何時間が限界?愛犬に上手に留守番してもらう方法
みなさんの愛犬は、お留守番に慣れていますか?我が家の犬たちも時に長いお留守番をする機会があります。
日常的にお仕事などで留守にする機会が多いご家庭もあれば、普段はなくても突発的な事情でどうしても家を留守にしなければならないこともありますよね。
群れで生活する犬にとって、ひとりぼっちになる時間が長くなることはストレスになります。だからこそ、愛犬が気持ちよく留守番できるよう飼い主が心得ておきたい環境づくりや、練習方法などを、ホリスティックケア・カウンセラーで日本アニマルフィトセラピー学術協会理事長の加藤が解説します。
留守番時間の限界は?
どれくらいの時間留守番できるかは、その性格や年齢など個体差があるので一概に何時間くらい、と言い切ることはできません。ですが、日中仕事で家を空けているご家庭の犬であれば、平均9~10時間程度留守番していることになります。
我が家の場合は8時間超えるとペットシーツやクッションが吹っ飛んでいたりすることがあるので、おそらくお留守番の限界がきて暴れているのでは?と思われます。
いつからできるようになる?
生後半年頃までの子犬は消化器官や膀胱が未成熟なため、食事の回数は1日3~5回程度に分けて与えることが好ましく、おしっこやうんちの回数も多くなります。そのため、お世話に必要な時間も成犬に比べて多くなり、長時間1頭でお留守番させておく、ということがなかなか難しいのが実情です。
個体差があるので留守番可能な時期や時間ははっきりと断言できませんが、お世話の頻度から単純計算してみると、生後半年くらいまでは3~5時間前後くらいが目安となるのではないでしょうか。(あくまでも目安です。推奨しているわけではありません。)
いきなり長時間の留守番は犬の精神面にも強い負担となりますので、留守番の時間は排泄や食事の間隔などを加味した上で、短時間から少しずつ伸ばしていってあげるようにしましょう。場合によっては数分からの練習が必要なことも。
ただ、お仕事の都合上、どうしてもはじめから留守番が必要な場合もありますよね。そんなときには近くに住む家族や友人を頼ったり、ペットシッターや保育園などの預かりサービスを利用したりすることで、お互い負担なく上手にお留守番できるよう練習を重ねていきましょう。
快適なお留守番のために
留守番の間、パートナーが快適に過ごせていたら飼い主としても安心して過ごせますよね。事故なく安心に過ごせるよう、留守中の環境は快適さと安全面との両面から考えたいところです。
留守番の環境
- 室内の安全性
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届く場所にイタズラや誤飲誤食につながるものを置かないようにすることは安全面で最も大切なことです。
その他観葉植物などに有毒な成分を含むものや、意外なところでコンセントプラグなどにも注意が必要です。今までは関心がなかったのに、突然興味を示して口にしてしまったというケースもあります。
- ケージやクレートの利用
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室内でフリーにするかケージやサークル、クレートを使うかは、家庭によって意見がわかれるところですが、安全面や快適さを考えた時に、愛犬にとってどちらがリスクや負担が少ないかということを考慮し、それぞれに合ったほうを選択してください。
我が家の愛犬たちは 留守中室内フリーで過ごしていますが、万が一の事故に備えて中型犬以上と小型犬は違う部屋に分けています。3頭の愛犬たちにはそれぞれのクレートがあり、飼い主が在宅中であってもその中でくつろいでいることも多いので、留守中も好きに過ごさせています。
- 室内の温度・湿度
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犬が快適に過ごすために推奨される室内の温度は約22~25度、湿度は50%前後です。季節によって冷暖房を使いつつ、調整してください。寒い時期は日の入る場所にブランケットなど用意しておいてあげると快適に過ごせます。暑い時期は急な停電時の対策なども考えておくといいかもしれません。
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- その他
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留守中、テレビやラジオなどで人の声を流しておくこともよい刺激になると言われています。リラックスに効果的なアロマや音楽などを流してあげるのも愛犬の留守番ストレスを和らげるのに有効です。
音の波動が心身に働きかけ、自然治癒力を高める音楽療法は人間の医療ではすでに使われているセラピーですが、犬にも効果があることがわかっています。
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お世話のタイミング
成犬であれば、ごはん・お散歩・トイレの掃除などは、飼い主さんの外出前と帰宅後でOK。
ある程度規則正しい時間にお世話をすることが好ましいですが、やむを得ず不規則になってしまうこともあるかと思います。
それほど時間を守ることにはこだわらず、できるだけ規則正しくを心がけつつ、帰宅が遅くなりそうな日は自動給餌器などを使ったり、その日の散歩をなしにして次の日長めに時間を取ってあげたりなど、お互い負担にならないやり方で暮らしてメリハリのある付き合い方ができるといいですね。
退屈させないための工夫
長時間の留守番では、性格や年齢によっては退屈して家の中のものをボロボロにしてしまうなどのイタズラや、吠えなどの問題行動につながることもあります。
少しでも楽しく過ごせるような工夫として、知育玩具なども取り入れてみるといいでしょう。
ただし、長持ちするガムやジャーキー、丸呑みしてしまいそうなサイズのおやつやおもちゃなどは、誤嚥の可能性あるので留守番中は与えないように注意しましょう。
留守番上手にさせるための練習

我が家に迎えた保護犬。半年ほどかけてクレートでくつろげるように。
そもそも群れで過ごす犬は孤独が苦手なため、ひとりでの留守番は不安を感じやすくなります。留守番を少しでも快適に過ごしてもらうために、以下のことを事前に練習しておくと安心です。
トイレトレーニング
犬にとって安心して排泄できる場所があることはとても大切です。在宅中にはできていても留守番時にトイレの場所が変わってしまったために失敗したり、強い不安を感じて我慢してしまったりすることもありますので、事前に練習しておくことをおすすめします。
排泄のタイミングは個体差がありますが、排尿回数の目安は3カ月齢以降では「月齢×1時間」程度、うんちの回数は子犬で1日に5~6回、成犬で1~2回くらいです。(3カ月齢まではもっと頻繁です。)
排泄のタイミングを「トイレ日記」としてメモしておくと傾向がつかめますのでグッとトレーニングしやすくなりますよ。
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クレートトレーニング
留守番環境の安全性が確保できない場合は、クレートやサークルなどで留守番をしてもらう必要があります。犬は元々狭くて暗い場所が好きな動物なので、クレートのような狭い空間は犬にとっては広い室内で過ごすよりも安心できる場所になりえます。
練習をしておくと留守番のみならず、車内での移動や旅行など慣れない場所に出かける時、万が一の災害、入院やペットホテルなどでもストレスなく過ごせる場所となります。
クレートが苦手になっている場合は、気持ちの負担なく、良いことのある場所、楽しい場所というように少しずつ段階を踏んで慣れさせてあげてください。
以前暮らしていた保護犬のドーベルマンは、多くのトラウマを抱えていてクレートに足を踏み入れることができませんでした。おそらくクレートは閉じ込められるところ、怒られる所だったと推測しています。
おやつやおもちゃを使ったゲーム感覚で楽しくトレーニングを心がけることで自ら足を踏み入れるようになり、中でごはんが食べられるようになり、半年ほどかかって中でくつろげるようになりました。クレートの中でくつろいでいる姿を始めてみた時の感動は今でも忘れられません。
おわりに
がんばってお留守番してくれた愛犬には、たっぷり遊んだり、おいしいごはんやおやつと一緒に飼い主さんの「ありがとう」の気持ちを伝えつつ、めいっぱいコミュニケーションをとってあげてくださいね。
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加藤 志乃(かとう しの)日本アニマルフィトセラピー学術協会、愛犬救命協会理事長、ホリスティックケア・カウンセラー

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