2017.05.25皮膚・被毛のケア

【犬との暮らし】犬アトピー性皮膚炎の犬と暮らす3~ステップ1~消化機能を整える

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【犬との暮らし】犬アトピー性皮膚炎の犬と暮らす3~ステップ1~消化機能を整える

ホリスティックケア・カウンセラーで日本アニマルフィトセラピー学術協会理事長の加藤です。3月より「犬アトピー性皮膚炎の犬と暮らす」というテーマについてフィトセラピーを中心に愛犬ナイトや10数年にわたってご相談を受けてきたクライアントとの軌跡をたどりながらお伝えしております。

前回は、皮膚症状を和らげる家庭でのホリスティックケアについて具体的な方法をお伝えしましたが、今回からは第1回目でお伝えしました自然治癒力を高めるための5つのステップのお話に入っていきます。
第1回のコラムはコチラ→【犬との暮らし】犬アトピー性皮膚炎の犬と暮らす1~症状と自然治癒力の関係

そもそも自然治癒力って何?

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必要なハーブは自分で選ぶことも

自然治癒力というのは本来、身体が持っている健康であろうとする力、病気やケガを治そうとする力のことです。ホリスティックな視点でアトピー性皮膚炎を見た場合にはパートナーの持つ体質やアレルゲンなどの要素に加えて皮膚の免疫力とも言える自己防衛能力が低下した時に症状が現れると考えます。この自己防衛能力が自然治癒力の一つの機能です。

自然治癒力には個体差があり、普段食べているものや生まれ持った体質、性格、住んでいる環境やライフスタイル、精神状態などさまざまな素因に左右されます。
我々人に置き換えてみても、風邪の症状が喉にあらわれる人もいれば、お腹にあらわれる人もいるというように体調を崩しやすい箇所やシチュエーションなど一人ひとり異なります。そのため、本来はパートナーがどんな時に体調を崩すことが多いのだろう? 皮膚症状が出る時期は? 皮膚症状と連動している症状や精神状態は? とさまざまな方面からチェックすることが大事です。

自然治癒力を高めるための5つのステップ

パートナーの不調について、原因がはっきりとはわからないことも多いと思います。そこで私の経験の中で多くの改善例につながっていると思われるポイントをお伝えします。パートナーの体調と照らし合わせながら、これからお伝えする自然治癒力を高めるための5つのステップを参考になさってみてください。もし何から手をつけたら良いのかわからない場合は1から順番に見直してみていただいても良いと思います。

  1. 消化機能を整える ← 今回はここにポイントをあてます
  2. 不足しがちな栄養素を補給する
  3. 体液の循環を促進する
  4. 免疫力を高める
  5. 不要なものを排泄する

ステップ1~消化機能を整える

今回は5つのステップの最初の段階として消化機能を整えることにポイントをあてますが、まずこのステップに入る前に最も大切なことは食事の見直しです。

体内の細胞は食べたものから作られていますので、口から入る飲食物はできる限り精査する必要があります。さらに身体に合ったものを摂取するだけでなく、きちんと消化分解・吸収できる身体である必要があります。そのため自然治癒力を高めるためのファーストステップとして消化機能を整えることは摂取した食べ物や薬を無駄なく吸収するためにとても大切なことなのです。

腸と免疫の関係

腸は栄養を吸収するだけでなく、食物についた細菌やアレルギー物質などの侵入を防ぐバリア機能としての働きもあります。そのため腸には体内の約70%の免疫細胞が集中しており、外界から侵入してくる異物や病原菌を排除しています。この腸のバリア機能が低下すると、アレルギーのような過剰反応が起こったり、逆に全身の免疫系の働きが低下して感染症やガンなどの病気を招いてしまうかもしれません。

腸は第2の脳である?

腸は脳に次いで神経細胞が多く存在しています。この腸には精神を安定させるハッピーホルモンと呼ばれるセロトニンの9割が集中し、腸内の蠕動運動を促しています。過剰なストレスが続くとセロトニンが分泌され過剰に働くため、下痢しやすくなります。ストレスは腸内フローラや自律神経のバランスを崩し、さらには免疫力やホルモン分泌など体内のさまざまな不調につながってしまう恐れがあるため、精神面のケアもとても重要になってきます。

愛犬ナイトはラブラドールの割に食が細く、ちょっとしたストレスでお腹の調子を崩すことが多かったです。また、後から気付いたことですが、普段の便が少し緩めでした。私が今まで出会った症例でもヒアリングをすると便秘しやすい、軟便、下痢をしやすいなど消化機能にトラブルを抱えている犬は少なくありませんでした。

消化機能に働きかけるホリスティックホームケア

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さつまいもには食物繊維がたっぷり

季節や状況によって体調は日々変化しています。ご自身に照らし合わせても「今日は胃腸が疲れているな。」「消化機能が弱っているかな?」「食べ過ぎてしまったなぁ」という経験はありませんか?パートナーにわかりやすい症状が出てない場合でも消化機能を定期的にチェックし、こまめなケアを加えてあげると良いでしょう。

腸内フローラ(細菌叢:さいきんそう)を整える

アトピー性皮膚炎はじめ、アレルギー性疾患がある場合、腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れているケースは少なくありません。善玉菌は食べ物の分解に関わるだけではなく、身体に有用なさまざまな物質を産生していることがわかっています。腸内細菌叢をベストなバランスにするには、プロバイオティクス(生きた微生物を含む食品)とプレバイオティクス(善玉菌の餌となる食品)を併用するのがおすすめです。犬は食物繊維を消化することできませんが水溶性の食物繊維は善玉菌の餌に、不溶性の食物繊維は腸の蠕動運動を促すので、うまく使えば良い影響を与えてくれます。また、最新の研究では腸内フローラを介することなく身体に直接作用する善玉菌が作りだす物質(バイオジェニックス)が注目されています。

注意)犬と人の腸内フローラは異なることがわかっています。すでに消化器トラブルが多い場合は犬用のサプリメントを利用することをおすすめします。

消化の負担を軽減する

新鮮な生の食品には食物酵素が豊富に含まれており、食物の消化や栄養の吸収を助けてくれます。しかし酵素は加熱により破壊されてしまうため、加熱食(ドライフードやウェットフードなど)が中心のパートナーは消化のサポートが受けられません。この場合、体内で作る消化酵素のみが頼りになるため、消化に負担がかかるといわれています。加熱食を主食にしているパートナーには食物酵素たっぷりな食材や発酵食品などを加えて消化のサポートをしてあげましょう。

消化酵素についてのスタッフブログはコチラ→消化酵素のチカラのご紹介

ハーブの力を借りる

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さまざまなハーブの剤型

慢性的に消化器のトラブルが多い場合はハーブの力を借りて少しずつ消化器を強化する方法もあります。下記のハーブが含まれたサプリメントやハーブティー、ドライハーブを食餌に混ぜて与えても良いでしょう。

  • 下痢しやすい:
    カモミール、マーシュマロウ、オオバコ、スリッパリーエルムなど
  • 便秘しやすい:
    フラックスシード、ダンディライオン、バードック、マーシュマロウ、イエロードックなど
  • げっぷやオナラなどお腹にガスが溜まりやすい:
    ペパーミント、フェンネル
  • 食欲不振になりやすい:
    フェンネル、ダンディライオン、ガーリック、シソ
  • 消化促進・整腸作用:
    ジンジャー、ペパーミント、フェンネル、タイム、ハコベ
  •  
    下痢、便秘の症状の改善に役立つハーブをブレンドした液体チンキは、ご飯に混ぜて与えるタイプなので、比較的パートナーも受け入れやすいようです。

    ただし、基礎疾患が隠れているケースがありますので、急に消化器系不調が現れた場合はかかりつけの獣医師に相談してからハーブを使用してくださいね。

    おわりに

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    河原でよくみかけるオオバコ

    今回は自然治癒力を高めるための方法の1つとして消化器系を整えるポイントをお伝えしました。愛犬ナイトや多くのクライアントの犬アトピー性皮膚炎やさまざまな症例の改善につながった方法ですが、全てのケースに有効であるわけではありません。治療中の場合はかかりつけ獣医師の指示を仰ぎながら取り入れることをおすすめします。

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    加藤 志乃(かとう しの)日本アニマルフィトセラピー学術協会、愛犬救命協会理事長、ホリスティックケア・カウンセラー

    幼少期より多数の動物と暮らす。北里大学卒業後、10年以上製薬会社でMR、臨床開発に従事。愛犬のアトピーや股関節形成不全をきっかけにホリスティックの世界を知り、2007年にホリスティックケアカウンセラーを取得。アロマやハーブ、東洋医学他、さまざまな角度から行うホリスティックな視点でのアドバイスは日本全国にとどまらずアジア各国でも高評を得ている。
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