吠える理由もいろいろある?愛犬が吠える原因とその対処法
愛犬のお悩みの中で特によくあるのが「犬の吠え」についてです。犬や人に向かって、インターフォンが鳴るたび、あるいは飼い主の留守中に・・・状況はさまざまですが、大きな声で吠えられてしまうと飼い主さんも困ってしまいますよね。
今回は犬が吠える原因と、その対処法についてドッグトレーナーの三井が解説します。
「無駄吠え」なんてない?犬が吠える原因とその対処法
犬が吠えるときは、その犬なりの理由があります。ですので、犬にとっては無駄吠えというものは存在しません。とはいえ人間と生活する社会においては、他の人に迷惑をかけないように、犬にもルールを守ってもらう必要があります。
そのときに、一方的に吠えるのをやめさせるだけでなく、犬がどうして吠えるのか?の理由を理解してあげた上で今吠える必要はないことや、吠えずにどうしたらいいのか、を教えてあげる必要があります。
ケガや病気などが原因の吠え
意外と見落とされがちですが、身体の不調が原因となって吠えるケースです。犬は言葉を話せませんから、ケガや病気になって不調を吠えることによって訴えることがあります。
それから高齢になってくると、夜中に突然鳴きだすことがあります。老犬の夜泣きは認知症が進行している代表的な症状です。
いわゆる分離不安という心的疾患によって、飼い主が出かけている間中さびしくてずっと吠えている犬もいます。
特定の場所を触ろうとすると吠える、元気や食欲がない、違う行動をとるなど、いつもと違う様子が見られる場合は一度疑ってみてください。また、普段から定期的な健康診断を受けておき、普段の状態を知っておくのも有効です。
警戒による吠え
何に対して警戒するかは犬によって異なりますが、多くは人や音に対して反応することで吠えにつながるケースです。
警戒心の強い犬はテリトリーに外部からの侵入者や見慣れないもの・音があれば吠えるのが自然です。今回はよくある例として、インターフォンの音に反応して吠える犬を取り上げて具体的に説明したいと思います。
その他、インターフォンの音に吠える犬の対処法として以下の方法があります。
音に馴らす
- インターフォンが鳴っても何も起こらない、誰も来ないという状況を繰り返すことで、警戒する対象ではないと犬に学習させます。
鳴ったら決まった場所に移動させる
- インターフォンが鳴ったらハウスやマットなど、愛犬のお気に入りの場所に行くように促します。この場合は、愛犬の好きなおやつなどを使って普段から特定の場所に行くといいことがあると関連付けをして、言われたら素直に行く習慣をつけておくようにしましょう。
同時に、その場所で待っていることや、その中で吠えないといことも教えていく必要があります。
※インターフォンに反応して吠える理由は警戒だけでなく、「誰かきたよ」と飼い主に知らせている、鳴ると飼い主がいなくなるのでその行動に反応している、という場合もあります。
要求による吠え
犬が自分の要求を叶えてもらおうとアピールするケースです。「食べたい」「抱っこしてほしい」「散歩に行きたい」「ボールを投げて」などの要求があるのに、飼い主が相手にしてくれないときに、犬たちは吠えて自分の気持ちを伝えようとします。
このような要求吠えの原因は、おおむね私たち人間側にあります。犬を静かにさせようとその要求に応えてしまうと、犬たちは吠えるとしてほしいことが叶う、と学習してしまいます。
要求吠えが激しい時は、知らん顔して落ち着くのを待つというのも一つの方法ですが、吠えている状態自体が犬にとってはストレスになります。
「オスワリ」などの作業を依頼し要求の気持ちをリセットしたり、ハウスやマットなどに行くように指示したりして、要求の対象物から離すことで、できるだけそのときの興奮を抑えるようにしましょう。
また、「要求吠え」が出ないようにするためには、はじめからやってほしくないことについてはルールを一貫して教えてあげることが必要です。
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興奮して吠える
うれしくて興奮しているときも犬は吠えます。たとえば外出から帰ってきた飼い主にようやく会えたときなど、興奮して大きな声を出す愛犬は多いのではないでしょうか?
そんなとき、飼い主が一緒になって喜んでしまうとさらに犬も興奮して吠え声もおさまらなくなってしまうので、できるだけいつも通りの行動を心がけ、落ち着いて声をかけてあげると、上がりきった興奮を少し抑えることができます。
怖くて吠える
恐怖心も吠える原因です。いつもの散歩道に急に見慣れないものがあったときや、道端で会った犬に対して、知らない人が近くに来るなど、吠えて威嚇する犬もいます。
そんなときは、無理やりそばに近づけるのではなく、自分から近寄れるぐらいになるまで待ってあげたり、最初からある程度の距離をとってあげたりすることから始めてみましょう。
また、日頃から「気にしない」「あなたには関係ない」と言った合図を使ったトレーニングをすることで、少しずつ存在を気にしないようにさせていくこともできます。
よくある落とし穴!しつけのNG例
このような対処法は1回で効果がでるものではありません。なぜなら何度も繰り返すことで、犬に学習してもらわないといけないからです。
とはいえ今すぐ解決したい!とお悩みの飼い主さんなら誰しも手軽で即効性のある方法はないかと考えるのではないでしょうか?
手軽さからつい手を出してしまいがちですが、一時しのぎにしかならなかったり、やり方によっては犬にトラウマを作ってしまうことも。そんなしつけのNG例をご紹介します。
無駄吠え防止グッズ
世の中には「無駄吠えがなくなる」と称して、犬が吠えると振動や電気が流れる首輪や、犬が嫌がるにおいや超音波が出る機械・口輪など、物理的にネガティブな影響を与えることで吠えをやめさせようとする商品が市販されています。
これらのものはいっとき効果があるかもしれませんが、犬が慣れてしまえばまた吠える状態に戻ることが考えられます。
また、本質的な解決にならないうえ、飼い主との信頼関係も崩しかねない行為のため、おすすめできる方法ではありません。
天罰方式
天罰方式とは、飼い主が直接叱ったり罰を与えたりするのではなく、犬のそばに大きな音がするものを投げたり嫌がるにおいのするものを置いたりして、不快感を与えることによって問題行動を抑制する、という方法です。
これも無駄吠えグッズと同様、いっとき効果があっても犬に不快な思いをさせ、根本的な解決策とはなりません。
また、長く続けていくうちに、「音響シャイ」といって出どころのわからない大きな音を過剰に怖がるような症状を引き起こしかねないリスクがあります。
大声で怒鳴る、叱る、叩く
吠える犬に大きな声で叱ったり、つい手が出てしまったりする飼い主さんはいませんか?
この方法も一瞬びっくりして動作が止まるかもしれませんが、やはりこの方法も根本的な問題が解決されないかぎり、犬たちは吠えることをやめないでしょう。
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おわりに
どんな犬種や個体にも気質があり、吠えやすい犬もいます。そうでなくても、犬はもともと吠える生き物です。
犬の「吠え」の原因を突き止めるには、犬の行動やその性格、環境などに基づいた総合的な判断が必要です。それらが複雑に関係していることがあるため、「これひとつですべて解決!」というような方法はありません。
誤った対処・対応を施してしまうことで問題をかえって悪化・深刻化させてしまう前に、ひとりで解決しようとせず、迷ったらぜひプロの獣医師やトレーナーに気軽に相談してみてくださいね。
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三井 惇(みつい じゅん) CPDT-KA、ドッグトレーナー/ドッグダンスインストラクター、ホリスティックケア・カウンセラー

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