シニア犬(老犬)の生活 ~シニア犬のためのマッサージ 実践編~

シニアⅠ期のパートナーとマッサージ

シニアⅠ期のパートナー(愛犬)にとって、マッサージはこれからのシニア時代を楽しく迎えるための心強いサポートとなります。加齢による身体の不調や症状が深刻化してからマッサージをはじめると、パートナーに負担がかかってしまうことも考えられるため、まだまだ元気なこの時期からマッサージを日常の習慣にしておくことをおすすめします。パートナーもオーナー様もマッサージに馴れていくと、両者が楽しみながら毎日の日課にすることができます。心と身体のバランスをマッサージで整えながら、パートナーが持っている治癒力を高め、これからのシニア期に備えましょう。

毎日しよう!シニアⅠ期の5分間デイリーマッサージ

マッサージは自然治癒力を高め、日々の健康増進に役立ちます。
シニアⅠ期のパートナーにはマッサージに馴れること、全身の経絡を刺激しその中を流れる「気」「血」「水」の巡りを良くすること、免疫力をアップすることに重点をおいたマッサージを紹介します。

一日の始まりには、「さぁ一日がはじまるよ!」
一日の終わりには「今日も一緒に楽しかったね。また明日も一緒だよ。」の気持ちを込めて、マッサージしましょう。力をいれる必要はありません。パートナーの表情を観ながら心地よい力加減で行いましょう。

※このマッサージは、パートナーの全身の経絡を刺激する方法です。同時に経絡の上にあるツボも刺激することができます。

1はじめ

はじめ

「マッサージはじめるよ~」やさしく楽しそうな声で、はじまりの合図をおくります。

2全身

全身

頭の上からしっぽにむかい、背骨のラインにそってやさしく数回なでます。
※督脈(とくみゃく)、膀胱経(ぼうこうけい)にアプローチ。

3肩から前肢

肩から前肢

肩甲骨(前肢の付け根)から手先にかけて円を描くようにマッサージします。肉球・水かきは親指と人差し指ではさんでやさしくもみます。
※三焦経(さんしょうけい)、小腸経(しょうちょうけい)、心経(しんけい)、心包経(しんぽうけい)、肺経(はいけい)、大腸経(だいちょうけい)にアプローチ。

4腰から後肢

腰から後肢

腰(後肢の付け根)から肢先にかけて、STEP02と同様に円を描くようにマッサージします。肉球・水かきは親指と人差し指ではさんでやさしくもみます。
※脾経(ひけい)、肝経(かんけい)、腎経(じんけい)、胃経(いけい)、膀胱経、胆経(たんけい)にアプローチ。

5顔まわり

顔まわり

人差し指もしくは人差し指と中指を使って、眉間から鼻先にかけてなでます。耳は片手で根本を持って、やさしくピーンと軽く引っ張ります。
※督脈(とみゃく)にアプローチ。

6ピックアップ

ピックアップ

皮膚を軽く優しくつかみ、ゆっくりと持ち上げ、ゆっくりと元に戻します。
※皮膚の広い部分を刺激するのに役立つ手法です。

7フィニッシュ!

フィニッシュ!

全身すっきり「気持ち良かったね」。マッサージに馴れない間は、おもいきりほめてハグしてあげましょう。

各経絡の主な働き

  • ・督脈:陽の経絡を統括している。
  • ・任脈:陰の経絡を統括している。
  • ・肺経:肺機能を調える。
  • ・大腸経:大腸の働きを調える。
  • ・胃経:消化吸収作用を調える。
  • ・脾経:胃経と協力し消化吸収作用を行う。
  • ・心経:心の働きを調える。
  • ・小腸経:小腸の働きを調える。
  • ・膀胱経:胃経と協力し生殖機能や老化に関係する膀胱を調える。
  • ・腎経:腎の働きを調える。
  • ・心包経:心を保護、調えながら三焦経と協調して働く。
  • ・三焦経:代謝を調整する働き。心包経と共に協調して調える。
  • ・胆経:胆と血(けつ)の働きを調える。
  • ・肝経:肝と血(けつ)の働きを調える。

シニアⅡ期のパートナーとマッサージ

シニアⅡ期のパートナーは、日常生活の一部で支援や介護が必要になってきます。足腰をはじめ身体に痛みがでてきたり、関節まわりが動かしづらくなったりすることもあります。引き続きⅠ期で紹介したデイリーマッサージで、身体の巡りがよくなるように働きかけてあげることがおすすめです。またこの時期からマッサージをスタートする場合は、基礎編の「マッサージする際のお約束」を参考に、Ⅰ期よりもより慎重に、パートナーの様子を見ながら行ってください。痛がったり嫌がったりする部分がある場合は、かかりつけの獣医師と相談しながらすすめましょう。

シニアⅡ期に追加してほしいマッサージ

シニアⅠ期で紹介したマッサージに追加して、Ⅱ期に取り入れていただきたいのは「目を元気にするマッサージ」です。マッサージに馴れてきたパートナーには、デイリーマッサージと併せてマッサージしましょう。

私たち同様、パートナーも加齢によって視力が低下すると目が疲れやすくなります。老化に伴う白内障も気になるところですよね。目のまわりにはいくつものツボがあります。東洋医学では「内臓の疾患は目に表れ、目の疲れは内臓にも悪影響を及ぼす」と考えられています。これらのツボを適度に刺激することは目にもパートナーにも心地よい刺激となり、身体全体にも良い影響が期待できます。

今回は、触りやすく、パートナーが座った状態でも寝た状態でもできる、おすすめのツボを3つご紹介します。ぜひお試しください。

マッサージに慣れていないパートナーは、まずはⅠ期のパートナー向けにおすすめしているデイリーマッサージから始めましょう。

目を元気にするツボの位置

目を元気にするツボの位置

マッサージ方法

マッサージ方法

ポイント

  • ・風船を優しく押して少しへこむくらいの力加減で行いましょう。
  • ・片方ずつ行いましょう。
  • ・パートナーが動かないように、優しくあごの下に手を添えてから行いましょう。
  • ・緑内障など、目にトラブルのあるパートナーは行わないでください。その他の疾病に関しても、マッサージに不安がある場合はかかりつけの獣医師に相談してください。

シニアⅢ期のパートナーとマッサージ

シニアⅢ期のパートナーは、Ⅰ期・Ⅱ期に比べると些細なストレスが原因で体調を崩してしまうことがあります。例えば気温や気圧の変化、寝不足や疲労、オーナー様の気持ち(不安な状態やイライラしている状態)など、今までは平気だったこともストレスにつながることがあります。場合によってはストレスが原因で心身のバランスを崩し、消化機能や免疫力などの低下、精神が不安定な状態になるなど、パートナーの身体に悪影響を及ぼしてしまうことも。過度に神経質になることはありませんが、パートナーが心身とも安定した状態でいられるよう、日常ケアを考えていくことが重要です。

シニアⅠ期~Ⅲ期の説明はこちら

シニアⅢ期に追加してほしいマッサージ

シニアⅠ期・Ⅱ期で紹介したマッサージに追加してⅢ期に取り入れたいのは、「ストレス軽減&免疫力アップのマッサージ」です。今回は寝たきりのパートナーでもマッサージできるよう、四肢のツボをご紹介します。

四肢には免疫力をアップさせるツボがいくつも存在します。そのツボを刺激することでパ-トナー自身が持つ免疫力をアップさせ、今の状態を維持または少しでも元気にすることが可能です。いろんな場所にでかけたこと、いろんな景色を見たこと、いろんな人に会えたことなど、今まで一緒に過ごした時間を思い出しながら、パートナーの四肢に"ありがとう"の気持ちと"これからも一緒にいようね"の気持ちを込めてマッサージしてみてください。

※マッサージに馴れていないパートナーは、まずはデイリーマッサージから始めていきましょう。はじめのうちはお互い多少戸惑うこともあると思います。特にⅢ期のパートナーは、若い時に比べると少々怒りっぽくなる傾向があります。そのような時は無理をせず、日や時間を改めましょう。

※マッサージは、手を通じてオーナー様の気持ちが伝わります。忙しいときや焦りがあると、パートナーはその気持ちを感じ取ってしまうので、マッサージするオーナー様の気持ちに余裕があるときに、無理せず行いましょう。

免疫力をアップさせるツボの位置とマッサージ方法

【液門(えきもん)】<場所>前肢、第4指と第5指の間の水かきの付け根※左右にあります。<方法>はさむように揉む

【湧泉(ゆうせん)】<場所>後肢の足裏。一番大きな肉球の中央 <方法>つま先に向かい指圧 ※大型犬は指先で、小型犬は綿棒を使いましょう

【委中(いちゅう)】<場所>後肢、膝の裏側 <方法>膝の表側に向かい指圧

ポイント

寝たきりのパートナーにはすべての箇所をマッサージすることが難しことがあります。
その場合はできる場所だけをマッサージするようにしましょう。
オーナー様の手のぬくもりを感じるだけでも心身の緊張がほぐれ、安心・リラックスをすることが出来ます。

Ⅲ期パートナーにおすすめのアロマケアと方法

「シャンプーをしてあげたいけどストレスを与えたくない」とオーナー様から相談を受けることがあります。この時期のパートナーにとっては、同じ姿勢を維持すること、シャワーやドライヤー中の温度変化なども負担に感じることがあり、若い時と同じようにケアすることが難しくなります。そんな時、ブラッシングウォーターをスプレーしたタオルやガーゼで優しく被毛を拭くことをおすすめしています。

頭や顔周りに使用するとき

まず手のひらにスプレーをし、両手をこすり合わせてなじませた手またはタオルやガーゼにスプレーをし、やさしく顔を撫でます。

※目に入らないように注意してください。
※お肌に合わなかった時はお湯で濡らしたタオルなどで拭き取ってください。

頭や顔周りに使用するとき

芳香浴をするとき

芳香浴をするとき

シニアⅢ期のパートナーとアロマテラピーを楽しむ場合は、部屋全体に香りを広めるのではなく、ハンカチなどに好きな精油を薄めたもの(★希釈の目安を参照)をスプレーして、パートナーの近くに置いてあげましょう。香りを変える時は、ハンカチを交換するだけで済みます。 万が一、気に入らない香りでもハンカチを取り除き、部屋の換気をすればよいのでオーナー様にとっても手軽でおすすめの方法です。

★希釈の目安 無水エタノール2ml+精製水58ml合わせたものに精油1~3滴

シニア犬のためのマッサージ ~基礎編~ おすすめの精油はこちら

この記事を書いた人

みなみ 愼子(みなみ ちかこ)

みなみ 愼子(みなみ ちかこ)

Bean's代表、ホリスティックケア・インストラクター

企業で十数年OLをしながら英国式アロマ、メディカルアロマ、ドッグマッサージ、ペットのための東洋医学を学ぶ。その後独立し、犬の手作り石鹸教室、アロマ、マッサージ教室Bean'sを開講。現在は教室と併せ、専門学校(ドッグアロマ/ドッグマッサージ/動物福祉学/ホリスティックケア・カウンセラー養成講座)・企業向け講師、医療機関でセラピストとして活動中。

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