汚れや耳垢、においが気になる?犬の耳に本当に必要なホームケアとは
梅雨のジメジメした時期や蒸し暑い夏は犬の耳のトラブルが発生しやすい季節。深刻なトラブルになる前にこまめにチェックして正しいケアをしてあげましょう。
チェックの仕方は実はとても簡単!今回は、犬の耳トラブルの原因や、耳トラブルに気をつけてあげたい犬種、おさえておきたい耳トラブルのチェックポイントと正しいホームケアの方法についてもご紹介します。
耳トラブルの原因って?
犬の耳の構造ってご存知ですか?犬の耳は、外耳、中耳、内耳、の3つの部分に分かれています。外耳から鼓膜につながる外耳道は、途中で奥の方へ折れ曲がりL字型をしているんですね。そのため、覗き込んでも耳の奥は見えない構造になっています。
シャンプーや水遊びなどで耳の中に水が入ってしまった場合、犬は頭を振ることで外耳の水を外に出します。けれど、耳の奥まで水が入ってしまうと、水が抜けないまま耳が蒸れることで耳トラブルの原因となることがあります。シャンプーのときは特に、シャワーなどで耳の中に水が入らないように気をつけてあげましょう。
また特に耳トラブルが起こりやすい犬種は共通して耳の中が蒸れやすい特徴があります。耳が垂れていたり、耳毛が多かったり、耳道が狭い犬たちです。また皮脂分泌が多い犬(脂漏症傾向のある犬)は耳垢が多い傾向があります。蒸れたり、耳垢が溜まりやすかったりする犬の耳は、細菌やマラセチアなどの真菌が繁殖しやすくなり、外耳炎の原因となることがあります。
耳のトラブルに気をつけてあげたい犬種
- 垂れ耳の犬種・・・ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、キャバリアなど
- 耳毛が多い犬種・・ミニチュア・シュナウザー、プードルなど
- 耳道が狭い犬種・・パグ、ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグなどの短頭種
- 耳垢が多い犬種・・アメリカン・コッカー・スパニエル、シーズー、ウェスティなど
リストない犬種でも、こまめに耳の状態をチェックすることが大切です。かゆみや炎症でパートナーに辛い思いをさせたらかわいそうですものね。
パートナーの耳のチェックポイントは?
健康な状態の犬の耳はピンク色で、余計な耳垢も無く、嫌なにおいもありません。犬の耳垢は、通常は奥の方に溜まることなく外耳道まで自然に出ていく仕組みになっています。(耳道の上皮移動)
通常の耳垢は黄色っぽい色をしていて、においや粘つきもほとんどありません。耳垢は弱酸性で殺菌作用や皮膚を保護する役割があるので、通常は頻繁に外耳道を掃除する必要はありません。
しかし、細菌の繁殖やアレルギー、異物の侵入などで外耳炎の症状が出ているときは、耳垢にに特徴が出ます。外耳炎になると外耳が赤く腫れたりすることもあります。
パートナーの耳をチェックするときには、耳垢の色、耳垢の質感、臭いはもちろん、外耳に腫れているところはないかなども併せてチェックすることがポイントです。
要チェック!こんな耳垢は耳トラブルのサイン
- 黒く乾燥した耳垢・・・・耳ダニで多く見られる
- 湿った黄色い悪臭を放つもの・・細菌の感染で多く見られる
- 茶色のワックス状・・・・酵母(マラセチア)の感染で多く見られる
- 黄色のワックス~油状・・脂漏症で多く見られる
また頭や耳を触られることを嫌がったり、頻繁に頭を振ったり耳をかいたりする場合も、耳トラブルのサインです。耳トラブルはパートナーの日常の様子からわかることが多いので、日頃からパートナーを観察することを心がけてあげましょう。
また、パートナーの耳をチェックするときには、上に引っ張ると痛がることもあります。耳を後方に引き寄せるようにやさしくチェックしてあげましょう。
耳の健康に本当に必要なホームケアとは
これまでの犬の耳ケアといえば、耳毛抜きや、液体クリーナーなどによる耳そうじが常識とされてきました。けれど最新の知見によれば、従来のケアはおすすめできないことがわかってきたのです。
その理由と犬の耳に本当に必要なホームケアをご紹介します。
耳毛カット
GOOD!
耳の通気性をよくしたい場合には、プロのグルーマーに耳の中の毛を短くカットしてもらうだけにします。
NG!
従来の耳毛抜きはパートナーに大変な苦痛を与えるだけでなく、耳道内に炎症や感染を引き起こす原因にも。基本的には、耳毛の処置は必要ありません。
耳介をやさしく拭く
GOOD!
ホームケアでは耳介(外耳手前の目に見えているヒダ部分まで)をやさしく拭くだけでじゅうぶん。やわらかいガーゼやコットンに専用のイヤークリーナーを染み込ませ、こすらないように優しく拭きましょう。デリケートな耳の皮膚。植物由来の天然成分や化学成分を使っていないイヤークリーナーを使えばより安全にケアできます。
NG!
液体イヤークリーナーを耳に注いで耳の根元を揉む耳そうじでは、耳道内にこびりついた汚れを取るのは難しく、かえって汚れを耳の奥に詰まらせてしまうことも。慢性の炎症がある場合には鼓膜が破れてしまう可能性もあります。
綿棒を使った耳垢そうじはしない
GOOD!
奥の耳垢が気になる場合や外耳道に炎症が見られる場合、耳垢に異常がある場合には自宅ケアはせず、まずは獣医さんに相談し、根本的な治療を行ってもらいましょう!
ご紹介したのはあくまでもパートナーの耳に異常が無い場合です。耳のチェックで異常が見つかり、治療として耳毛の処置が必要な場合やイヤークリーナーでの耳洗浄などの自宅ケア方法を指示された場合には、必ず獣医さんの指示に従いましょう。
NG!
綿棒を使ってのお手入れは、耳垢を耳の奥まで押し込んでしまいます。外耳道に刺激を与え傷つけたり、炎症がある場合には、悪化させてしまう恐れも。
関連記事⇒一般的な耳のホームケアの落とし穴
おわりに
犬の耳トラブルの一番の原因は耳の中が蒸れること。犬の中でも耳の構造や体質で耳のトラブルになりやすい犬種がいることなどをご紹介しました。
遠くに響くオーナーの足音を聞き分けて玄関で待っていたり、オーナーの声に一生懸命に耳を傾けたり、愛しいパートナーの大切な耳。
健康な耳はトラブルがなくとても綺麗です。普段から耳の健康な状態を知っておくと耳のトラブルにも気づきやすいですね。毎日のコミュニケーションの中で耳のチェックをしてあげると、習慣づけられます。こまめなお手入れよりもこまめなチェックを心がけてあげましょう。
また愛犬に合ったより詳しい耳ケア方法を知りたいときには、犬の専門家に相談してみるのもおすすめです。正しい方法でパートナーの耳をいつも快適な状態にしてあげたいですね。
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「犬のココカラ」編集部 チームGREEN DOG 監修・執筆

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