2017.05.15心のケア

ケージやトイレなど多頭飼いを始める前に準備しておくこと&喧嘩・トラブルについて

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「2頭目を迎えよう!」とついに決心した方へ。多頭飼いの生活は、楽しさも2倍ですが、大変さも2倍。いえ、それ以上かもしれません。苦労も楽しむくらいの覚悟が必要です。新しい犬を家族に迎える前に、具体的に準備すべきことや心づもり、そのほか多頭飼いを始めた際によくあるトラブルなどについて、事前に理解しておくことが欠かせません。多頭飼いがうまくいくためのコツや心の準備を、GREEN DOGのトレーナー遠藤が解説します。

多頭飼いをする前の心構え

これから多頭飼いを始めようとする方は、きっとそれ相応悟や理由があってのことと思います。しかし、初めての多頭飼いともなれば、これまでとは大きく異なる生活が始まります。
せっかく2頭目を迎えたのに、それが家族や先住犬のストレスになるようでは本末転倒。そこで、多頭飼いを始める前に、もう一度以下の点について振り返ってみてください。

ココをチェック注目

  • 2頭以上の犬たちのお世話をするだけの時間的余裕はありますか?
  • 2頭以上の犬たちが快適に暮らせるだけの空間的な余裕はありますか?
  • 2頭以上の犬たちを終生養えるほどの経済的余裕はありますか?
  • 先住犬の現状に問題面、行動面などのトラブル)はありませんか?
  • 一緒に暮らす家族全員の同意は得られていますか?
  • これらがすべてクリアになり、いよいよ2頭目を迎えることが決まったら、人も犬も快適に過ごすための準備に取りかかりましょう。

    多頭飼いの準備を整えよう

    個々のパートナーとの時間も大切に

    ケージの準備

    パートナー(愛犬)たちには、ケージ(通気性のよい柵タイプで天井もある四角い箱状のもの)やクレート(プラスチック製の箱状のもの)などのハウスを頭数分用意してあげましょう。ハウスは、犬たちを閉じ込めるものではなく、それぞれに個室を用意してあげるようなものと考えてください。犬の心の安定のためには、静かにゆっくり落ち着ける場所が必要です。これは大型犬でも小型犬でも変わりありません。どんな大きさの犬でも個室は必要です。

    ベッドの準備

    同じくベッドも頭数分、別々に用意してあげましょう。新入り犬用に新しいベッドを用意してもかまいません。先住犬に新しいベッドを用意して古いベッドは新入り犬におさがりとして与えてもいいでしょう。ただ、慣れたベッドをそのまま先住犬に使わせてあげた方が落ち着く場合もあります。先住犬や新入り犬のそれぞれの性格に合わせて、様子を見て判断してください。なかには、頭数分用意してあげたにもかかわらず、ひとつのベッドで一緒に寝るパートナーたちもいますが、それはそれでかまいません。大事なのは「一緒に寝るのか」「別々に寝るのか」、その選択肢がパートナーたちに与えられていることです。

    トイレの準備

    室内で排泄をさせる場合、パートナーたちのトイレはいくつ用意してあげたらいいのでしょうか。それは、各家庭のスペースやパートナーたちの状況で変わってきます。まず、現実的に複数のトイレを置くことができるスペースがあるのかどうかです。そのうえで、頭数が多かったり、排泄の頻度が高かったりしてトイレが汚れやすい場合、そして、飼い主の都合(共働きで犬の留守番時間が長いなど)で頻繁にトイレシーツの交換ができない場合などは、複数のトイレを用意してあげた方が衛生的です。

    ただし、複数のトイレを用意する場合は、それぞれが自分たちの排泄場所であることを認識させるためのトレーニングも必要です。 トイレ・トレーニングにおいては、トレーニング用のペットシーツもあるので試してみてもいいかもしれません。いずれにせよ、排泄というのは生理的な基本欲求ですから、パートナーたちにとって不都合が生じないようにしてあげるのが大前提です。

    ごはんの与え方

    ごはんの与え方のルールは、各家庭の状況やパートナーたちの性格などに合わせて臨機応変にアレンジしてかまいません。少なくとも、先住犬だからという理由だけで、常に順番を先にする必要はありません。

    もし、同時に与えることができるならそれに越したことはありません。空腹のときに目の前で同居犬がおいしそうにごはんを食べていたらたまったものではないですよね。ただ、一方の犬が他方の犬の分を奪おうとすることがあり、ケンカが勃発しやすくなります。その場合、それぞれのハウス内で与えたり、別々の部屋で与えたりするとトラブルを回避できます。

    与える順番より大切なポイントは、飼い主がパートナーたちに急かされることなく、飼い主のペースでごはんを与えることができるがどうかです。多頭飼いの家庭の場合、ごはんの時間帯はどうしても慌ただしくなってしまいます。パートナーたちが要求吠えや大騒ぎをすることなく、お行儀良くごはんの時間を迎えられることが理想です。

    遊び方

    飼い主とパートナーたちが一緒に遊ぶときは、ヒートアップしすぎないように注意が必要です。普段ならまったく問題ないパートナー同士でも、遊びが過熱することでケンカに発展してしまうことがよくあります。飼い主がその遊びの場を上手にコントロールしましょう。
    また、多頭飼いの生活でも、常に全員揃って遊ぶだけではなく、飼い主と個々のパートナーとがマンツーマンで遊ぶ機会を作ってあげると、より関係性を深めることができます。

    留守番のさせ方

    留守番のさせ方も、パートナーたちの性格や、留守番させる時間の長さによって、考えなくてはならないことがいくつかあります。もし、ハウスの中で留守番させるのでなく、部屋内を自由に行き来できる状態で留守番をさせるのであれば、パートナーたちが相応の信頼をおける状態(イタズラやケンカする心配がない)にあることが大前提です。

    そのうえで、想定しうる危険は排除します。口に入れたら危険だったり困ったりするモノ(タマネギなど犬にとって有害となる食材や観葉植物、洗剤、化粧品、薬品、小さなボール、コイン、靴下、ストッキングなど)は、パートナーたちに届かないところに片付けます。また各部屋のドアや外部に通じる出入り口や窓は厳重な戸締りをして、万が一にも脱走しないようにします。

    ハウスの中で留守番させるときは、基本的には1頭ずつ別々にしたほうがよいでしょう。そして、各ハウスには十分な広さがあることが大事。留守番時間の長さにもよりますが、やむを得ず3~4長時間以上ハウスに入れておくのなら、以下の広さを確保してあげましょう。

     ポイント
     中で立つことができる
     簡単にくるりと方向転換できる
     体を横たえることができる

    パートナーたちの状況に応じて、ハウスだけでなく、サークルやフェンス、ペットゲートなどを上手に利用してもよいでしょう。

    また、一方はフリー、他方はハウス内、といったような差は、よほどの理由がない限り設けないほうが望ましいです。ハウスの中から、一方が自由にしている様子をただ眺めているしかないというのは、あまり気分の良いものではありません。それがストレスになり、無駄吠えなどの原因になる可能性もあります。

    もし何らかの理由でそうせざるを得ない場合は、お互いの様子が見えないように工夫します。フリーにするパートナーとハウスに入れるパートナーは、別々の部屋にするとよいでしょう。

    散歩の方法

    散歩のときのリードとカラー(首輪)、ハーネス(胴輪)は、個々のパートナー専用のものを準備してください。特にカラーやハーネスは共有するのではなく、パートナー個々の体格にフィットしたものをそれぞれ用意しましょう。パートナーが動きやすく、苦しくないことも大事ですが、首輪抜けなどによる脱走防止のためにも重要なことです。

    そして、実際の散歩では、それぞれのパートナーがリードをグイグイ引っ張ることなく、飼い主のペースを配慮して歩けるようになるまでは、1頭ずつのお散歩にしたほうが無難です。

    また、通りすがりの他人や他犬、車やバイク、自転車、などのさまざまな刺激に対する反応にも注意が必要です。1頭だけなら何の問題もないのに、複数になることでパートナーたちのなかに集団意識(群れの意識)が芽生え、それまで見られなかった行動(強気になって他犬に吠えたり、過剰に興奮したりするなど)が現れることがあります。それらの行動は散歩の妨げになるだけでなく、生活全般に影響を及ぼすようになることがあります。問題が大きくなってしまう前に、早めにドッグトレーナーなどの専門家のアドバイスや指導を受けてください

    多頭飼いによくあるトラブルと対処法

    遊び?ケンカ?

    先住犬と新入り犬がよくケンカする。仲良くなる方法は?

    先住犬と新入り犬の相性が悪くケンカするような場合は、決して無理をせず、慎重に少しずつお互いを慣らしていきます。こうしたケースも、早期に犬の行動に詳しい専門家(トレーナーや動物行動学に詳しい獣医師)に相談しましょう。問題が解消されるまでの間は、パートナー同士は一定の距離を保っておきます。また、ケンカの原因となるものがわかっている場合(食べ物やおもちゃ、ソファーなどの取り合いなど)は、それらの原因を飼い主がしっかり管理することが重要です。一方、飼い主から見て、なぜケンカが勃発したのかわからない場合でも、犬からしてみれば何かのきっかけ、引き金があるはずです。わからないまま放置しているとますます関係がこじれてしまう危険性もありますので、専門家に早めに相談しましょう。

    思いがけない交配、妊娠を防ぐためには?

    想定外の交配、妊娠を防ぐには、後から迎える新入り犬の性別を先住犬に合わせることが一番手っとり早い対策です。オス・オスの組み合わせ、メス・メスの組み合わせといった同性同士なら、交配の心配はありません。もし、異なる性別の組み合わせにする場合は、不妊処置(オスなら去勢手術、メスなら避妊手術)をすることがもっとも確実な予防策です。繁殖行動は生きものとして子孫を残すという非常に強い本能です。不妊処置なしでオス・メスを同時に多頭飼いする場合、飼い主には相応の経験と知識、そして管理能力が必要です。

    近隣トラブルを防ぐためには?

    犬との生活を始めるにあたり、鳴き声や吠え声、臭いなどに関するご近所への配慮は必要不可欠。多頭飼いともなれば、なおさら注意が必要です。特に吠え声(警戒吠えや要求吠え)は群れ(同居犬)に同調して始まることも多く、相乗効果で2倍にも3倍にもなる場合があります。防音対策はもちろん、何より十分なしつけが欠かせません。これも問題が大きくなる前に早めにトレーナーに相談をしましょう。

    また、警戒吠えをしやすい番犬気質の強い犬や興奮しやすい犬ではなく、おっとりした性質の犬を新しいパートナーに選ぶこともひとつの作戦。保護犬などで、すでに性格がわかっている温和な成犬を迎えるというのもよいでしょう。

    また、賃貸住宅に住んでいる方は、契約の条件内容を必ず確認しましょう。徐々にペット飼育可の物件も増えてきていますが、たとえば「小型犬1頭のみ」「体高~センチまで」といった条件付きの物件もあります。もちろんのことながら、契約にある約束事を破ることがないようにしなければなりません。確認を怠った、もしくは契約を守らなかったばかりに、退去せざるを得なくなった、あるいは、一方を手放すことになってしまった、といったことにならないようにしましょう。

    ストレスが少ない多頭飼いのコツは?

    できるだけパートナーたちにストレスをかけずに、多頭飼いの生活を送るためにはどうすればよいのか、ポイントをまとめてみます。

    ココをチェック注目

    • 新入り犬を迎えるのは、先住犬との生活が安定しているときにする
    • 犬同士の関係は基本犬に任せてもよい
    • ただし、飼い主はしっかり犬たちをつねに観察し、必要に応じて介入すること
    • 飼い主はそれぞれ1頭ずつとの時間をできるだけしっかり取ること
    • 個室(ハウスやベッド)をそれぞれの犬に用意してあげること
    • おわりに

      本来はとても楽しい多頭飼いの暮らし。そもそも犬は群れを成す動物なので、同種の仲間とひとつ屋根の下にいることで、遊び相手になったり心の支えになったりと、よい影響を及ぼすことが期待できます。

      ただし、犬にも個々の性格や自我、相性があるので、それぞれに戸惑いや縄張り意識、飼い主を独占したい気持ちなどが生じることもあります。先住犬にとっては、慣れ親しんだ環境や飼い主との関係が乱されるのはストレスになるでしょう。見知らぬ犬が急に自分の縄張りの中に入ってきてそのまま居続けるということは、犬にとって「事件」です。それは新入り犬にとっても同じことで、連れてこられた新しい環境にほかの犬がいることは緊張や不安が伴います。

      パートナーたちの心の葛藤を理解してあげて、なるべく早く新しい生活に犬たちが慣れるようにしてあげることは飼い主の役目です。迎える前から十分な準備と情報収集を行い、そして新入り犬を迎えたら、1日でも早くハッピーな多頭飼い生活になることを目指しましょう。

      取材・ライティング:白石 花絵(しらいし かえ)/ドッグジャーナリスト

      GEEN DOG相談ルーム

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      監修 : 遠藤 和義(えんどう かずよし) ドッグトレーナー、ホリスティックケア・カウンセラー

      監修 : 遠藤 和義(えんどう かずよし) ドッグトレーナー、ホリスティックケア・カウンセラー

      犬業界のキャリアは今年で20年目。 国内外の著名なドッグトレーナーに師事し、モチベーショナル・トレーニングの 知識や技術を学ぶ。同時に、多数の保護犬・保護猫の日常ケアにもたずさわる。 各地のしつけ方教室の運営や動物系専門学校の教員などを経験後、縁あって GREEN DOGへ。実店舗やしつけ方教室の運営を手がけ、現在は年間3000件の健康相談を受けるセンターの責任者。

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