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2014年7月14日

犬の歯周病について3 ~歯周病が進行すると~

前回のコラムでは、実際の症例写真を使って、歯周病について確認しました。

歯周病がどのように発生するか、なんとなくご理解いただけたでしょうか?知らず知らずに、実はお口の中で歯の病気は進行しているということですね。では、歯周病が進行すると、次に何が起こるのでしょうか?
歯の問題だけかと思われがちですが、その先に起こることが実はあります・・・そのうち幾つかをご紹介します。

歯周病が進行すると起こること


1.口臭がする

歯石・歯垢が蓄積されるとそこから生臭い匂いが生じます。いわゆる「口が臭い」という状況です。飼い主様が最初に気づく症状として多いのは、このお口の臭いです。


2.食事のときに痛がる、歯を気にする

歯周病が重症化すると、食べ物を噛むときに痛がることがあります。また、歯を気にして顔を前足でこするような行動が見られることがあります。


3.くしゃみ・鼻水・鼻出血

歯周病が進行すると、歯根部の炎症・感染が深部まで広がります。犬の場合、上顎の歯槽骨のすぐ直上には鼻腔があるので、歯根部の炎症・感染が鼻腔に穴を開けて(ろう管形成)しまうことがあります。
それが原因で鼻腔炎が発生し、くしゃみ・鼻水、という呼吸器の病気のような症状が出ます。

ろう管形成

※歯石がここまで重度化すると、外から見えない歯根部にまで歯周炎が進行している可能性はとても高いと言えます。たとえ、歯が動揺していなくても(動揺:ぐらぐらすること)、歯石を取ると実は動揺歯で、鼻腔内にろう管があり、くしゃみの病因となっているケースは多く見られます。


4.顔が腫れる、膿が出ている

歯の深部の炎症・感染が眼の下まで広がることがあります。その場合、頬が膨らみ、膨らみが重症化すると破裂し、中から膿が排泄されます。(根尖膿瘍)

根尖膿瘍

※眼の下(頬)に膿が溜まり、破裂した後の状態で、皮膚に穴が開いています。歯根の感染が原因なので、治療は、原因となっている歯を麻酔下にて抜歯し、その部位をよく洗浄します。発生部位は奥歯が多いです。


5.歯肉が膨らむ

歯周病が進むと、炎症・感染が原因で逆に歯肉を増生することがあります。見た目は歯肉の腫瘍のように見えます。


6.下顎の骨折

特に下顎で発生します。下顎の歯の歯周病が進行すると、下顎の歯槽骨(歯を支える土台)が融解(溶ける)していき、徐々に下顎の骨が薄くなり、最終的には骨折します。
緩やかに進行していくため、食事の食べ方がおかしい・痛そう、という症状が出る頃には骨折しています。


7.潜在的に全身性疾患に関わる

歯周病は潜在的に全身性疾患に関わる

獣医学領域ではまだ議論されている段階ではありますが、人の歯科領域では、歯周病が全身疾患へ影響することが明らかになっています。歯周病の原因となる細菌が全身性に回り、菌血症を引き起こしたり、炎症性物質が歯肉の隙間から全身の循環に入り体全体に影響を及ぼすことがわかっています。心臓病や細菌性肺炎、腎臓や肝臓への影響も報告されています。


いかがでしょうか?歯の問題は、その他の身体の問題にも大きくつながってくる甘く見ることができない問題です。次回以降は歯のケアについて、お家でできるケアと獣医師によるケアに分けてお話していきます。


この記事のお問合せ先

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自由ヶ丘動物医療センター
獣医師 寺村 靖史

  • 2010年3月 北海道大学獣医学部 卒業
  • 2010年4月~2015年2月 ルカ動物医療センター 勤務
  • 2015年4月 代官山動物病院、GREENDOG東京ミッドタウンクリニック 勤務

メッセージ

小さい頃から動物と接することが大好きで、生き物の「からだ」の不思議や科学にとても興味がありました。病気を治すだけが獣医の仕事ではないですが、病気を治すのが獣医の一番大切なことです。 常に新しい情報や治療を探し、それぞれの動物にとって一番良い選択について誠心誠意をもってお話をし、飼い主様と一緒に選択できればいいなと考えています。 軟部外科、画像診断、免疫疾患が得意です。
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自由ヶ丘動物医療センター

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TEL:03-5726-8440(直通)

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※12:30~16:00は手術対応時間になります。

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