2017.08.25心のケア

ストレスなく自然に!犬にマウンティングをやめさせるしつけ方

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ストレスなく自然に!犬にマウンティングをやめさせるしつけ方

夏や秋の連休に、パートナー(愛犬)と旅行や遠出をする方も多いかと思います。パートナーとのお出かけでは、公園やドッグランで一緒に散歩や運動をするのも楽しみのひとつです。しかし、散歩やドッグランで他の犬と出会った時、パートナーがマウンティングをしてしまうことはありませんか。

マウンティングは、犬にとっては自然な行動ですが、見知らぬ犬同士ではトラブルに発展することもあるため、なるべく避けておきたいものです。そこで今回は、犬はなぜマウンティングをするのか?そしてどうしたら犬にストレスなくやめさせることができるのかを、ドッグトレーナーの遠藤がご紹介します。

犬がマウンティングする意味とは

ストレスなく自然に!犬にマウンティングをやめさせるしつけ方

他の犬と触れ合わせるときはマウンティングに注意が必要です

マウンティングは、かつては性的な欲求や上下関係を誇示するために行うものといわれていました。しかし現在では、性的なものや上下関係だけでなく、コミュニケーションの一部として遊びで行うこともわかっています。

特に子犬は、遊びのなかでお互いにマウンティングをしたりされたりすることがよくあります。どちらかが一方的にするのではなくお互いにマウンティングし合うことで、遊びながら犬同士の社交術を学びつつ、相手との関係性を築いていると考えられています。

マウンティングをさせない方がいい?その理由とは

マウンティングは犬にとっては自然な行動です。また、犬世界の社交術を身につけた犬同士であれば、マウンティングされるのが嫌な場合でも、コミュニケーションを通してうまく自分で避けたり、たとえケンカになっても大事にいたらずに終わらせたりすることが可能です。しかし、現代社会の犬たちは、子犬の頃に母犬や兄弟犬から引き離されてしまうことも多いため、犬同士の社交術を身につけていない場合があります。社交術が身についていない犬の場合、大きなトラブルに発展してしまうことがあるのです。

それだけでなく、社交術を身につけていないうえに気の弱い犬の場合、マウンティングされたことで犬嫌いになり、他の犬とは遊べなくなってしまうこともあります。それどころか他の犬に対して恐怖心を抱いてしまったという話もあります。これらのリスクを考えると、他の犬に対するマウンティングは極力させないようにした方がよいでしょう。

人間へのマウンティング

犬のなかには、人間に対してマウンティングを行う場合もあります。「犬が人間よりも自分が上だと誇示しようとしている」として問題視されることもありますが、最近では、犬はそこまで上下関係にこだわっているわけではないということも言われています。

マウンティングはあくまでコミュニケーションの一部であり、マウンティングを飼い主に行ったからといって、その犬が必ずしも飼い主を下に見ているとは限りません。どちらかといえば、どこまで許されるのかを試している行動、またはかまってほしい気持ちの表れであることが多いようです。しかし、人間に対してマウンティングを何度も行うことでそれが習慣化してしまい、飼い主以外の人や犬にもマウンティングをたびたび行うようになることがあります。特に大型犬は、ケガにつながる危険性もあるので注意が必要です。人間に対してのマウンティングはさせないようにしましょう。

ぬいぐるみ等へのマウンティング

ぬいぐるみなどのおもちゃにマウンティングを行う犬もいます。これも単純に性的な欲求だけが理由ではなく、「退屈だったのでやってみたら楽しかった」から行うことがあります。

「犬の本能だし、ぬいぐるみに対してのマウンティングなら仕方がない」と考える飼い主もいますが、行動は繰り返すほど習慣化してしまうものです。なるべくならマウンティングさせないようにすることをおすすめします。その際は、叱って辞めさせるのではなく、他の遊びに誘って興味の対象を別に向けさせるような方法を優先させましょう。

マウンティングをやめさせることはできる?

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「ストップ」のしつけをきちんと行うことがポイントです

マウンティングは犬の本能ですから、完全にやめさせることは難しいかもしれません。しかし、他の犬や人間に対してなるべくさせないようにすることは可能です。マウンティングに限らず、まずはパートナーの行動をコントロールできるようにしつけをしましょう。

パートナーに教えておきたいのが、「行動制止の指示を聞く」ことです。マウンティングは悪いことではなく、犬にとっては自然な行動のひとつ。マウンティングしそうになったときは、怒るのではなく「ストップ」「NO」「やめなさい」という指示で、その行動を制止できるようにしつけを入れておきましょう。聞き分けよくやめることができたらパートナーをほめてあげます。

パートナーがマウンティングされそうになったら

ドッグランや散歩中、見知らぬ犬からパートナーがマウンティングされることで、けんかなどのトラブルに発展することもあります。相手がどんな犬かわからない場合、事故やトラブルを避けるために激しく興奮している犬にはなるべく近づけすぎないようにしましょう。特にドッグランは広いところで走り回る分、犬が興奮しやすい場所です。パートナーからは絶対に目を離さないようにします。また、きちんと呼び戻しができるようにあらかじめトレーニングしておきましょう。パートナーが呼び戻しや行動制止がまだ完全にできない場合は、ドッグランは避けた方が無難です。

散歩中は必ずリードを使用し、犬同士を近づけすぎないようにします。犬がお互いにコミュニケーションをとりたそうな場合は、相手の飼い主に許可を得た上で、少しずつ近づけてみましょう。リードを張った状態で近づけると犬が緊張してしまうため、リードはたるませた状態であいさつをさせます。どちらかに嫌そうなそぶりが見えたり、万が一マウンティングに発展しそうになったりした時はリードで制御して距離をとりましょう。

マウンティングをやめさせるための方法について

マウンティングをやめさせるには、まずはパートナーの行動をコントロールできるようにすることが大切です。「ストップ」などの行動制止の指示を聞き入れるようにしつけたうえで、他の犬にマウンティングしそうになったらすぐにやめさせます。

人間に対するマウンティングのやめさせ方

人間に対してマウンティングをする場合は、まずは「ストップ」などの指示で行動をやめさせます。もし指示をしてもやめない場合は、その場から人が離れるようにします。かまってほしくてマウンティングをしている場合、「マウンティングをすると相手にしてもらえない」と学習させることで、その行動を抑制することができます。

一方、興奮してマウンティングしている場合も、人がいなくなることでマウンティングができなくなります。マズルを押さえるなど物理的な罰を与えると、パートナーが人の手に対して嫌悪感を持ってしまうことがあるので避けるようにしましょう。苦痛を与えることは、飼い主とパートナーの関係悪化につながります。飼い主が離れることで、物理的にマウンティングできないようにすることが正解です。

ハウストレーニングが済んでいる場合、マウンティングをしようとして興奮が収まらない場合は、ハウスに入れるタイムアウト法をとることもできます。ただし、ハウストレーニングが済んでいない場合は、ハウスに対して嫌なイメージを抱いてしまうので注意してください。

ぬいぐるみに対してのマウンティングのやめさせ方

ぬいぐるみに対してマウンティングをする場合は、他の遊びに誘うことでストレスなくやめさせることができます。

おすすめは、おやつを入れて探し当てるパズルのような知育玩具 や、コング のようなものです。おもちゃの中からおやつを取り出そうと、パートナーは夢中になってくれます。これらのおもちゃを与える代わりに、マウンティングの対象になるぬいぐるみは取り上げてしまいましょう。楽しい遊びを提供することで、マウンティングをやめさせられたストレスを発散させてあげることができます。人に対してのマウンティングをやめさせた時も、このようなおもちゃでストレス解消させてあげるといいでしょう。

おわりに

マウンティングは、犬として正常な行動です。しかし、現在の犬を取り巻く環境では、トラブルを避けてパートナーを守るためにも、させない方がよい行動でもあります。悪いことではありませんので、たとえマウンティングしたとしても叱るのではなく、制止の指示を聞き入れることができるようなしつけをしておくことを心がけましょう。マウンティングに限らず、「ストップ」や呼び戻しなどのしつけはパートナーと楽しく過ごすために必要なものです。きちんと指示を聞き入れるようにトレーニングをしてください。

また、現代の生活スタイルでは、子犬期に犬の社交術を身につけさせることは難しいのが現状です。犬同士の社交術を安全に身につけさせてあげるには、お互いの飼い主のスキルも必要になります。犬同士のコミュニケーションをとる場合は、パートナーの様子をきちんと観察し、トラブルにならないように注意してください。不安な場合は、ドッグトレーナーなどの専門家に相談することがおすすめです。

パートナーの様子に注意して、散歩やドッグランでも運動を安全に楽しんでくださいね。

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ストレスなく自然に!犬にマウンティングをやめさせるしつけ方

遠藤 和義(えんどう かずよし) ドッグトレーナー、ホリスティックケア・カウンセラー

犬業界のキャリアは今年で20年目。 国内外の著名なドッグトレーナーに師事し、モチベーショナル・トレーニングの 知識や技術を学ぶ。同時に、多数の保護犬・保護猫の日常ケアにもたずさわる。 各地のしつけ方教室の運営や動物系専門学校の教員などを経験後、縁あって GREEN DOGへ。実店舗やしつけ方教室の運営を手がけ、現在は年間3000件の健康相談を受けるセンターの責任者。
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