食事を食べない老犬の食欲をうながす手作りごはんとおすすめ食材5つ
長年連れ添っているパートナー(愛犬)。年を重ねるにつれて味覚が鈍くなり、食欲が落ちることもあります。そうして必要な栄養素を取り入れられずに体力が低下すると、体調を崩しやすくなるなど、パートナーの健康に悪い影響が出てしまったら大変ですね。
そうならないように今回は、食欲が低下しがちな老犬(シニア犬)のための食事のポイントと手作りごはんの時にも使えるおすすめの食材5つをご紹介します。
なぜおこる?老犬の食欲不振の理由とは
老犬が食事を食べなくなる大きな理由は、3つあります。
一つは、年齢とともに体が変化し食の好みが変わること、二つ目は運動量や代謝が落ちるので、必要な摂取カロリーや食事量が変わること、最後に、歯が弱くなることや飲みこむ力の低下です。
一つひとつ見てみましょう。
大前提として、犬が産まれて歳をとり亡くなるまでの食事ケアは、年齢だけでなくパートナーの“今の状態”に合わせる必要があります。ここではライフステージ別に見た場合の犬の食欲の傾向についてお話します。
一般的に、体を作る子犬期にはタンパク質を中心とした栄養素がしっかり取れる食事をたくさん与える必要があります。けれど、取り入れた栄養が主に健康維持のために使われるようになる成犬は、子犬期に比べ食事の摂取量は落ち着いてくると言われています。
そして6才から7才を過ぎ老犬に差し掛かると、新陳代謝の低下や味覚・嗅覚の変化によって、食欲は低下していく傾向があります。けれど大切なのは、最適なシニアの食事量には個体差があり、パートナーがどのシニアステージにいるのかによって大きく異なるということ。まずは愛犬のシニアステージを確認してみましょう。
老犬(シニア犬)のステージについてコチラを読む→犬の味覚も年齢で変わる?老犬に最適な食事の量や回数について
さらに、人間も歳をとれば、歯のトラブルなどで硬いものが食べづらくなったり、食べるときに喉につかえないような工夫や注意が必要になったりしますね。同じような変化が高齢のパートナーにも現れます。犬は自分では注意できません。オーナーさんが愛犬に合わせたケアや注意をしっかりしてあげましょう。
犬の食欲を低下させてしまう原因を心に留めておくと、日々パートナーの食べる様子を見ているだけで、体の小さな変化に気づくことも増えてくるかもしれません。大切なパートナーだからこそ、ありのままの状態を把握して、“今”必要なケアを心がけてあげましょう。
老犬の元気を支えるおすすめ食材
犬は、ライフステージによって必要な栄養素や食事量が変わるお話をしました。特に食欲が低下してきた老犬は、健康を維持するための栄養素を効率よく摂取していく必要があります。
では、毎日の食事にどんな工夫ができるでしょうか。ここでは、普段の食事にトッピングしたり、手作りフードを作ったりするときに、老犬が積極的に取りたい栄養素を含んだ食材を紹介します。どれも簡単に工夫できます。ぜひ試してみましょう。
- 【おすすめ食材1】キャベツ
- キャベツは食物酵素が抱負で、抗酸化作用のあるビタミンCを取るのにも向いている食材です。ただ加熱するとビタミンCは壊れてしまい、酵素も失われてしまいます。サッと茹でるか、生のものを細かくみじん切りにして与えましょう。
- 【おすすめ食材2】アスパラガス
- 血流を改善するといわれるルチンやスタミナをつけて疲労を回復する効果があるといわれるアスパラギン酸を多く含みます。滋養強壮や体力回復などの作用が期待できます。硬めに茹でたあと、みじん切りにしてドッグフードに混ぜるのもおすすめです。また、消化に不安がないパートナーには、かじるおやつとして茹でたアスパラガスをスティック状のまま与えるのもよいでしょう。
- 【おすすめ食材3】魚
- 魚はタンパク質やカルシウム、血液をサラサラにする作用を持ち、脳の働きを活性化させて認知症の予防にもなるといわれるDHAやEPAなど、老犬に必要な栄養素がたくさん含まれています。老犬には、塩分が高い煮干しや干物は避けて、食べづらい骨などを取り除いた魚を食べさせてあげましょう。
- 【おすすめ食材4】ささみや胸肉
- 老犬は運動量が少なくなり、筋肉量が低下しがち。筋肉量が減ると体力そのものが低下してしまうので、筋肉のもととなる良質なタンパク質が必要となります。ささみや鶏の胸肉は良質なタンパク質を含むだけでなく、バランスの取れた豊富な栄養素を含んでいます。消化も良いので、おやつにしても良いでしょう。鶏の皮も効率的にエネルギーになります。パートナーが脂肪をきちんと消化できるようであれば、与えると良い食材の一つです。
- 【おすすめ食材5】マヌカハニー
- マヌカハニーは、ニュージーランドのごく一部に生息するマヌカという花の蜜から作られた蜂蜜です。高い抗菌活性力を持つといわれ、栄養価も高く、人間の健康食品として近年注目されていますね。犬の健康にも良い食材の一つです。犬は甘味を感じやすいので、食い付きをよくするためにもおすすめの食材です。そのまま少しをフードとまぜたり、お湯で薄めてかけてあげたりしても良いですね。
老犬が喜ぶごはんの作り方のコツ
食欲が低下した老犬の食事は、少しの量でもバランスが良く栄養価が高いものが理想です。
老犬用に作られた市販のフードも数多くありますが、老犬が喜ぶような手作りごはんで食欲を促してあげると食いつきが良くなることがあります。
時間ができた週末などには、人間用に作った味付け前のものを少し別に取り分けておき、あげてみましょう。犬に与えてはいけない食材に注意する必要はありますが、想像以上に簡単に手作りごはんに挑戦できますよ。
けれど、突然手作り食に変えると、手作りの食事に慣れていないパートナーは警戒して食べてくれないこともあるでしょう。そういうときは、まずタンパク質やビタミンなどを多く含む食材を加熱し、細かく刻んでトッピングしてみたり、食材をおやつとして与えたりして、美味しいものだということわかってもらうところから始めましょう。
口当たりのよい食材をトッピングするのも効果があります。豆腐をくずしたものを少しフードにのせてあげたり、乳製品を問題なく消化できるパートナーの場合には、ヨーグルトを少しのせてあげたりすると、食欲を増進し手作りの食事に少しずつ慣れてくれるでしょう。
食材に慣れてきたら、栄養価の高いささみやレバー、ハツといった鶏の内臓に、ニンジンやカボチャなどの緑黄色野菜や魚を混ぜ合わせてハンバーグや小さい団子にしたり、加熱に強い野菜やお肉を煮込んでスープにするなど、匂いをわかりやすくしたりなどの工夫を加えるのも良いでしょう。加熱したものは、人肌程度になるまで冷ましてあげることや、ハンバーグや団子は喉につめない程度に崩して与えてあげるなど、歳を重ねたパートナーに優しい食事を心がけてあげましょう。
おわりに
かつては子犬だったパートナーも、成長を重ねてやがては老犬になります。いつまでもパートナーが元気で暮らしていくために、あなたのパートナーが今どのライフステージにいるのかを知ることから始めましょう。それはあなたのパートナーの食欲不振の理由を正しく理解することにもつながります。パートナーに“今”必要な栄養素や栄養バランスを理解してパートナーの充実した食生活をサポートしてあげましょう。
飼い主さん自身が心から楽しみながらケアをする様子は、一緒にいるパートナーにも伝わります。共に過ごす穏やかな毎日の中で、パートナーももう一度食べる喜びを感じてくれることでしょう。
コチラもおすすめ⇒寝たきりの愛犬のために。シニア犬(老犬)の食事介助の手順とコツ
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マルチーズ雄の11才6ヶ月のちゃっぴーです。心臓の僧坊弁膜症との診断を受けました。食欲が落ち、困っています。きゅうり、人参、キャベツの野菜の中でも、突然食べなくなったり、むね肉を今日は、食べた‼と思っても
その、夕飯は、食べなかったり、かりかり柔らかは、食べなくなり、工夫して、乾燥ささみをフードプロセッサーにかけて!振りかけにしたり、缶詰を与えてもいらないと、顔を背かれ、がっかり⤵です。
元気に食べて貰うには、どんな工夫をしたらいいですか?
因みに、薬は無理やり、口の中に入れてます。可哀想ですが?良き、アドバイスをお願いします。
松本様 コメントをいただきありがとうございます。シニア犬カウンセラーの山本と申します。
ちゃっぴーちゃんは11歳なのですね。食欲が落ちているとはさぞご心配なさっていることと存じます。
シニア期は嗜好性にもムラが生じ、昨日は食べたのに今日は食べないということもよくお聞きします。
コチラのページに嗜好性アップの工夫が記載されていますので、ご参考になさってください。http://www.green-dog.com/media/senior/food/index02.html
味に飽きてしまうことも多いので、毎回味に変化をつけたり温めて匂いをたたせることが良いでしょう。
シニア犬で人気が高いのはかぼちゃです。甘みがあるので、ゆでてマッシュしたものに薬をしのばせるのも良いでしょう。最初は薬の入ってないものを与え、食べだしたら細かくした薬を入れて見ましょう。ただし、食べない理由が何かの疾患が原因の場合もありますので獣医師にもご相談くださいませ。
さらにご質問がございましたら、こちらのコメント欄ではなく、ぜひ相談ルームをご利用くださいませ。http://www.green-dog.com/contactus/
ちゃっぴーちゃんの食欲が戻ってきますよう私も願ってます。
15才シ~ズーですが、4、5前からなにも食べなくなり、今毎日点滴しているのですが、ササミが好きなこなので、ササミ使って美味しいのを、作って食べくれて元気に、なって欲しいです
北野様
コメントをいただきありがとうございます。GREEN DOGの山本と申します。
北野様のパートナーは15歳なのですね、何も食べなくて点滴をしているとは、さぞご心配のことと存じます。
ササミが好きだったのですね。茹でたり、オイルで炒めて匂いがたつようにしたり、すったゴマや
アーモンドを少量つけてみるのも良いかもしれません。
意外なものがヒットする場合もありますが、無理強いすると食べることを嫌がることになるので
注意が必要です。何か気に入ってくれるものがみつかるよう私も願ってます。
北野様もどうぞご心配のあまりお疲れが出ませんよう、ご自愛くださいませ。
ミニチュアダックス11歳オス小次郎
2ヶ月前よりドックフードを食べなくなり、鹿肉フードなど挑戦しましたが駄目でした。
病院で検査を受けましたがどこも悪くないとのこと。点滴・薬剤で様子観察しましたが
変化ありません。ササミ・かぼちゃ・にんじんなどをボイルしても駄目です。
痩せていくばかりです。アドバイスください。
金井 政男 様
こんにちは。GREEN DOG シニア犬カウンセラーの山本と申します。コメントいただきありがとうございます。金井様のパートナーは11歳でフードを食べなくなったとのこと。そのために痩せてきているとはたいへんご心配なことですが、病院で検査を受けられて健康には問題がないことがわかったのは何よりです。
シニア期には急に嗜好性に変化がみられることがあります。その場合、いつもと違うフード、たとえば、いつも犬用ドライフードを与えている場合は、缶フードにすると食べくれることがありますし、猫用缶フードなら喜んで食べるというケースもありました。ただし、猫用はタンパク質脂質ともに高めなので内臓に負担がかかる可能性があり継続することはあまりおすすめしません。食欲のないときの起爆剤として少し与えてみる程度なら良いでしょう。
食材では、ささみ、かぼちゃ、にんじんのボイルを試されたのですね。炒めると香りがたつために食べてくれるかもしれません。ささみが駄目なら胸肉やもも肉を試したり、牛肉や豚肉なども良いでしょう。ごま油を使って炒めると香りがたつのでおすすめです。(犬は脂質が多いものに嗜好性が高いといわれています。ただし、一度にたくさんの脂肪はお腹を壊す原因になりますのでご注意ください)
嗜好性ではなく精神面の問題も考えられますがいかがでしょう。食べなくなったのは2ヶ月前からとのことですが、その頃に何か生活の変化はありませんでしたか?たとえば、引っ越しや外の工事の音が気になる、家で過ごすメンバーの変化(増えたり減ったり)、などがきっかけで食べなくなってしまうことはあります。
11歳という年齢もまだまだ若く元気があるでしょうし見た目ではわかりにくいのですが、シニア期はさびしがりや怖がりが強くなるなど、精神面に変化が訪れていることがあります。
また、以前に比べ運動の時間がかなり減ってきたということはないでしょうか。お散歩の時間が少なくなり、そのせいで食欲も落ちてくる場合があります。パートナーの体調が良いなら少しお散歩の時間を増やしてみてはいかがでしょう。
以上ですが、いずれかの方法で金井様のパートナーのお悩みが解決できましたら幸いです。もし、お悩みが続くようでしたら、どうぞお気軽に次の相談ルームにお問い合わせくださいませ。■GREEN DOG 相談ルーム http://www.green-dog.com/shop/consult.php
金井様のパートナーが以前のように食欲が戻りますよう私も願ってます。
こんにちは。12才のダックスですが先日、食欲不振とコブのようなモノが背中にできてしまい気になったので病院に行った所、末期の肉腫で抗癌剤を使用したところで完治しないと診断を受けました。又、いつどうなるのか、今日までなのかも分からないので好きな物を食べさせてあげてと告げられました。ですがドッグフードを缶に変えても食べてくれません。アドバイスお願いします。
近藤様
GREEN DOG シニア犬カウンセラーの山本です。このたびは、ご相談いただきありがとうございます。
12歳のパートナーが肉腫と戦っているのですね。好きなものを与えてあげたいのに、食べてくれないのはとてもご心配なことだと思います。
次の記事の最後に、おすすめの商品のリンクがございます。ぜひご参考になさってください。
■愛犬がドッグフードを食べない理由は?犬がご飯を食べない原因と対策
馬肉ふりかけ、まぐろふりかけ 削り節、栄養のめぐみ、はぐくみヤギミルク
以下では上記以外のことをご案内いたします。
・肉を炒めたもの:鶏のささみ(牛肉や豚肉でも)を炒めたり、茹でたものを小さくさいて口にいれてみてください。
・猫用の缶詰:タンパク質、脂質が高く香りも強いため、犬にとっても嗜好性が高いです。魚などこれまであまり食べてない種類が気に入る場合があります。
・カステラをミルクに浸したものやプリン:普段は与えてはいけないものですが、好んで食べるパートナーはいます。
・白米と鮭のおじや状に緩く煮たもの。
上あごにつけてみて、飲み込むしぐさをするのか、嫌がるのか様子を観察してください。
ただし、無理強いは禁物です。食べる意思があるのに食べられない状況というより、食べたくないという感じが受けられる場合は、無理強いせずマッサージをしたり、やさしく話しかけてあげるなど温かい時間を過ごせるようにしてあげてください。
近藤様の温かいお気持ちがパートナーに伝わるようにしてあげると体の辛さがきっと癒されることでしょう。
一緒に過ごす時間は悲しむよりも、これまで一緒に過ごせた感謝の気持ちで接してあげてくださいね。
近藤様とパートナーが良い時間を過ごせるよう私も願ってます。