シニア犬(老犬)の生活 ~排泄介助・介護~

シニア期の悩みで最も多くお声が寄せられるもののひとつに、「排泄の介助・介護」があります。パートナー(愛 犬)にとってもオーナー様にとっても、排泄介護の負担を減らすことは幸せなシニア期の重要なポイントです。ぜひ参考にしてください。

排泄行動について知っておきたいこと

排泄行動について知っておきたいこと

動物にとって、排泄行動は食べることと同じぐらい生きるために欠かせない生命活動のひとつです。動物は体の構造上、尿をしっかり出し切らないと老廃物を排泄することができず、病気のリスクが高くなります。若いときはトラブルなく尿や便ができていたパートナーでも、年齢を重ねていくと老化や病気の影響で、自力で排泄できなくなる可能性があります。

生きるために欠かせない排泄行動をパートナーが自力ですることが困難になった場合、家族としてどのようなサポートができ、どのように接すればいいのでしょうか?パートナーの気持ちに耳を傾けながら、パートナーとオーナー様、家族にとってベストな方法を一緒に探していきましょう。

GREEN DOGからの提案

「パートナーとオーナー様の二人三脚介護」

パートナーのこだわりを尊重することと同じぐらい、オーナー様の負担を軽減することは大切です。長く一緒に楽しく暮らしたいからこそ、無理しすぎることなく、負担は最小限にして長続きできる介護の方法を模索していきましょう。
ひとりで介護を背負い込まず、家族や身近な人の助けを借りたり、ペットシッターを利用したりするのもひとつの方法です。最近ではシニア犬のお世話を専門にしているサービスも増えていますので、インターネットで検索したり、近所の動物病院に該当する情報がないか問い合わせたりしましょう。

排泄介助・介護のポイント

排泄のポーズがパートナーだけでは難しくなってきたら

足腰の筋肉が衰えたり関節痛などで痛みがでてくると、今までと同じ排泄のポーズができなくなったり、ふらついたりする場合があります。このようなしぐさが見られたら、後肢を支えるようにサポートしてあげましょう。安定したポーズが維持できると、排泄しやすくなります。

POINT1

環境準備とタイミングの把握

おしっこが飛び散っても支障がないように、ペットシーツを敷いて準備をしましょう。オーナー様も汚れても問題のない服装で。またパートナーの排尿、排便のタイミングをある程度把握しておきましょう。

  • check
    タイミングの把握には日誌がおすすめ。排泄時間・便や尿の量、色・便の形状などをつけましょう。日誌は排泄のタイミングを把握するだけでなく、日々の健康管理にも有効です。
  • check
    室内での排泄に抵抗を感じるパートナーは屋外(いつもの散歩道、庭、ベランダなど)からはじめ、様子をみながら徐々に室内でも排泄できるように取り組んでいきましょう。
POINT2

声かけとオーナー様の立ち位置

トイレに行きたそうな素振りをしたり、いつもの排泄の時間になったりしたら、やさしく声をかけながらパートナーの大きさや好みに応じて前方または後方に立ち、身体(主に腰から足にかけて)を支えます。小型犬・中型犬の場合は前方から、大型犬は後方から支えてあげると比較的安定します。

排泄行動について知っておきたいこと

男の子のおしっこの場合

股の間から手を入れて、太ももの付け根のあたりを内側から支えます。

排泄行動について知っておきたいこと

うんちの場合や、女の子のおしっこの場合

脚の付け根に近い胴体の部分を左右から支えます。特に排便の場合は、パートナーが後肢を踏ん張れるような姿勢をとらせてあげましょう。

POINT3

排泄ができたら

排泄ができたら、褒めてあげましょう。食べ物などのご褒美をあげるのもいいですね。身体や陰部が汚れたら、濡れタオルや蒸しタオル、低刺激のウェットティッシュでやさしく拭きとり、清潔を保ちましょう。

お助けグッズ

ウォークアバウト後部ハーネス

グリーンドッグ厳選

ウォークアバウト後部ハーネス

後肢の力が弱くなったパートナーの歩行をサポートします。股ぐりも開いているので、着用したままでも排泄行動が可能です。

おもらしをするようになってきたら

立ったり歩いたりできる状態であっても、筋肉の衰え、神経の麻痺、歩行スピードの衰えなどが原因でトイレに間に合わなくなったり、いつもの散歩の時間まで我慢できなくなり、おもらしをするようになることがあります。特に寒くなるとトイレが近くなるのは人も犬も同じです。

おもらしをするようになってきたら

このような場合、まずパートナーの1日の排泄時間をある程度把握し、タイミングを見計らってトイレに誘導したり排泄介助を行ったりしましょう。オーナー様が外出するときや介助が難しい時間帯は無理せず、おむつを活用しましょう。パートナーのおむつには犬用のもの以外に、人間の赤ちゃん用おむつを尾っぽが出るようにアレンジして使うことも可能です。目安ですが、体重7kgほどのパートナーなら赤ちゃん用おむつのLサイズが代用できます。

ただし、いずれにせよ今までおむつを着けていないパートナーにとっては違和感を感じるものです。そのため排泄の間隔やタイミングを予想し、可能な限りおむつを外して過ごせるようにしてあげてください。またシニア犬の皮膚は汚れや蒸れに敏感です。長時間のおむつの着用は、おむつかぶれのリスクが高くなったり膀胱炎や皮膚疾患などの病気のリスクも高まったりするので、注意が必要です。

おむつかぶれを未然に防ぐためにも、おむつをつける際は事前に肛門やお尻まわりの毛を短く切っておくと汚れても拭き取りやすく、清潔を保ちやすくなります。お尻周りが汚れたときは濡れタオルや脱脂綿で拭いてもいいですが、低刺激なウェットティッシュを活用すると便利です。ペット用もしくは赤ちゃん用のお尻拭きを活用すると良いでしょう。トイレに流せるタイプのお尻拭きは後片付けが簡単ですし、ウォーマータイプのお尻拭きは、特に寒い冬におすすめです。

  • check おむつのつけ方、選び方
  • ・ウエストにはゆとりをもたせた装着を心がけましょう。
  • ・後肢(太もも)の部分はぴったり合うものを選びましょう(余裕がありすぎると漏れの原因になります)。

お助けグッズ

ネオ・オムツnappy

グリーンドッグ厳選

ネオ・オムツnappy

簡単装着で漏れにくく、オーナー様も安心して使えるパートナー専用の紙おむつです。

寝たきりになったら

自力で動けなくなったら、お尻や陰部のあたりにペットシーツを敷き、排泄をしてもベッドや寝床が汚れないよう配慮しましょう。おむつをつけっぱなしにするよりも、パートナーの身体に排泄物がこびりつかなかったり早く排泄の有無に気がつくことで清潔な状態を保ちやすかったりします。またおむつよりペットシーツの方が安く済む場合もありますので、TPOに応じて選択しましょう。

排泄介助が終わったら、笑顔で褒めながら汚れた箇所はきれいに拭き、清潔を保ちましょう。おむつで排泄したときと同じように低刺激なウェットティッシュや赤ちゃん用のお尻拭き、濡れタオルや脱脂綿を活用しましょう。

POINT1

日常のケア

男の子の場合のペットシーツの位置

男の子の場合のペットシーツの位置

図(写真)を参考に、ペットシーツを敷いておきます。必要に応じておむつも活用しましょう。

男の子の場合

お腹寄りにシーツを敷くと、ある程度おしっこが勢いよく出てもカバーできます。

女の子の場合

お尻全体的か、やや後ろ寄りにシーツを敷きます。
(写真のペットシーツの位置よりやや後ろ寄りにシーツを敷きます。)

お助けグッズ

ホームナース

グリーンドッグ厳選

ホームナース

アーチ状のハニカム構造で通気性抜群、丸洗いできるベッドです。ムレにくいから寝たきりでも快適にしてあげることができます。アーチの中は空洞になっており、水(尿)も溜め込まず下に通します。ペットシーツ等はベッドの上に置くことも可能ですが、特に夏期は通気性を考えて下に敷くことをおすすめします。

洗える制菌ペットシーツ プレミアⅡ

グリーンドッグ厳選

洗える制菌ペットシーツ プレミアⅡ

おしっこをしっかり吸収するのに裏側には通さない、まるで『手品』のような布ペットシーツです。表面だけでなく裏面も吸収素材なので、はみ出たおしっこも吸収します。洗えるので繰り返し使えて経済的で、消臭成分も配合。ハサミでカットしてもほつれず、用途やスペースに合わせて使用することができます。

POINT2

排尿、排便のケア

排尿ができなくなったら
パートナーの状態によってカテーテルを使ったり、オーナー様が下腹部を圧迫して排尿させたりする方法があります。かかりつけの獣医師と相談し、適切な方法の指導を受けてください。

排便ができなくなったら
パートナーの状態によって動物病院で浣腸をしたり、オーナー様が肛門付近の便を押し出したりする方法があります。かかりつけの獣医師と相談し、適切な方法の指導を受けてください。

またシニア犬になると腸の働きが弱くなり、便秘になることがあります。お腹のマッサージや腸内環境を整えるサプリメント、適度な水分や食物繊維を程よく取り入れ、排便を促していきましょう。

お助けグッズ

コスモスラクト

グリーンドッグ厳選

コスモスラクト

バイオジェニックスに基づいた液体サプリメント。乳酸菌などよりもストレートに"腸内細菌叢(さいきんそう)"を整えて、おなかにとって最適なバランスを維持します。

この記事を書いた人

日笠 克枝(ひがさ かつえ)

日笠 克枝(ひがさ かつえ)

アドバンス・ホリスティックケア・カウンセラー、ペットマッサージセラピスト、ドッグライフカウンセラー

動物関連専門学校を卒業後、福祉関係の仕事を経てGREEN DOGへ。チーフカウンセラーとしてこれまで1,000件以上の犬の健康・食事・しつけの相談を行う。現在は専門学校での特別講義やセミナーなどの講師として活躍中。

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