2017.11.03皮膚・被毛のケア

獣医師が解説!犬の毛の疑問 なぜ抜けるの?良い毛並みとは?犬を飼う前に考えること

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現在、犬は非公認犬種を含めて世界に700~800種あるといわれており、他の動物に比べて種類が豊かです。それは、人が長い月日を費やして犬を選択的に交配させ、用途や目的に合わせて改良したためです。その結果、犬は野生動物とは異なり、人が保護して食事を与え、手入れをしないと健やかな生活を送ることが難しい動物となってしまいました。

野生動物であれば季節の変化に応じて被毛が抜け替わり、衣替えができます。しかしながら、犬種によっては、脱落した被毛が絡み合って毛玉になってしまったり、毛が長く伸び続けたり、また逆に被毛がほとんどなかったりと、自然の摂理に逆らった毛質を獲得しています。したがって、人の手で犬種に合わせて被毛を適宜ケアすることは必要不可欠と言えるでしょう。

今回は、犬の脱毛や健やかな被毛と毛並みを維持するために必要なことなど、GREEN DOGの獣医師伊東が説明します。

抜け毛はいつおこるの?

犬の被毛には一次毛と二次毛があり、一次毛はオーバーコート(上毛)と呼ばれ、主に皮膚を保護する役割を担っています。二次毛はアンダーコート(下毛)と呼ばれ、保温と保湿の役割を担っています。

犬にはオーバーコートとアンダーコートの両方を持つダブルコートの犬種と、アンダーコートがないシングルコートの犬種がいます。ダブルコートの犬は春と秋にアンダーコートが生え変わるため、季節による換毛期があります。一方、シングルコートの犬は季節による換毛期はありません。

換毛期についての記事はコチラ→シングルコート?ダブルコート?犬の毛の構造別生え変わり期の抜け毛ケア

毛周期のサイクル(4期)

第1期成長期:毛包の細胞が活発に分裂し毛が成長する
第2期退行期:細胞の増殖が次第にゆっくりになってきます
第3期休止期:毛包が活動を停止(休止期)
第4期新生期:奥に再び新しい毛が生え始め、古い毛を押し出して脱毛が起こります

どんな犬の毛も上記の一定のサイクルで発育と脱毛を繰り返していますが、毛周期には犬種差や個体差があり、抜け毛の量にも違いがあります。

日々の抜け毛は長毛種が多いと思われがちですが、実はスムースコート(短く真っ直ぐな毛)のダックスフントやチワワ、ラブラドール・レトリーバーなどの短毛種のほうが多いのです。長毛種は毛が伸びる期間(成長期)が長く続くため抜け毛は比較的少なめなのですが、短毛種は毛周期が短く、短期間で毛が抜け変わるのです。

換毛期のケア

犬の換毛期は春と秋です。古い毛が抜け落ちて、季節に合わせた新しい毛が生えてくる準備を始めます。特に春から初夏にかけて、ダブルコートの中毛種、長毛種では冬に密生したアンダーコートがごっそりと抜け落ちますので、素早く完全に取り去る必要があります。主な犬種として柴、コーギー、ポメラニアン、ゴールデン・レトリーバー、ハスキー、ペキニーズなどが挙げられます。

抜け毛を放置すると毛に絡んで毛玉やフェルト状になり、抜け落ちずにいつまでも留まってしまいます。そうなると、皮膚が蒸れてしまい皮膚トラブルにつながるのです。
毛玉や絡んだ被毛を完全に除去するのは素人ではなかなか難しく、家庭でのケアだけでは充分でないケースがあります。そのような場合には、家庭でのケアと並行して、プロにグルーミングを依頼するのが良いでしょう。

皮膚トラブルは犬では最も多く発生する病気の1つですが、治療は長期化しますので、未然に防ぐためには愛犬を毎日ブラッシングして清潔を保ち日ごろから皮膚の状態を良く観察して病気を早期発見することが大切です。

美しい毛並みと毛質のための食事

パートナーの毛並みに影響する栄養素をご存知ですか?

美しい毛並みと毛質のためには、毛を生み出す皮膚の健康と十分な被毛の材料が揃っていることが大切です。消化吸収された栄養素は生命の維持に必要な臓器から優先的に行渡り皮膚・被毛へは最後になりますので、常に充分な栄養素を補う必要があります。特に換毛期には毛の発育が活発になりますので、皮膚・被毛が必要とする栄養素を意識して与えると良いですね。

タンパク質やアミノ酸

皮膚の角質や被毛は、ケラチンと呼ばれるタンパク質から作られており、アミノ酸であるメチオニンとシステインが主成分です。犬と猫では、食事中のタンパク質の約30%を皮膚および被毛の健康維持のために消費するといわれています。そのため、充分なタンパク質とアミノ酸の補給が必要です。
かつおいわし牛肉鶏肉納豆などにメチオニンとシステインが豊富に含まれます。

ビタミンA

皮膚の新陳代謝に関わるビタミン。不足すると皮膚や被毛に潤いがなくなってきます。
レバー牛乳バターチーズ卵黄などに多く含まれます。

リノール酸

リノール酸は皮膚からの水分など喪失を防ぐバリアー機能に関連する脂肪酸。
菜種油大豆油コーン油などの植物性油に多く含まれます。

γリノレン酸

γリノレン酸は皮膚の保湿に関わっており、抗炎症作用をもちアトピー性皮膚炎の治療にも用いられています。ルリジサ油 クロフサスグリ油 月見草油などに多く含まれます。

オメガ-3脂肪酸

皮膚からの水分喪失を防ぐバリアー機能に欠かせない脂肪酸であり、抗炎症作用も持っています。
魚油クリル油亜麻仁油シソ油など

ビオチン

皮膚の乾燥やフケ、脱毛を抑える働きのあるビタミンB群です。
酵母レバー腎臓鶏卵などに多く含まれます。

亜鉛

コラーゲンとケラチンの合成に重要な役割を果たし、皮膚と粘膜の健康維持にも欠かせないミネラルです。欠乏することによって、皮膚病変や被毛の成長の遅れがみられるなどの報告があります。
牡蠣牛肉レバー鶏卵などに多く含まれます。

メラニンの合成に必要なミネラルです。また欠乏することによって、被毛の色素の欠乏や被毛の色の変化、毛量の減少や光沢の消失、粗い毛などがみられます。
牛レバー干しえび大豆ゴマなどに多く含まれます。

トリミングの必要性

トリミングは見た目の美しさだけ?

トリミングとは、被毛をカットして整えるという意味ですが、定期的にトリミングが必要な犬種と必要のない犬種がいます。

定期的にトリミングが必要な犬種

・プードル
・ビション・フリーゼ
・ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
・シュナウザー
・イングリッシュ・コッカー・スパニエル
・アメリカン・コッカー・スパニエル
・シー・ズー
・マルチーズ
・ヨークシャー・テリア  など

トリミングが必要な犬種でも必ずしなければいけないわけではありません。しかし、切らないと毛が伸びてぼさぼさになってしまい、見た目の美しさや清潔感が失われ周囲に不快感を与えてしまうことさえあります。また美容のために行うと思われがちですが、毛を衛生に保つ、怪我の防止、ノミやダニなどの寄生を予防するなどの目的もあります。

定期的なトリミングの必要がない犬種でも、部分カットは適宜必要です。お尻周りの毛を短くすることにより、うんちが毛につきにくくなります。また、足裏の毛は伸びやすいので定期的に短くカットすることによって、フローリングで滑ることを防ぐことにつながります。

生活スタイルにあった犬種の選び方

犬をパートナーとして家庭に迎え入れる際、選ぶポイントはいくつもありますが、その中の1つに被毛の扱いやすさがあります。

短毛種

短毛種は毛が伸びても2~3cmほどですので、定期的なトリミングは必要ありません。そのため、被毛に対する費用や手間があまりかからない種類といえます。ただ、短毛種は毛が抜けやすいため、飼い主の服やソファー、カーペットなどの抜け毛対策は必須です。粘着ローラーをはじめ、色々な抜け毛掃除便利グッズ を活用したり、また服を着せたりすることで抜け毛の飛び散りは軽減できるでしょう。

中毛種

シングルコートの犬もいますが、多くはアンダーコート(下毛)があり、抜け毛が多いのが特徴です。定期的なトリミングは必要ないため日々の手入れは比較的簡単だと思われがちですが、こまめなブラッシングは欠かせません。また換毛期にはごっそり被毛が抜け落ちます。

抜け毛対策の記事はコチラ→気になる抜け毛の解決策!換毛期対策

長毛種

放っておくと、どんどん毛が伸びていきます。抜け毛はそれほどありません。長い毛が絡んだり毛玉ができたりしますので、毎日のブラッシングと定期的なトリミングが必要です。トリミングには費用がかかりますので、経済的な余裕も必要です。

まとめ

定期的なブラッシングやグルーミングは、犬にとっては食事や散歩と同じくらい重要なケアです。その犬種らしく清潔さを保つだけでなく、柔らかな人の手は愛犬に安らぎを与えますし、コミュニケーションの手段ともなり、病気の早期発見にもつながります。犬の被毛のスタイルはバラエティ豊かでとても愛らしいものですが、愛犬を選ぶときは、可愛い、好み、ということだけでなく、被毛ケアに手間や費用をどのくらいかけられるのかなど、現実的なことを想像することも大切です。

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伊東 希(いとう のぞみ) 獣医師、ホリスティックケア・カウンセラー

伊東 希(いとう のぞみ) 獣医師、ホリスティックケア・カウンセラー

1998年、日本獣医畜産大学(現在、日本獣医生命科学大学)獣医学科を卒業。動物病院や大手ペットフードメーカーでの勤務を経た後、GREEN DOGへ。現在は、スタッフ教育や商品の品質検証、オリジナルフードの製造に関わる。

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