獣医師が解説!シニア犬(老犬)の食事 ~病気時の食事療法あれこれ~

現代の獣医療では、食事療法はとても重要な役割を占めています。外科や薬物とあわせて積極的に食事療法を行うと、期待する治療効果を得られることが多いようです。特にシニア期に入るとパートナーが病気にかかるリスクが少しずつ高まってくるため、食事療法を必要とする機会も多くなってきます。

では、食事療法はどのように行われるのでしょうか?

食事療法の種類

POINT1

療法食<動物病院でのみ販売>

日本では動物病院のみの取扱いであり、獣医師から処方されます。最先端の獣医栄養学が詰め込まれており、メーカーから豊富なデータとエビデンス(獣医学知見や臨床結果)が提供されています。


メリット

獣医師が製品情報を熟知しているため、栄養管理がしやすい。さまざまなメーカーが開発しており、ドライフードや缶フード、レトルトパウチなど種類が豊富。


デメリット

通常のフードよりも嗜好性が劣り、パートナーが食べないことが多い。合成酸化防止剤が使用されていることがある。

POINT2

療法食<店舗・インターネットでも販売>

療法食<店舗・インターネットでも販売>

日本では動物病院をはじめ、ペットショップなどの店舗・インターネットでも購入できます。海外では「療法食<動物病院のみ販売>」と分け隔てなく扱われているものもあります。


メリット

獣医栄養学のノウハウが詰め込まれているとともに、高品質な原材料にこだわって作られている。中にはハーブを豊富に用いたものもある。嗜好性も良いためパートナーが好む傾向がある。


デメリット

充分なデータやエビデンスが公表されておらず、獣医師のサポートが得られにくいことがある。

POINT3

成分調整した一般フード

病気ケアを考えて、簡単な栄養調整をしているフード。店舗やインターネットで販売。


メリット

ナチュラル系フードが多い。療法食を全く食べないときのサポート食として利用できる。


デメリット

栄養成分の調整が部分的なため、食事療法の効果が得られにくいことがある。

POINT4

手作り食

手作り食

獣医師の指示のもと、病気管理のレシピに基づいて家庭で作る食事。


メリット

パートナーの好みに合わせた肉・魚や季節の野菜などを使って、作ることができる。原材料が明らか。


デメリット

厳密に栄養成分を調整するのが難しい。材料の調達に労力とコストがかかる。

いずれの場合でも、食事療法の効果をきちんと発揮させるために、次の点に注意する必要があります。

ポイント
1

食事療法を行う際には、必ずかかりつけの獣医師の判断をあおぐ。

ポイント
2

指示されたもの以外の食べものやおやつは与えない。

ポイント
3

自己判断で食事療法をやめたり、フードの種類を変えたり、与え方を変更したりしない。

以上のようにさまざまな方法がありますが、現状では「療法食<動物病院のみ販売>」を利用するケースが圧倒的に多いようです。

しかしながら、長年慣れ親しんだ食事から療法食に急に切り替えるということは、シニアのパートナーにとっては戸惑うことです。切り替えたフードを食べないことは珍しくありません。病気が重い場合には「食べるまで根気比べをする」というのは適切でありません。食べないことによって、かえって身体を害してしまうことさえあるのです。
パートナーには少しでも喜んで食べてもらいたいものです。

"おいしさをUPするコツ"がありますので、ぜひ参考にしてください。

【おいしさをUPするコツ】?水でふやかす?電子レンジで温める・低塩スープを加える・オイルをフードにかける・甘味料を加える(犬に限る)(※)何か加える場合には、事前にかかりつけの獣医師に相談してください。

アドバイスアドバイス

日ごろからひとつの食事にこだわらずに、いろいろなフードに慣れさせましょう。療法食への切替えが必要なときに、パートナーが受け入れやすくなります。

さまざまな工夫をしたにも関わらず、動物病院で勧められた療法食を食べてくれないということもあります。その場合には、メーカーを変えるのもひとつの方法です。先にも述べましたが、療法食はさまざまなメーカーが開発をしています。いろいろなバリエーションの中からパートナーが気に入ってくれるものが見つかるかもしれません。

それでもどうしても食べてくれない、体質に合わないということもあります。また、オーナー様の「フードに対する考えにそぐわない」という理由で、勧められた療法食を継続するのが難しいこともあります。そのようなときには「療法食<店舗・インターネットでも販売>」や「成分調整した一般フード」「手作り食」も視野に入れて、かかりつけの獣医師に相談してみましょう。

GREEN DOGで取り扱っている「療法食<店舗・インターネットでも販売>」と「成分調整した一般フード」をご紹介します。参考にしてください。

  製品一覧
療法食<店舗・インターネットでも販売> 成分調整した一般フード
胃腸 【アニモンダ】
【FORZA10】
腎臓 【FORZA10】
【アニモンダ】
【ナチュラルハーベスト】
 
心臓 【FORZA10】
【Herrmann】
血糖 【FORZA10】
 
減量 【FORZA10】
【アニモンダ】
【ナチュラルハーベスト】
【NOW FRESH】
【アカナ】
【ナチュラルバランス】
皮膚 【FORZA10】
【ナチュラルハーベスト】
【ナチュラルバランス】
【ペットパティースジャパンオリジナル】
【FORZA10】
おしっこ 【ナチュラルハーベスト】
健康維持
もしくは回復後
【FORZA10】
【ナチュラルハーベスト】
【WITH GREEN DOG】
【ナチュラリー・フレッシュ】
【ナチュラルバランス】
【FORZA10】
【ZIWI】

病気のときでも楽しく食事ができるのは、幸せなことです。食事に対するお悩みやご相談があれば、遠慮なくGREEN DOGごはんの窓口にご連絡ください。

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この記事を書いた人

伊東 希

伊東 希(いとう のぞみ)

獣医師、ホリスティックケア・カウンセラー

1998年、日本獣医畜産大学(現在、日本獣医生命科学大学)獣医学科を卒業。大学では獣医病理学の研究室に所属し、病気の原因や腫瘍、心臓疾患の研究を行う。卒業後、臨床獣医師として動物病院に勤務していたが、犬と猫の病気時における食事の大切さを痛感し、某フードメーカーへ転職。そこで栄養学を学び、たくさんのオーナー様やスペシャリストへの相談を行う中、食事や栄養に対してより柔軟な考えも必要であることに気づき、縁あってGREEN DOGへ。

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