退屈?ストレス?犬がため息をつく意味とは
愛犬がため息をつく姿を見て、犬もため息をつくのかとびっくりする飼い主さんもいますね。犬のため息には、どんな意味があるのでしょう。今回は、代官山動物病院の獣医師で、獣医行動診療科認定医の藤井仁美先生に「犬がため息をつくときの心理について」教えていただきました。
犬のため息の意味とは?
犬がため息をつくのには、ひと呼吸をおく、気持ちを切り替えるといった意味があります。ポジティブなため息とネガティブなため息と両方の意味があります。どちらのため息なのか、それは状況によって意味が変わります。どういう気持ちのため息なのか理由を考えることは、愛犬がどんな心理でいるのかを理解する助けにもなりますね。犬の視点から見て、意味を理解してあげましょう。
犬がため息をつくときの心理3つ
それでは、どのような状況がポジティブな意味やネガティブな意味を持つのでしょうか。
ため息の意味を理解してあげることは愛犬の心理を知ろうとすることにもなりますね。いまどんな気持ちでいるのかな、と観察してみましょう。
犬がため息をつくときの心理は主に次の3つです。
- リラックス、満足感からでるため息
ポジティブな状況で、無意識でつくため息です。たとえば外出から帰り、自分のベッドに潜り込んだときに「はぁ、リラックスできた」、美味しいものを食べて満腹になり「さあ、寝るぞ!」という気持ちなど、眠いときや眠りに入る前に、ため息をついて気持ちを切り替えたりもします。そういうときは犬が安心できる周囲の環境やタイミングが整っていて、犬の筋肉も緩んで緊張がとけている状態です。そういう状態ででるため息は、リラックスして、満足感に満ちているという意味があります。 - 疲れ、ストレスのため息
人間のため息と同じく、犬も疲れたり、ガッカリしたり、嫌なこと(嫌悪刺激)があったり、諦めるときに、ため息をつきます。たとえば、ボールを持って散歩に行けると思ってワクワクしたのに、そうじゃなかったというときなどに、ガッカリしてネガティブなため息がでたりします。これは、意識的なときと無意識なときと両方ありますが、いずれも犬はため息をついて、自分の気持ちを切り替えようとしています。ネガティブなときにでるため息ですが、このため息によってネガティブな気持ちを切り替える、犬自身が自分の気持ちをコントロールする意味があります。ネガティブなため息のときは、ボディランゲージに緊張感が漂っています。リラックスしているときのため息とは違い、ため息をついても緊張は続いています。また、不快な気持ちを和らげるために、ため息をつくこともあります。その不快さとは、精神的ストレス(寒い、暑い、うるさい、怖いなど)、肉体的ストレス(痛い、苦しい、気持ち悪いなど)と多岐にわたります。調子が悪いから、ため息をついて、ひと呼吸おき、なんとか不快を回避できるよう気持ちを切り替えようとすることがあります。
- 学習されたため息(要求など)
たまたまため息をついたときに、飼い主がそれに反応して、何か犬にとって報酬となるようなことをしてくれた場合、犬がそれを学習し、次からため息をつく行動をとるときがあります。たとえば、ため息をついたら飼い主が心配してかまってくれた、とか、うるさい音楽の音を消してくれた、などの経験をすると、犬はそれを学習し、かまってほしいとき、静かにしてほしいときなどに、要求の一環の行動としてため息を利用することがあるでしょう。この場合は、無意識ではなく、犬は意識的にため息をついています。
注意すべきため息はある?
不快を和らげようとするため息の場合は、そのストレスの原因が何なのかをつきとめ、取り除く必要があります。体調が悪そうなときは獣医師に相談するなど、ため息だけでなくパートナーの全身状態を良く観察してあげましょう。
ため息なのか、呼吸音、イビキまたは寝言なのかの違いがよくわからず、心配になるかもしれませんね。とくにパグやフレンチ・ブルドッグ、ボクサーなどの短頭種は、長いマズルの犬とは違う特徴的な呼吸音をすることがあります。
ため息なのかどうかは、普段から観察しておくともできるようになり安心です。
おわりに
ふとしたときに出る犬のため息。ため息をつく犬の心理は状況によってさまざまです。普段から愛犬を観察しているとため息からも今どんな気持ちでいるのか理解するきっかけになるかもしれませんね。
短頭種や循環器、消化器などの持病の有無に限らず、ため息なのか、息が荒いのか、嘔吐しそうで気持ちが悪いのかなど、判断がつかない場合は、動物病院に相談しましょう。その際は、おうちで動画を撮って、動物病院に行き、獣医師に見せるのがおすすめです。
食欲がない、なんとなく元気がないなどの全身症状がでている場合は、何か気になるなと思った段階で、動画を撮ってすぐに獣医師に診てもらいましょう。それがただのため息だとわかれば安心ですし、もしかしたら体調不良のサインかもしれません。早期発見、早期治療のきっかけになります。
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Follow @greendog_com監修: 藤井 仁美(ふじい ひとみ) 獣医師 代官山動物病院 行動診療科担当
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