜ外でできないのでしょう。当然のことながら、家の中と外では犬を取り巻く周囲の環境が異なるからです。

環境が違っても「オスワリ」できる?

それだけでなく、愛犬と向き合って人差し指を立てながら「オスワリ」と言うとちゃんと座れるのに、愛犬が横にいたり、ドアの所で今にも玄関から飛び出しそうになっているとき後ろから「オスワリ!」と声をかけてもやってくれなかったりしませんか?環境と言うととても広い周囲の状況と捉えがちですが、犬を取り巻く環境と言うのは、目の前にいる飼い主さんの動きひとつが違っていても、いつもと違う環境と言うことができます。

私は長年ドッグダンスをやっていますが、練習の時は普段着なのに、本番で突然犬が見たこともないような衣装を着たり靴を履いたりすると犬は混乱して動かなくなるので、本番前には必ず衣装を着けた練習も行います。靴の音一つをとっても、特に小型犬にとってはいつもと違う環境になってしまうからです。いつもは指を立てて言うのに、今日は指が立っていないとか、いつもは正面で向かい合っているのに、今日のママはソファに座っているとか、そんな些細なことでも犬にとっては「あれっ?」となるのが環境の違いということです。

様々な状況を想定した練習

では、犬は環境が違うと何もできなくなってしまうのでしょうか。そうではありません。要はいろいろな場所でいつも通りに練習してあげることで、家の中でオスワリすることも、玄関の外でオスワリすることも、信号待ちの交差点でオスワリすることも、みんな同じオスワリだということを犬に教えてあげればいいのです。

例えば、いつも人差し指を出して正面でしか「オスワリ」と声をかけていなかったのなら、人差し指を出さないでもオスワリが出来る練習をしたり、愛犬の横に立って「オスワリ」と声をかけてみたりと、周りの条件が違う状況での練習を繰り返して行っていきます。家の中で完璧に出来るようになったら、玄関の外でも同様に行ったり、公園や犬が傍にいる環境でもオスワリが出来るように練習していくわけです。

ただ、ここでポイントになるのは、慣れた環境の中で出来ていないのに、ハードルを上げすぎて、急に刺激が強いドッグランの中などでやらせようとしないことです。やれないことを無理にやらせて失敗例を増やしてしまうと、褒められる機会が減ってしまい、犬の学習意欲が下がってしまう上に、何度も声を掛けられてからやるものだと犬は学習してしまいます。

人間の子供も足し算や引き算が出来ないのに、急に掛け算を教えてもおそらく躓いてしまうのではないでしょうか。できることをひとつずつ積み重ねていくことが犬の学習には重要なポイントになります。どこで言われてもオスワリという行動の意味は変わらないと犬が理解出来るようになると、その他の行動についても、家の中でも外でも同じことだと言う概念が生まれてきます。どんな環境で言われても、言われたときにはきちんとやるという習慣がついてくると、家の中だけでなく、外でもできる犬になっていきます。

まわりが刺激だらけでも飼い主に注目できる

特にオイデなどの呼び戻しも同様で、刺激の少ない家の中では呼べば来てくれるのに、公園や犬たちが集まるドッグランに入ると全然戻ってきてくれないというのも、周囲の刺激に負けてしまい、飼い主の声が聴こえなくなっているせいです。

子犬の頃は「オイデ~」と言えば走ってきたのに、大人になると呼んでも見向きもしないということがよくあります。人間はいつまでも犬は呼べば来るものという子犬の頃の感覚でいるのですが、犬は成長と共に、飼い主以外にも楽しいことが沢山あることを知ってしまい、戻って来づらくなる時期があります。その時期を見過ごさずに、様々な環境の中で、子犬の頃のように「オイデ~」と言いながら犬から遠ざかってあげると、犬も飼い主の方に戻ることを習慣にしていくことができるのです。

おわりに

慣れちゃえばストレスにならないよ

「都会の犬暮らし」連載5回目の「犬の社会化」についてのコラム にも書いていますが、都会の日常は目まぐるしく変化するので、犬の生活はとても大変です。時には見慣れないもので、集中がそがれてしまうこともあるでしょう。

我が家の犬も、散歩の途中で猫が横切れば、猫のことが気になってしまい、足早に猫を追いかけようとすることもしばしば。それでもいちいちそういうことに反応する必要が無いんだよと教えていかないと、何かを見つけるたびに、あっちに走り、こっちに跳びかかりなんてことにもなりかねません。多くの経験を積んだ犬たちは、多少のことで驚きませんし、散歩ものんびり飼い主さんのペースで行くことができます。

のどかな田園地帯の散歩は愛犬のペースで歩くことができても、都会の散歩は、前から来る自転車を避けたり、信号が変わらないうちに渡ったりとせわしないことも沢山あります。愛犬のためにも、いろいろな環境に慣らしてあげられると、都会暮らしのストレスを減らしてあげることができるのではないでしょうか。

GEEN DOG相談ルーム

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三井 惇(みつい じゅん) CPDT-KA、ドッグトレーナー/ドッグダンスインストラクター、ホリスティックケア・カウンセラー

三井 惇(みつい じゅん) CPDT-KA、ドッグトレーナー/ドッグダンスインストラクター、ホリスティックケア・カウンセラー

1997年に迎えたボーダーコリーと始めたオビディエンス(服従訓練)をきっかけ に、犬の行動学や学習理論を学び、2006年WanByWanを立ち上げる。愛犬の出産、子育て、介護と様々な場面でも多くを学び、愛犬のQOLの向上を目指して2008年にホリスティックカウンセラーの資格を取得。2016年自身のトレーニング方法を再確認するために世界基準のドッグトレーナー資格CPDT-KAを取得。現在、4頭目と5頭目のボーダーコリーとドッグダンスの楽しさを広めながら、東京近県で出張レッスンを行っている。
三井 惇(みつい じゅん) CPDT-KA、ドッグトレーナー/ドッグダンスインストラクター、ホリスティックケア・カウンセラー

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