2017.04.19皮膚・被毛のケア

【犬との暮らし】犬アトピー性皮膚炎の犬と暮らす2~不快な症状を和らげるホームケア

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【犬との暮らし】犬アトピー性皮膚炎の犬と暮らす2~不快な症状を和らげるホームケア

ホリスティックケア・カウンセラーで日本アニマルフィトセラピー学術協会理事長の加藤です。フィトセラピーとは植物を使って心身のバランスを整えて自然治癒力を高めていくこと。

「犬アトピー性皮膚炎の犬と暮らす」というテーマについてフィトセラピーを中心に愛犬ナイトや10数年にわたってご相談を受けてきたクライアントとの軌跡をたどりながらお伝えしております。

前回は、症状と自然治癒力の関係についてお伝えしました。

前回のコラムはコチラ→【犬との暮らし】犬アトピー性皮膚炎の犬と暮らす1~症状と自然治癒力の関係

第2回目となる今回は皮膚症状を和らげる家庭でのホリスティックケアについて具体的な方法をお伝えします。

犬アトピー性皮膚炎の痒みメカニズム

アトピー性皮膚炎などアレルギー性皮膚疾患の場合、皮膚細胞の成長速度(ターンオーバー)が通常よりも短くなってしまい、皮膚のバリア機能が低下してしまいます。そのため、表皮の組織が崩れて皮膚の保湿能が低下して乾燥を招いたり、アレルゲンの侵入を防ぐことができなくなったりしてしまいます。

そうなると痒みを感じる神経の先端が皮膚の表面に近いところまで伸びて外界からの刺激に対して過敏になり、痒みを感じやすくなってしまうのです。

 刺激 → かゆみ発生 → 掻く → 炎症 → かゆみ発生 → 掻く 

このようなサイクルを繰り返します。皮膚が乾燥すると刺激に敏感になり、かゆみを伴う炎症や湿疹を生じるため掻いたり舐めたりしてしまいます。するとさらにかゆくなり、搔き壊したり、舐め壊したりしてしまい、患部に雑菌が繁殖しやすくなるなどの悪循環を招きやすくなるのです。

皮膚のかゆみを和らげる3つのポイント

家庭でのケアはワンちゃんの状態に合わせて次の3つの観点から行います。
 保湿
 かゆみや炎症を軽減する
 菌の繁殖を抑える

不快な皮膚症状を和らげるホームケア

皮膚のかゆみを和らげる3つのポイントを踏まえて、自宅で手軽にできるケアを具体的に紹介していきます。やってみると本当に簡単に挑戦できます。

ポイント1 保湿する

オートミールとカモミールのハーブバス

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カモミール(左)とオートミール(右)

皮膚を清潔に保つために、シャンプーをこまめにしているケースも多いと思います。シャンプーの仕上げにハーブバスを加えることで不快な皮膚症状が和らぐことも。中でも評判の高いオートミールとカモミールのハーブバスは、オートミールが神経を鎮静させて保湿し、カモミールがかゆみや炎症を和らげ、炎症を鎮め保湿を助けるといわれています。

 準備するもの 

  • カモミール  大さじ1
  • オートミール 大さじ2
  • 水  500㏄程度
  • 洗面器またはバスタブ
    (バスタブを使う場合はハーブの量を2~3倍にしてください)

 ハーブバスの作り方 

  1. カモミールとオートミールを不織布の袋やガーゼで包む
  2. 鍋に水を500㏄程度入れて火にかけ、沸騰したら火を止めて1を入れ、ふたをして10分程度蒸らす
  3. 洗面器にハーブを入れた袋ごと2を移し、水やぬるま湯を足して適温に調整する
  4. ハーブ液が浸透するようガーゼやスポンジなどを使って皮膚全体を濡らす
  5. 5~10分を目安に浸かったら、タオルドライの後、ドライヤーで乾かす

36~38度くらいのぬるめの温度が適温の目安です。
体を温めすぎるとかゆみが増す場合もあります。愛犬に合わせて使用を判断しましょう。
被毛を乾燥させた後、保湿剤を利用するとさらに良いでしょう。

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折りたたみ式の洗面器なら場所をとらない

ココがポイント【犬との暮らし】犬アトピー性皮膚炎の犬と暮らす2~不快な症状を和らげるホームケア

全身浴が難しい場合、痒みの強い箇所を中心にリンスとして少しずつかけてあげても良いでしょう。足先(指間)に炎症がある場合は足浴(肢浴)だけでも有効な場合もあります。

ポイント2 かゆみや炎症を軽減する

ラベンダーの冷湿布

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自分から足を広げ湿布されるナイト

皮膚神経の先端はかゆみの他に熱さや冷たさ、痛み、触覚などの感覚をキャッチする受容器が備わっていますが、冷たいという感覚はかゆみよりも強く感じるため、かゆみが生じている場所を冷やすことは痒みを和らげるのに有効です。

ただ冷やすだけでも良いですが、かゆみや炎症を和らげるアロマを利用すると相乗効果が期待できます。

ナイトの場合はお腹のやわらかいところに湿疹ができやすく、舐め壊して真っ赤になってしまうことが多かったため、当時はラベンダー精油を使った冷湿布をする機会が多くありました。よほど気持ち良かったのでしょう。自分から足を広げてくれるほどでした。かゆみによる精神的なストレスにも効果があったようです。股関節形成不全のマッサージやメンタルケアなど、ナイトの一生を通してさまざまな方面で活躍してくれました。

 準備するもの 

 湿布の作り方 

  1. 洗面器に冷水を入れ、精油を1~2滴垂らす(氷を入れても良い)
  2. 適切な大きさに畳んだタオルを洗面器の中に入れる
  3. 水の表面に浮いている精油をすくうようにしてタオルに含ませ引きあげる
  4. タオルを軽く絞り、かゆみの強い部分に当てる
  5. タオルが温まってきたら、再度洗面器にタオルを浸ける、を繰り返す

炎症緩和にはジャーマンカモミール、ストレス緩和の効果にはローマンカモミールです。
10分程度を目安としますが、パートナーの状況を見て時間を調整してください。
精油は足さないでください。

ポイント3 菌の繁殖を抑える

クレイローション

クレイは地中から採りだされたミネラルが豊富に含まれた粉末粘土で、菌を取り込んで炎症を抑えたり、皮膚の再生を促進したりする作用があります。不快な皮膚症状がある時は患部を気にして舐めてしまい、そこに唾液が残って皮膚を刺激してしまうことがあります。できるだけ患部を清潔に保つため、ローションでこまめに清拭してあげましょう。

 材 料 

  • ホワイトカオリン(クレイ) 小さじ1/2
  • ミネラルウォーター 50ml
  • 50ml容器

 クレイローションの作り方 

  1. 材料を容器に入れてよく混ぜる
  2. コットンにしみこませて乾燥やかゆみのあるところに塗布する
  3. 冷暗所に保管し、1週間程度を目安に使い切りましょう

カレンデュラ(マリーゴールド)オイル
カレンデュラに含まれるルテインやリコピンなどのカロテノイドは損傷した皮膚の修復や炎症緩和に役立ちます。自分でも作ることはできますが、まずはアロマショップなどで市販されているカレンデュラオイルやカレンデュラオイルが配合されたクリームを炎症や乾燥している部位に塗ってあげましょう。アトピーの炎症は目や口の周り、被毛の薄いやわらかい場所に出やすいので、今までご紹介したケアに加えて併用しても良いでしょう。

積極的に使いたい万能薬のハーブ

最後に、皮膚トラブルがある場合だけではなくパートナーのさまざまなトラブルに活用しやすいハーブを1つご紹介します。

カモミール

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万能薬のハーブといわれるカモミール(白&黄の花)

最近ではスーパーのお茶コーナーにも陳列され、入手しやすくなったカモミールは、消化不良や腹痛などの消化器系不調や痛み、冷え、不安や緊張緩和など幅広い薬効があり、万能薬のハーブとして知られています。

抗アレルギーや消炎作用を持つカモミールの含有成分ビサボロールやアズレン誘導体のカマズレンは、目薬やうがい薬などの医薬品や化粧品の原料にもなっています。カモミールのかゆみや炎症を和らげる作用は外用と内服を併用するとより効果的であることがわかっていますので、外用のみならず内服でも利用すると良いでしょう(内服の方法については次回以降お伝えする予定です)。

おわりに

今回は犬アトピー性皮膚炎による不快な症状を和らげるために、飼い主さんご自身が家庭で行えるケアについてご紹介させていただきました。アロマやハーブを使ったケアについては、GREEN DOGグループのホリスティックケア・カウンセラー養成講座 でも詳しく学ぶことができます。

ご紹介させていただいた方法は愛犬ナイトや多くのクライアントさまなどで効果が出ているものですが、全てのケースに有効であるわけではありません。治療中の場合はかかりつけ獣医師の指示を仰ぎながら取り入れていただき、初めて行う際はほんの少しだけ皮膚の薄い場所につけてしばらく様子を見るなど、パートナーに異変が生じないか確認することをおすすめします。

次回からは身体の自然治癒力を高めるための5つのステップについてお伝えして行く予定です。

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【犬との暮らし】犬アトピー性皮膚炎の犬と暮らす2~不快な症状を和らげるホームケア

加藤 志乃(かとう しの)日本アニマルフィトセラピー学術協会、愛犬救命協会理事長、ホリスティックケア・カウンセラー

幼少期より多数の動物と暮らす。北里大学卒業後、10年以上製薬会社でMR、臨床開発に従事。愛犬のアトピーや股関節形成不全をきっかけにホリスティックの世界を知り、2007年にホリスティックケアカウンセラーを取得。アロマやハーブ、東洋医学他、さまざまな角度から行うホリスティックな視点でのアドバイスは日本全国にとどまらずアジア各国でも高評を得ている。
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