2017.06.08その他の体のケア

愛犬のうんちの異常事態!血便が出たときはどうしたらいいの?

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愛犬のうんちの異常事態!血便が出たときはどうしたらいいの?

便に血液が混ざるということは、それ自体が異常なことです。血便をした場合には、基本的には動物病院で診察を受けるべきです。今回は、愛犬が血便をした時に落ちついて対処できるよう、血便の種類とその原因について説明します。

血便とは?

便への血液の混入は、消化管からの出血を示しています。便が硬いこともあれば、下痢のこともあります。また、消化管のどこで出血しているかによって、便に混ざる血液の色は異なります。

黒いタール状の便
上部消化管(食道、胃、十二指腸)からの大量の出血

赤い鮮血が混じっている便
下部消化管(小腸、結腸、大腸)や肛門からの出血

上部消化管からの出血では、血液が消化管を通るに伴い、胃酸や消化酵素の作用、さらには腸内細菌による変性あるいは分解され、黒色に変化します。そのため、黒いタール状の便として排泄されます。一方、下部消化管からの出血では、出血して間が無く、また消化などの影響をうけないため、血液が鮮やかな色をしています。

なお、肉が多く含まれているドッグフードや手作り食を与えていると、便が黒くなる傾向にあります。常に便が黒く、元気・食欲もあり、体重も健康的であれば、心配する必要はありません。

血便の原因は?

タール便を引き起こす主な原因

  • 重度の胃炎
  • 胃・十二指腸の潰瘍
  • 胃・十二指腸の腫瘍・ポリープ
  • 血液の摂取(口腔・食道・鼻咽頭・肺における病変)
  • 異物の摂取 など
  • 鮮血便を引き起こす主な原因

  • 鞭虫・鉤虫の感染
  • レプトスピラ感染症
  • ウィルス性腸炎(犬コロナウィルス、犬パルボウィルス)
  • 大腸の腫瘍、ポリープ
  • 炎症性腸炎
  • 消化管の捻転・重積
  • 食中毒
  • 毒物摂取
  • ストレス など
  •  
    血便の原因によって症状はさまざまですが、一般的に、腹痛や元気消失、食欲減退、体重減少、時に震えなど、共通してみられます。しかし、初期の腫瘍やポリープ、肛門からの出血などでは、他の症状はほとんどみられません。

    『健康か異常か、うんちの見極め方』についての記事はコチラ→ 愛犬のうんちは健康?犬の下痢や便秘の原因と対処法

    病院に行くタイミング

    愛犬のうんちの異常事態!血便が出たときはどうしたらいいの?

    血便の場合、基本的には獣医師に診断してもらいましょう

    黒いタール便
    上部消化管から大量に出血したことを示しています。命に関わる重篤な疾患である場合が多いので、迅速な獣医師による診断、治療が必要です。

    真っ赤な大量の血液や赤い水様便
    事態は深刻です。緊急に対処しないと死に至るケースもありますし、また失血によるショックを起こすことも考えられますので、救急で診察を受ける必要があります。

    便に鮮血が混じる
    大腸炎が疑われます。大腸炎の場合は下痢や軟便になっていることが多いのですが、便に白い粘膜や粘液がついていることがあります。

    肛門やその直ぐ内側から出血
    便秘によって硬い便が肛門を傷つけて出血することもありますので、そのような時は、しばらく様子をみても良いでしょう。しかし、この部分に腫瘍やポリープなどができることもあります。続くようであれば、動物病院に受診することをお勧めします。

    下痢をした場合には、お腹を休めるために半日~1日絶食させます。脱水させないために水分はしっかり摂らせてください。動物病院を受診する際には、できれば便を持参します。たとえば、食品用ラップやティッシュなどでつまめる部分だけとって包み、ビニール袋に入れましょう。難しい場合や感染症が疑われる場合などは、便の様子を写真に撮って見せても良いでしょう。

    予防について

    愛犬のうんちの異常事態!血便が出たときはどうしたらいいの?

    お腹ケアは健康維持の基本

    パルボウィルスやコロナウィルス、レプトスピラ感染症などは、混合ワクチンの接種が効果的です。
     
    ワクチンについての記事はコチラ→ 獣医師が解説!犬のワクチン予防接種について

    また、拾い食いによる胃腸炎の予防しつけや環境整備によって防ぐことが可能です。
    硬い便による肛門からの出血については、次のような方法で日ごろからの便秘対策が有効です。

    しっかり水分を与える
    吸収の良いハイポトニックがお勧め

    腸内環境を整える
    腸内環境についての記事はコチラ→ 元気なパートナーでも、実は腸内環境が乱れているかも?

    オリゴ糖や食物繊維が含まれる果物や野菜などを適量与える

    消化酵素 を食事に加える

    愛犬のお腹の調子が悪い時に、新ビオフェルミンS錠を活用される飼い主さんは意外と多いようです。新ビオフェルミンS錠は、ビフィズス菌、フェカリス菌、アシドフィルス菌が入った整腸作用(便通を整える)効能のある「乳酸菌サプリメント」という位置づけの製品ですので、犬に与えて害があるというものではありません。ただし、その他のヒト用薬品には犬にとって害があるものもありますので、勝手な判断で愛犬に与えることはやめましょう。

    終わりに

    愛犬が鮮やかな血の混ざった下痢をしているのをみると、大抵の飼い主さんは驚き、慌てることと思います。ストレスなどの一時的な原因によるものもあれば、重篤な病気を患っていることもあります。愛犬が血便をした場合は、基本的には動物病院での診察を受けるものと考えましょう。


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    伊東 希(いとう のぞみ) 獣医師、ホリスティックケア・カウンセラー

    1998年、日本獣医畜産大学(現在、日本獣医生命科学大学)獣医学科を卒業。動物病院や大手ペットフードメーカーでの勤務を経た後、GREEN DOGへ。現在は、スタッフ教育や商品の品質検証、オリジナルフードの製造に関わる。
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