2017.05.05一緒に。もっと、

【犬との暮らし】都会の犬たち3~犬権の獲得には

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「都会の犬たち」連載3回目は、人間界での犬の立ち位置の変化について考えてみました。今と昔では犬の暮らしはずいぶん変わってきました。犬に関する食べ物やケア用品などは豊富になるばかりですが、犬たちを取り巻く社会はどう変わってきたのでしょう。

トレーナー三井さんのこれまでの記事はコチラ→三井さん記事一覧

昔の犬の場合は?

私の母の時代、つまり一世紀近く前は、買うのではなく譲ってもらうのが一般的だったと聞いています。もちろん、当時からブリーダーさんはいたのでしょうが、一般家庭では、「家で子犬が産まれちゃったからもらってくれない?」というやりとりが当たり前だったようです。そしてよくあるのが、庭に犬小屋を置き、鎖でつないで飼うという図です。別に外飼いの良し悪しを言っているのではなく、それが犬との暮らしでは当たり前と考えている家が多かったということです。日本の家の中では、靴を脱いで過ごすため屋外を裸足で走り回っている犬をそのまま畳の上にあげると言う習慣が無かったのは当然とも言えます。

しかし、そんな1世紀近く前のことであっても小型犬を飼っていた人はもちろんいたわけで、私の叔母はマルチーズを室内で飼育し、本業ではありませんでしたが繁殖までしていました。そして、叔母がはっきりと言っていたことは、「仔犬をあげる時は絶対『ただ』であげちゃダメよ。少しでもお金を払えば大事にしようという気持ちになるから。」でした。自分の家で生まれたかわいい子犬を新しい家族の元でも大事にしてもらいたいと思うのはいつの世も同じというわけです。

今の犬たちは?

犬は家族の一員

犬は家族の一員

今では、大型犬であろうと小型犬であろうと、犬たちは家の中での飼育が当たり前のようになってきました。それはまた現在の住環境に起因すると言ってもいいでしょう。以前は庭付き一戸建てというのが犬を飼う大前提でしたが、今の世の中、都会ではなかなかそんな物件を手に入れることは出来ません。

マンションなどの集合住宅や、庭の無い狭小住宅であっても犬と暮らしたいと思えば必然的に室内飼いになります。また、たとえ庭があったとしても、犬の自然な行動である「吠え」が頻繁に出れば近所迷惑になり、飼いづらくなってしまいます。吠える犬がいれば確かに防犯上役に立つかもしれませんが、ご近所さんにしてみれば耳障りにならないともかぎりません。そこで、室内で暮らす犬たちが増え、犬たちは家族の一員という地位を確立していくことになります。

家族の一員ともなれば、みんなと一緒にどこへでも連れて行きたくなるのは当然のこと。小型犬であれば、公共交通機関を使っての移動もできますし、大型犬の場合でも飛行機やフェリーなどでの移動は出来ます。

もちろんそれぞれの交通機関によってルールは決められているので、持ち込み時のキャリーバッグのサイズや重量、料金などなどを確認してから利用する必要があります。

犬を取り巻く社会の変化

ところが、犬たちの行動範囲が増え、受け入れ側も犬飼い達にやさしい様々なサービスを提供してくれるようになる一方で、以前より不便になったと感じることが多くなりました。初代犬ハスキーの頃から我が家は彼と一緒に旅行に出かけたり、散歩の途中で友人宅に立ち寄ったり、買い物を済ませたりと、犬のいる生活があたりまえのようになっていました。

その後迎えたボーダーコリーたちも、散歩の途中で銀行や役所などに立ち寄ることがあり、そんな場合でも彼らは私の傍に付いていたり、あるいは足元で伏せて待つということをしていたので、周囲の人は存在すら気づかないことが多々ありました。

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しかし、十数年前からは『ペット不可』というサインボードがあちらこちらで見られるようになりました。『ドッグカフェ』というものが出来始めてしばらく経ったころです。銀行も同様で、知らずに入ろうとして止められたことがありました。しかし、「犬はどこで待っていればいいのでしょうか?」という質問に対しての答えはありませんでした。人通りの多い銀行の前には自転車が沢山止められていて、とても安心して犬を係留できそうな場所はなく、私は用を済ませることが出来ずに帰って来たことを覚えています。

なぜこんなに不自由なことになってしまったのでしょう。犬が苦手な人やアレルギーのある人がいるのは事実ですし、その人たちの権利も当然のことです。しかし、不自由さの原因はそこにあったのではないように感じます。『犬連れのお客さんも利用できる』場所が、いつの間にか『犬連れのお客さん以外は入りづらい』場所になってしまったり、他の犬連れのお客さんも困ってしまうような愛犬の行為に気づかない飼い主さんへの苦情でお店の評判が落ちてしまい、『ペット不可』の場所に変わってしまったなんていうこともありました。

つまり、『犬OKです』というサービスを『犬は何をしてもいいんです』というように間違って理解してしまったことによる摩擦が原因だったのではないでしょうか。

愛犬の権利を認めてもらうには

ヨーロッパで普及している同伴訓練試験BH(Begleit hund prufungベグライトフントプリューフング)は、この試験に合格した犬が安全で他人に迷惑をかけないように訓練されていることを証明しています。そのため、JKC(ジャパンケネルクラブ)には『BHに合格している犬は入店可』のように日本国内でも普及させたいという意向があったとずっと以前に聞いたことがあります。

JKCのBHに限らず、GCT(グッドシチズンテスト)など様々な愛犬のマナーの良さを証明する試験はあるのですが、いまだに日本では一般に認められていないようです。

おわりに

マナーやルールを守ることが犬権取得の第一歩

マナーやルールを守ることが犬権取得の第一歩

そもそも欧米と日本では『人と犬』の関係が違うと言われてしまうと元も子もないのですが、かわいいわが子が、見た目だけでなく、立ち居振る舞いでも世間で認めてもらえるようになれば、犬権はもっと広く認められるようになるかもしれません。大きさに関わらず、犬たちがもっと世間に受け入れられるように、飼い主さんも愛犬と一緒に勉強することから始めてみるといいかもしれませんね。

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三井 惇(みつい じゅん) CPDT-KA、ドッグトレーナー/ドッグダンスインストラクター、ホリスティックケア・カウンセラー

三井 惇(みつい じゅん) CPDT-KA、ドッグトレーナー/ドッグダンスインストラクター、ホリスティックケア・カウンセラー

1997年に迎えたボーダーコリーと始めたオビディエンス(服従訓練)をきっかけ に、犬の行動学や学習理論を学び、2006年WanByWanを立ち上げる。愛犬の出産、子育て、介護と様々な場面でも多くを学び、愛犬のQOLの向上を目指して2008年にホリスティックカウンセラーの資格を取得。2016年自身のトレーニング方法を再確認するために世界基準のドッグトレーナー資格CPDT-KAを取得。現在、4頭目と5頭目のボーダーコリーとドッグダンスの楽しさを広めながら、東京近県で出張レッスンを行っている。
三井 惇(みつい じゅん) CPDT-KA、ドッグトレーナー/ドッグダンスインストラクター、ホリスティックケア・カウンセラー

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