2016.07.01老犬の食事

犬の味覚も年齢で変わる?老犬に最適な食事の量や回数について

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犬の味覚も年齢で変わる?老犬に最適な食事の量や回数について

「以前は大好きだったおやつに興味をなくしてしまった」、「よく食べていたフードの食い付きが悪くなった」など、愛犬の食の好みが変わることで、年齢を重ねた愛犬の体の変化に気づくことも少なくありません。

犬種によりますが、一般的に小型犬は10歳、大型犬は8才以上の犬を高齢犬と呼び、人間と同じように味覚・嗅覚などが変わるため食の好みも変わってきます。愛犬が元気で幸せなシニア期を迎えられるように、今回は、老犬(シニア犬)の中でも特にシニア期が進んだハイシニア犬の味覚や食事量、食事回数や食事ポイントについてご紹介します。

犬の味覚の特徴を知ろう

犬の味覚も年齢で変わる?老犬に最適な食事の量や回数について

人間が味を感じるように、犬も味覚を持っています。犬の舌には、味を感じる細胞「味蕾(みらい)」があり、人間の味蕾が約1万個あるのに対して、犬はその約5分の1の約1700個といわれています。

そのため犬の味覚は人間に比べると感度が低く、塩味を感じにくいのが特徴です。また犬が最も感じやすい味覚は甘みであり、犬は甘みの強い食べ物を好む傾向にあります。

そして人間同様、年齢を重ねるにつれて味覚の感度が下がる傾向にあります。それは味覚だけでなく嗅覚も同じです。

老犬には、シニア期にステージ(シニアステージ)があり、そのステージや個体によって、パートナーの代謝量や味覚の感度に差が出てきます。シニア期に入ると少しずつ嗅覚は衰え匂いに鈍感になり始めます。シニア初期の7~8歳頃では代謝は落ち始めるのに、成犬と同じようにまだまだ食欲があるので、肥満に注意する必要があります。しかし、シニア期が進んだ犬(ハイシニア)は代謝が変わり、さらに嗅覚も衰えるため、食欲を感じにくくなり自然に食欲自体が落ちる傾向にあるのです。

シニア期のステージの変化に合わせて、パートナーの食事も変えていきましょう。

覚えておきたい!シニア期のステージの特徴

シニアⅠ期:
日常生活はほぼ支障はなく、被毛や鼻の色が薄くなり始める時期。体の外の変化は少なく食事の変化もあまりない。ただ代謝など体の中は変化しているのでこの頃からシニアケアを始めてあげましょう。
シニアⅡ期:
日常生活の一部で支援や介護が必要になる時期。白っぽい毛や目が白く濁るなど体の変化も出てくる。疲れやすい、床に置いた器から食べることがしんどそう、など体の内側と外側の両方の変化が見られます。
シニアⅢ期(ハイシニア期):
日常生活のあらゆる面で介護が必要な時期。食欲が減ってやせてきた。自力で食事をしたり、食べ物を飲み込み辛くなってきたり、などシニア期が最も進んだ時期です。

ハイシニアな老犬の食事に最適な量や回数は

犬の味覚も年齢で変わる?老犬に最適な食事の量や回数について

食欲や食事の量が減りやすいハイシニアな老犬の健康を維持するのに欠かせないのが、シニア犬用・老犬用のフードです。

成犬に比べて、ハイシニア犬は1日に食べられる量が少ないため、ハイシニア犬には高カロリーなフードがおすすめです。少ない量でもしっかりとした食事ができるよう、シニア期に必要な栄養バランスを見ながら1日量を3回から4回に分けて与えると消化吸収を助けることができます。また食事の回数が増えるので、愛犬の楽しみを増やすこともできますね。

大切なことは、シニア期のパートナーに特に“気を付けたい栄養素”をバランス良く取り入れて、パートナーに合った食事管理を行うことです。

シニア期に気を付けたい栄養素

  1. 高品質の動物性タンパク質
  2. 中等度の脂肪と脂肪の種類(オメガ3脂肪酸、γリノレン酸など)
  3. 抗酸化栄養素
  4. 腸内バランスを整える栄養素(プロバイオティクスとプレバイオティクス)
  5. グルコサミンとコドロイチン

パートナーがどのシニアステージにいるのかで、食事の量や回数は変わってきます。まだまだ自分で食事ができるシニア初期の場合には、シニア期に必要な栄養素をカバーしつつ、低カロリーの食事を与える工夫をしてあげましょう。

要介護や寝たきりのシニアステージの場合には、獣医師とよく相談して健康状態にあったフードを与えることが大切です。寝たきりになっても内臓が元気で通常のフードを食べる犬もいることでしょう。けれど消化機能や体力が衰えている犬には、通常のフードをお湯などでやわらかくしたり、流動食をシリンジで与えたりする方法をすすめられることもあります。このステージの愛犬には、高栄養で飲み込みやすく消化に良い食事が取れるようにケアをしてあげましょう。

コチラもおすすめ⇒シニア犬(老犬)の食事 ~気をつけたい栄養素~

ハイシニア犬の食事のポイント

食事量が少なくなる高齢(ハイシニア)のパートナーの健康を保つためには、効率的なカロリーの摂取が必要だということがわかりました。

では、実際の食事ではどのような工夫をしてあげたらいいのでしょうか。詳しくみてみましょう。

衰える嗅覚の変化を補うためには、匂いを感じやすくするためにフードに人肌程度のぬるま湯をかけ、フードをふやかすなどの工夫をして匂いを強めてあげると良いでしょう。フードの匂いをよく感じられるように、鼻先にフードを近づけたり、遠ざけたりといったことをするのもおすすめです。

シニア犬用のフードでは食い付きが悪いこともあるかもしれません。そういうときは、好みのトッピングをフードに混ぜてあげると、食い付きが変わることがあります。犬の舌は甘みを感じる部分が発達しているため、食欲がなさそうなときにはサツマイモなどの甘みのあるトッピングを選んであげると喜んでくれるかもしれませんね。

また、口当たりの良い食材をトッピングすることによって食い付きがよくなる場合もあります。例えば、豆腐のような食べやすい食材をフードの上にのせてその食材から食べられるようにするのも、パートナーの食欲を増進するための方法の一つです。
ただ、くれぐれもカロリーオーバーにならないよう、食事の量や質はパートナーの様子を見ながら調節していきましょう。

おわりに

昔に比べて長くなった犬の寿命。パートナーのライフステージや体調に合わせて食事の管理方法を変えていくことは、いつまでも元気で生活してもらうためにはとても大切なことです。

子犬や成犬のときと比べると鼻が利きづらくなり、食欲や消化機能も低下しはじめるシニア期には、私たち飼い主もパートナーの変化に戸惑うことがあるかもしれません。けれど、人も犬も歳を重ねるのは同じ。フードの与え方を工夫したり栄養バランスを考えたりして、毎日のケアをしてあげるうちに、少しずつペースダウンする愛犬のひとつひとつの変化がより愛おしく感じられてくるはずです。

心配や不安に思うことがあれば、一人で悩まずに犬の専門家に相談してみましょう。あなたのパートナーがいつまでも健康で長生きするためには、まずはパートナーをサポートするオーナーさん自身の心身のケアが大切。穏やかな気持ちで楽しみながらパートナーの食生活をサポートしてくれるあなたの姿を、きっとパートナーも嬉しい気持ちで見ています。

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「犬のココカラ」編集部 チームGREEN DOG 監修・執筆

GREEN DOGの獣医師、トレーナー、カウンセラー、グルーマーなど犬の専門資格を持ったプロたちが一つのチームとなって、責任を持って執筆または監修しています。