2016.07.18心のケア

そのしぐさ、ストレスのサインかも。ストレスを感じている犬の行動とは

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そのしぐさ、ストレスのサインかも。ストレスを感じている犬の行動とは

人間が日々さまざまなストレスを感じるように、私たちと共に暮らすパートナー(愛犬)もストレスを感じることがあります。適度な刺激は適応力を鍛えるのに役立つので、犬にとって悪いものではありません。けれど、刺激が過度になると悪いストレスの原因となって、愛犬の困った行動の原因になったり、健康にも大きな影響を及ぼしたり・・・。そうなると大変ですよね。

愛犬のストレスの原因  。残念なことに一緒に過ごす私たちオーナーが作っている場合があるのです。

私たちが毎日している当たり前のことが、実は愛犬につらい思いをさせていたとしたら・・・。そこで今回は、愛犬が日常的に行う何気ない行動やしぐさから愛犬のストレスの原因を探ってみましょう。

パートナーの体や心の苦しみに気付いてあげられるように、犬のストレスのサインを読んで、ストレスの原因を理解するポイントや、愛犬のストレスケアのために私たちがパートナーにしてあげられることについて、ご紹介します。

ストレスってなに?

そのしぐさ、ストレスのサインかも。ストレスを感じている犬の行動とは

ストレスとストレス反応の関係は、風船によく例えられます。膨らんだ風船があなたの心だとしましょう。風船を指で押して圧力(ストレスの要因)をかけると中の空気が反発して元に戻ろうと(ストレス反応)します。押して圧力をかけ続けると風船は歪んだままになりますね。これがストレスがかかった状態=心身に負荷がかかった状態です。風船を押す圧力と元に戻ろうとする反発をあわせてストレスと呼びます。つまり、外部の環境や精神的な緊張などで心身の状態が乱れることや、それを元に戻そうとする反応のことです。

犬がストレスに感じることって?

人と一緒に暮らす犬がストレスに感じることは、実はたくさんあります。特に人にとっては身近すぎて気付きにくい原因を4つご紹介します。

  • 暑さ寒さ、明るさ、匂い、騒音、家族の変化など
  • パソコンのブルーライト、悪臭、日常で浴びる以上の紫外線など
  • 空腹、喉の渇き、尿意の我慢、痒み、疲労、運動不足、病気など
  • 不安、緊張、興奮、不満、孤独、自信喪失など

人間と犬では心地良いと感じる程度に差があるため、私たちが快適に過ごせる条件でも犬にとってはそうではないことがあります。たとえば、犬は暗がりの方がよく見える動物です。室内の明るすぎる照明は犬にとってあまり好ましくありません。明るい照明から身を隠す場所や部屋を移動する自由があるか確認してみましょう。

犬は、匂いの種類によって、最大で人の約1億倍の嗅覚を持つといわれます。眠いときの犬の鼻は乾いていますね。心地良く眠るためには、匂いをシャットダウンする必要があるからです。愛犬のベッド付近に芳香剤などを置かないほうが犬は快適に過ごせます。

人の数倍の高音域が聞こえる犬。テレビや声の音量だけでなく家電や電子機器からの金属音など、犬にとって不快な音は、愛犬のストレスになっていることがあります。

人よりも聴覚や嗅覚が敏感な犬たちは、私たちが感じている世界とはまったく違う世界で生きていると理解してあげましょう。

普段なにげなく犬たちにしている行動  。実は、犬のストレスの原因になっていることがあります。次のリストに、思い当たることがないか確認してみましょう。

あてはまったら要注意!犬がストレスを感じる人の行動

  • 犬の真正面から近づく、犬の目をじっと見る、正面から手を出す、きつい声で呼ぶなど
  • リードをピンと張ったまま犬に前を歩かせる、リードを過剰に引っぱるなど
  • ルールのない生活、一貫性のない態度など

社会的動物である犬は、群れのルールを守ることで秩序のある生活を保っています。一定のルールがない生活はかえって安心できず、犬はストレスを感じます。たとえば、人がお出かけの装いをしたときには飛びつかせないルールを守らせるのに、ジーンズの時には飛びついても許してしまうなど、人の都合や家族の中でルールを変えないようにしましょう。

家庭や散歩でのルール作りに加え、一貫性のある態度は愛犬との信頼関係を築くためにはとても大切。いつでも一貫性を持って接すると、パートナーは何を望まれているのかをとてもよく理解してくれます。そして愛するパートナーに対する過度なストレスを防ぐこともできますね。

犬のストレスのサインは?

そのしぐさ、ストレスのサインかも。ストレスを感じている犬の行動とは

犬のストレスのサインは、何気ないしぐさの中に現れます。あくびをしたり、鼻先を舐めるしぐさは、周囲が緊張状態にあると感じたときに、犬自身が自分の緊張や不安を緩めたり、周囲の緊張を解きほぐそうとして行うしぐさです。

このようなしぐさはカーミングシグナルと呼ばれています。オオカミや犬が生まれつき持つコミュニケーション方法の一つで、世界中の全ての犬の共通言語といわれています。

カーミングシグナルは、犬自身の不安や恐怖、不快なことを静めたり、相手を落ち着かせたり、相手に友好的であることを知らせたりするためにも使われます。

こんなときは使ってみよう!カーミングシグナル

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病院や知らない場所、人や犬が多い場所など愛犬がストレスを感じる状況にいるとき、私たちがカーミングシグナルを発してあげることで、犬のストレスを軽減してあげることができます。

パートナーとの日常の関係作りに大いに役立つシグナル。パートナーと会話するつもりで、同じように犬のしぐさを試してみましょう!

もしパートナーが・・・

顔や体の向きを変えるとき

「あまりしつこくしないで」「怒ってるの?なんかイヤな感じ」「強引なことはやめて!」と伝えています。

こんな意味で使ってみよう!
「嫌なことはしないから自由にしてね」「その行動はやめて!」

どんなシーンで?
勢い良く飛びつかれたり、おねだりをしてくるような時に犬に背中を向けてみましょう。繰り返し行うことで「これはダメなのね」と気づいてもらえます。

目をそらすとき

「怖いよ!」「なんだか落ち着かない!」と伝えています。

こんな意味で使ってみよう!
「嫌われるようなことはしませんので、友達になりませんか」

どんなシーンで?
特に初対面の犬に近づくときには、真正面から目を見ると怖がります。

あくびをするとき

「あー緊張する!」「ちょっとイライラするかも」「そんなに緊張しないで。大丈夫だよ」と伝えています。

こんな意味で使ってみよう!
「まったく問題ないから安心して」「のんびりしようよ」

どんなシーンで?
動物病院の待合室。パートナーがあくびをしたら、一緒にあくびをしてリラックスした様子をみせてあげましょう。

ゆっくり動く、カーブを描きながら近づくとき

「怒ってる?」「そんなに急かさないで!」「判断中。ちょっと待って!」「横を通りますが、何もしませんのでご安心を」と伝えています。

こんな意味で使ってみよう!
「ちょっと動くけど、そのままリラックスしていてね」

どんなシーンで?
他の犬に近づくとき。一緒にいるパートナーがその犬と仲良く挨拶することができます。リードが緩んでいる方がパートナーはゆっくりとカーブを描いて歩くことができますよ。

低い姿勢で尻尾を振るとき

「怒ってるの?」「笑って!」「仲良くしようよ」「降参!」と伝えています。

こんな意味で使ってみよう!
「もう好きにしていいよ。参りました」

どんなシーンで?
私たちは尻尾を振ることはできませんが、床に這うくらい低い姿勢を保つと、ドッグランなどで離れて捕まえられなくなった犬が近づいてきます。

間に割って入るとき

「ここには近づかないで」「絶対にケンカはしないでね」「守ってあげる」と伝えています。

こんな意味で使ってみよう!
「そっちは気にしないで」「ここは私にまかせて!」「もう安心してね」

どんなシーンで?
パートナーが人や犬や物に興奮し、怯えているとき。対象から引き離そうと引っ張るよりもストレスを感じさせず、簡単にできますね。

犬には犬の共通の言語があります。それを私たちが真似することで、パートナーは「自分のメッセージを理解してくれている」と感じることができます。それは人間と犬の信頼関係にも大きな影響を与えること。一方通行ではなく、相互のコミュニケーションをとることで犬のストレスも軽減されることでしょう。

私たちがパートナーにしてあげられること

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社会の中で生きている限り、人も犬もストレスが全くない生活を送ることは、残念ながらできません。

けれど、人と犬のストレスの大きな違いは、犬の場合、人間が作り出したストレスの原因から逃れる術(すべ)を持たないことが多く、人間のように自ら積極的に乗り越えることもできないことです。そうなると、その苦しみが問題行動などとして出てくることがあるのです。

愛犬のストレスケアでは、ストレスが過度にならないようにできるだけ原因を取り除くことはもちろんですが、愛犬に楽しい経験を増やしてあげることがとても大切。プラスの経験を増やしてあげることで、ストレスを軽減させることができるという考えがあります。

犬が心身ともに健やかに暮らしていけるように、私たちが何をしてあげればパートナーに楽しい経験をさせてあげられるでしょう。次の3つをぜひ試してみてください。

  1. 運動をさせてあげましょう。人に比べて高い運動能力を持つ犬たち。多くの活動量が必要です。散歩の回数を増やしたり、距離を長くしたり、定期的にコースを変えるなどの散歩の工夫はもちろん、ボールやおもちゃなどを使った少しハードな運動と、隠した物を探すなど頭を使った遊びとを組み合わせると、欲求不満が解消されます。

    ただし、運動のしすぎもストレスとなりますので、ハァハァしていないか、休憩したがっていないかなど、様子を見ながら愛犬に合わせた運動量にしましょう。特に子犬、シニア犬、体力が落ちている犬には注意してあげてくださいね。

  2. さまざまな経験をさせてあげましょう。適度な良い刺激は、犬の適応力をあげてストレスへの対処能力を高めます。犬の社会を経験させるために、積極的に犬種や大きさが違う犬たちと交流をさせてあげましょう。

    また、人間の社会を経験させるためにも、マナーを守って色々な場所に連れて行きましょう。慣れていない場所や音でも、あなたがリラックスしていれば一緒にリラックスしていいのだ、と経験から学んでいきます。

  3. 副交感神経を刺激してあげましょう。ブラッシングやマッサージを行いながら、犬が気持ちがよいと感じる状態をつくってあげましょう。Tタッチを使って副交感神経を刺激してあげれば、精神のバランスが整って、緊張もほぐれていきます。

    また、犬にもオキシトシンという幸せホルモンが出ることがわかっています。パートナーとの信頼関係がある場合には、リラックスした状態で目と目で見つめ合ってみましょう。

さまざまな経験や学習をしている犬は自信を持ち、多くの場面で落ち着いていられます。ドッグカフェに出かけたり、公園で犬友達を増やしたり、あなたと一緒に楽しみながら経験することがパートナーにとって一番のストレス解消になるはずです。

おわりに

犬は心も体も敏感な生き物です。私たちが想像する以上に、一緒にいる私たちの様子を良く観察しています。

私たちが精神的なバランスを保ち毎日を楽しくリラックスして過ごせば、その様子を見たパートナーも一緒にリラックスすることができます。安定した態度や精神状態で日々パートナーに接することができれば、パートナーが日常で感じるストレスをかなり少なくできることでしょう。
たとえば、辛い出来事があった日。寄り添うパートナーのぬくもりに癒されたことがある人もいることでしょう。パートナーが幸せそうに日向ぼっこする姿をみて、少しだけ心配事を忘れられた人もいるのではないでしょうか。

犬はその存在だけで私たちの心を癒すパワーを持っています。私たちもパートナーにとって、寄り添っているだけで安心できる存在でありたいですね。

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「犬のココカラ」編集部 チームGREEN DOG 監修・執筆

GREEN DOGの獣医師、トレーナー、カウンセラー、グルーマーなど犬の専門資格を持ったプロたちが一つのチームとなって、責任を持って執筆または監修しています。