2016.08.01介護

寝たきりの愛犬のために。シニア犬(老犬)の食事介助の手順とコツ

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老犬(シニア犬)の食事介助

私たちよりもはるかに速いスピードで歳を重ねていくパートナー。生活環境や食習慣の改善、獣医療の進歩などで、昔よりずっと長生きする犬が増えています。

一緒に過ごせる時間が長くなったのは嬉しいこと。けれど、やがてパートナーの介護が必要になったり、寝たきりのお世話をすることになったりすることもあります。歳をとれば、なにかしらのサポートが必要になるのは犬たちも、私たち人間も同じ。

長い時間を共に過ごしてきた愛しいパートナーに、できるかぎり健やかな生活を送ってもらいたい。そう願う多くの方のために、今回は寝たきりのシニア犬(老犬)のための食事サポートについてご紹介します。

寝たきりの愛犬には食べられる食事の工夫を

食事の工夫

噛む力、飲み込む力が弱くなり、消化能力も落ちてくる寝たきりのシニア犬(老犬)。特に身体を支える大切な食事には、年齢を重ねたパートナーに合わせた食事内容で工夫をしましょう。

まずパートナーに最適な食事内容はなにか(固形物か流動食か)を確認しましょう。必ず獣医師の先生と相談し選択してください。

固形物を食べるパートナーの場合:

  • パートナーが飲みこみやすい形状や食べやすい柔らかさに工夫しましょう。ドライフードは、ぬるま湯でふやかしたり、細かく砕いたりして小さなお団子状に丸めてもOK。熱湯を使うとドッグフードの栄養素を壊す場合があります。人肌程度のぬるま湯が最適。レトルトフードや缶詰タイプなら、よくほぐして一口サイズに。
  • 手作りの食事ならパートナーの好きなものを取り入れながら工夫もできますね。加熱に強い野菜やお肉を柔らかく煮込んだスープをミキサーでさらに食べやすい大きさに調整して与えてみてもいいでしょう。そのままあげられるレトルト製品も市販されています。上手に活用してみましょう。

流動食を食べるパートナーの場合:

  • 前述の同じ方法で柔らかくした食材をさらにミキサーにかけます。ぬるま湯を足しながら、できるだけ食材のつぶつぶがなくなる程度まで滑らかなペースト状にしましょう(つぶが残っているとシリンジの先に詰まってしまいます)。人間の赤ちゃんの離乳食を作るミキサーやミルサー(茶葉を粉末にするミキサー)を使うと手早くペースト状にすることができます。
  • 流動食の水分が多すぎると量が増えてしまい、食事をするパートナーに負担がかかることも。反対に水分が少ないとうまく与えられません。パートナーが飲み込む様子をよく見ながら、最適な水分量で調節しましょう。
  • 流動食はシリンジ(針のない注射器)やハチミツの空容器などに入れて与えます。

犬にとっては本来、自分で食べることが自然なこと。そのため、介助していると、さまざまな理由で食べないときもでてくるかもしれませんね。そんなときも、私たちがあきらめずに少しでも食べる工夫をし続けることが大切です。

食事介助の基本のポイント3つ

シニア犬のための食事介助で最も注意することは、誤って食物などが気管に入ったり喉に詰まったりすること。喉に詰まると窒息の危険があります。また吐き出す力が弱いシニア犬の気管に食物が入ると誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)になることも。命にかかわることもありますから注意が必要です。

介助の基本と手順を正しく理解して、不安な場合は獣医師や専門家の指導を受けましょう。

ポイント1頭の位置を高くしましょう
食事介助の基本

食べ物を飲み込みやすくするために、頭の位置を少し高めにしてあげます。首や体の負担を減らすことができ、喉に詰まらせずに上手に飲み込む助けに。

フセができるパートナーは、写真のように膝の上でフセをさせて身体を支えながら介助しましょう。

横になったままのパートナーは、クッションなどで上半身を少し起こし、頭の位置を身体よりも高くしてあげましょう。顎を持ち上げて食事をすると気管に入りやすく危険です。また寝たまま食事をさせると喉に詰まる原因になります。

食事介助のコツ

ポイント2消化が良く柔らかい食事を与えましょう

消化能力や噛む力が低下しているシニア犬。寝たきりの愛犬の食事は、まず獣医師の指導を受けて食事内容を決めましょう。その上で食事の硬さ、種類、調理方法を選択します。食事の工夫にあるように、飲み込みやすく柔らかくする工夫をして与えましょう。

ポイント3水分補給をしましょう

飲み込んだものを確実に胃に流すために、食事中には水分も与えてあげましょう。また、シニア犬は喉の渇きに鈍感になります。自力で水を飲みに行けない寝たきりのシニア犬に限らず、シニア犬には一日に必要な水分を積極的に与えましょう。必要な水分量には個体差があるため、獣医師に相談してみましょう。水分は水だけでなく、ヤギミルクやスープ、吸収率の高いハイポトニック飲料などでも摂取できますよ。

それでは、実際の手順をみていきましょう。

食事介助の手順とコツ

  1. まずはパートナーの上半身を起こし頭が高い姿勢にします。上体を起こすときに首だけが上を向くなど無理な体勢にならないように注意してあげてください。
  2. 少し動くだけで疲れてしまうパートナーもいます。少しずつ体勢を整えて、落ち着くまで待ってあげましょう。
  3. やさしく声をかけたり撫でたりしてパートナーが落ち着いたら、食事で被毛が汚れないようにカバーします。タオル、ペットシーツ、赤ちゃん用の食事エプロンなどを使います。
  4. まずは犬の鼻先にフードを持っていきます。食事の香りをかがせてあげましょう。
  5. その後口元にあてて「ここに食べ物があるよ」と教えてあげましょう。突然口に入れると驚くこともあるので気をつけましょう。
  6. パートナーに合わせた大きさで一口ずつ口に入れます。固形食は介護用スプーンで口の奥の方の舌の上に。流動食はシリンジの先をやさしく犬歯の後ろ側から口先の方に向けて差し入れます。ひと口分の量をゆっくり注ぎます。このとき顎を上に向けてはいけません。(誤嚥の原因になります)
  7. 口に含んだら、喉をやさしくさすります。ゴクンときちんと飲み込めたかどうかの確認をします。うまく飲み込めていないこともあるので、食べ物→水→食べ物→水の順で与えます。シリンジなどで水を飲ませながら与えるのがポイントです。
  8. 手順5~7を繰り返しながら、短い時間で効率よく与えます。
  9. 食べ終わったら、口の中をガーゼなどできれいにしましょう。
  10. すぐに横に戻すと食べたものが出てきてしまうことがあるので、*20分~30分ほど姿勢を維持して、嘔吐やむせる様子がないかを見ます。
    *パートナーの状態によります。よく観察し、疲れてぐったりした様子があるなどの場合は、無理をせず横に戻してあげましょう。

シリンジなどの道具は犬専用のものがあり、ネット通販などで取り扱っています。獣医師に使い方のアドバイスをもらい正しく安全に使用しましょう。

食事を与えた後は様子を観察しましょう

様子を観察する

寝たきりのパートナーは、身体を起こしているだけで疲れてしまうことも。食事後に様子をよく観察することも大切です。

パートナーが食事の後すぐに嘔吐(おうと)してしまう場合は、食事をうまく飲み込めていないかもしれません。

むせたり、咳をしたり、ぐったりと疲れたりしていないか、普段と変わらない様子かもしっかり確認しましょう。

様子がおかしいときにはすぐに動物病院を受診しましょう。

一度にたくさん食べられなくなるシニア犬。食事を食べ終えてすぐにまた食べたがる場合もあります。1日の食事量を複数回に分け食事回数を増やしてあげれば、パートナーの気持ちを満たしてあげることができますね。

愛犬介護で一番大切なこと

いつも元気に走り回っていた大切なパートナーが年齢を重ね、やがて寝たきりになったら、初めは戸惑うことが多いもの。介護が必要となると私たちオーナーの心にも身体にも大きな負担が出てくるかもしれませんね。

食事の介助は毎日のこと。お世話をする人の根気がいりますし、時間もかかります。ときには諦めてしまいたくなることもあるかもしれませんね。

けれど愛犬の介護で大事なことは、一人で抱え込まないことです。助けが必要なときは、まず頼れる人やサービスを探してみましょう。わからないことや、困ったことは積極的に獣医師や専門家に相談してみてください。シニア犬専門のカウンセラーが無料で相談を受けてくれるサービスもあります。不安なあなたを助けてくれるところがきっとあるはずです。

私たちオーナーが穏やかな気持ちで食事を用意する様子は、一緒にいるパートナーにもきっと伝わっています。昔よりも反応が鈍ったパートナーでも、あなたの手から食べさせてもらう食事に食べる喜びをきっともう一度感じてくれているはずです。

GEEN DOG相談ルーム

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「犬のココカラ」編集部 チームGREEN DOG 監修・執筆

「犬のココカラ」編集部 チームGREEN DOG 監修・執筆

GREEN DOGの獣医師、トレーナー、カウンセラー、グルーマーなど犬の専門資格を持ったプロたちが一つのチームとなって、責任を持って執筆または監修しています。

寝たきりの愛犬のために。シニア犬(老犬)の食事介助の手順とコツ」への2件のコメント

  1. ミカ

    色々参考にさせて頂きました。
    昨日5歳という若さで突然自由がきかなくなってしまった愛犬の実状を受け入れられず、泣きながら手探りで見守っています。
    人間みたいに言葉で伝えてほしいと思ってしまい、一番しっかりしないといけないのはわかっているのですが、心がついていかないですね。
    みなさんはどうしているんでしょうか?

    1. 「犬のココカラ」編集部 チームGREEN DOG 監修・執筆「犬のココカラ」編集部 チームGREEN DOG 監修・執筆 Post author

      ミカ様
      GREEN DOGのシニア犬カウンセラーの山本です。このたびは、コメントをいただきありがとうございます。
      ミカ様のパートナーは5歳という若さでしかも突然自由がきかなくなってしまったとは、どれほどご心配なお気持ちかと存じます。
      相談ルームに届くオーナー様のお声からはお気持ちの持ちようは本当にさまざまです。私たちカウンセラーからは、次のようにお答えしております。パートナーは自身の体の不自由を悲観することは少ないといわれています。それよりもオーナー様の悲しんでいる様子をみて心配するのです。ケアや食事、薬や手術、その都度、オーナー様が選択する必要がありますが、それがどのような結果になろうと、パートナーのことを思って選択したことであれば間違いはないのです。
      ミカ様もお辛いでしょうが、パートナーのために良い時間を過ごすため、どうぞ気分転換もしてくださいね。パートナーにとって良いケアがみつかるよう私も願ってます。

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