2014年7月14日
犬の歯周病について2 ~歯肉炎・歯周炎・歯石の症例~
前回のコラムでは、犬の歯周病の大半を占める、歯肉炎と歯周炎どのように発生するのか、また歯石ができるまでのお話をしました。今回は実際の症例写真を使って、歯周病について確認していければと思います。
歯肉炎・歯周炎・歯石の症例画像
歯肉炎の症例

この例では犬歯に歯肉炎が見られます。犬歯や後臼歯のような大きい歯は歯垢・歯石がつきやすく、歯周炎も進行しやすいです。
●赤の矢印:犬歯
歯石が歯の2/3ほどに付着し、歯肉炎あり。また軽度の歯肉退縮あり。
●青の矢印:前臼歯
歯石が歯の2/3ほど付着しているが、歯肉炎は見られない。
歯周炎の症例

この例では犬歯に歯石と歯周炎が見られます。
●赤の矢印:犬歯
歯全体に薄く歯石がある。歯肉と歯の境に歯垢が付着し、そこの歯肉の炎症・退縮が顕著。
●青の矢印:第3切歯
歯垢・歯石はなく、きれいな歯。
歯石の症例

上顎の歯に大きな歯石が付着しています。
●赤の矢印:上顎の第4前臼歯
●青の矢印:下顎の第1後臼歯
この二つの歯は重なりあうため、下顎よりも上顎の方が歯垢・歯石がつきやすい。


歯石は外側だけでなく、歯の裏側にも付着します。普段は見えないところですが、実は、しっかり歯垢・歯石がついています。
歯周病が進行していたため抜歯された歯

麻酔下の処置で抜歯された歯。上顎の第2後臼歯で、一番奥の歯で小さめの歯となります。歯根部まで歯垢が付着し、根っこを溶かしています。この一番奥の歯は歯みがきがしづらく、歯周病が進行しやすいのですが、根っこは深くないため抜けやすい歯です。
いかがですか?画像で見ることで意外な気づきがあったのではないでしょうか?
この機会に愛犬のお口の中をぜひ確認してみてください。こまめに歯みがきをすることが歯石や歯周病予防の第一歩です。すでに歯石が付いてしまっている場合や、炎症が見られる場合は早めに獣医師にご相談くださいね。
次回は、歯周病がもたらすさまざまな影響についてお話します。
この記事のお問合せ先
自由ヶ丘動物医療センター
獣医師 寺村 靖史
- 2010年3月 北海道大学獣医学部 卒業
- 2010年4月~2015年2月 ルカ動物医療センター 勤務
- 2015年4月 代官山動物病院、GREENDOG東京ミッドタウンクリニック 勤務
自由ヶ丘動物医療センター
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