2018.03.16一緒に。もっと、

【犬との暮らし】都会の犬たち14~都会の散歩

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犬を飼ったら散歩に行く。というのはごく当たり前のことですが、「散歩の仕方」ってどうやるのでしょう。散歩はこういうものと犬を飼いはじめたときに教えてもらったことありますか?

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散歩ってなぁに?

ふつう「散歩に行ってくる」と言うと、特に当てもなく、心のおもむくままにのんびり歩くのが散歩ではないでしょうか。しかし、これが犬連れ散歩となると、老犬連れでもない限り「のんびり」とはなかなかいかないものです。特に子犬や若い犬は、あっちにふらふら、こっちにふらふら。それでも歩いてくれればまだいいのですが、場合によっては全く歩かなかったり、好きな方にどんどん引っ張って行ったり。なかなか飼い主の思い通りの散歩を満喫するのは難しいものです。しかし、犬を飼いはじめればあたりまえのように「犬と言えば散歩」となるわけです。犬と一緒に散歩するとはどういうことなのでしょうか。

子犬を迎え入れた時、たとえばブリーダーさんであれば、子犬を引き渡す際に、いつぐらいから外に連れて出られるのかアドバイスをもらえるだけでなく、犬種の特性や個体の気質を踏まえて、初めての散歩に向けた準備や心構えなども教えてもらうことができるでしょう。また、引き取った後も、何か困ったことが起きれば、快くサポートしてくれるはずです。しかしもしそんな心強い味方が傍にいなかったらどうでしょう。

人間の場合は出産を前に行政や産婦人科などから赤ちゃんを迎え入れる準備や心構えを教えてもらえる機会を得ることができますが、日本においては犬を迎える時の人間側の勉強について義務化された講習などは特にありません。頼みの綱は子犬の入手先やしつけ本しかないのです。しかし、中には「小型犬だから散歩は要りませんよ。」という販売元があったりします。散歩ってどうやって行ったらいいのでしょうか。

散歩の重要な役割

犬と出かけるときは必ずリードが付き、自由に好き勝手な場所には行かせることはできませんが、それでも、公園の土の匂いを嗅いだり、木の上でさえずる鳥を見たり、よその犬や様々な人間、そして車など、街中を行きかう多くの物を目にすることができます。犬は嗅覚で情報交換をしているのだから、散歩の時は沢山匂いを嗅がせたほうがいいという風潮も高まっています。匂い嗅ぎの良し悪しは別として、犬たちは五感を使いながら多くの情報を整理して生きています。

少しずつ、繰り返し様々な物と遭遇させることで、犬たちは環境に慣れることができ、人間との暮らしの中で受けるであろう多くの刺激に対してのストレスを少しずつ軽減していくことができるわけです。もし散歩に行かなかったらどうなるでしょうか。

いろんな刺激や興味が健全な心と体を育みます

「散歩はいらない?」にも書いていますが、犬は散歩の中で多くのことを学びます。特に都会の犬たちの周りには、郊外の自然の中での散歩と異なり多くの危険があります。過密な街中での散歩では、人に当らないように歩くことを覚えなくてはいけませんし、車という走る凶器もめまぐるしく動いています。もちろんそんな危険な目に愛犬を遭わせないようにするには飼い主の危機管理能力が不可欠ですが、犬にもその存在をきちんと理解させておかなくてはいけません。

怖いものではなくても、気を付けなくてはいけないものということを愛犬に教えていくためには、突然外に連れ出すのではなく、少しずつ多くの刺激に慣らしていく必要があります。日々の散歩は子犬の頃から人間社会に慣らすための大事なステップです。これを飛ばして、急に街中のドッグカフェやドッグラン、高速道路のサービスエリアに愛犬を連れ出したら犬たちはどうなるでしょうか。おそらく飼い主と一緒におでかけや旅行を楽しむ以前に、多くのストレスを抱え込んでしまうのではないでしょうか。散歩は人間社会で犬が生きていくための勉強の場と言ってもいいでしょう。

散歩って意外と難しい

初めて外に出ることになる子犬や、人間との暮らしに慣れていない保護犬の場合には、散歩に連れて行くからと言って、すぐ首輪やリードを装着しては犬にストレスを与えるだけです。おそらく首輪を付けることさえスムースにはいかないでしょう。そのためにはまず首輪やリードに慣らすことから始めなければいけません。

犬にとって安心できる場所で首輪を付けたまま遊んでみたり、大好きなおやつをあげてみたりしながら、首輪にあまり執着させないことから始めると、首輪が気になって噛もうとしたり、首を掻いてばかりという状況を回避することができます。もちろん首輪が付けられたから安心と言うわけではありません。つぎはリードを首輪に繋がなければいけません。初めてリードが付けられた犬は好きなところに行くことができなくなり、リードを噛みきろうとしたり、首輪を抜こうと後ろにさがってみたりといろいろな行動を取るものです。初めての散歩でそんなことをやられたら、逃走しそうで怖くてのんびり歩くどころではありませんよね。おそらく犬も同じでしょう。

そのために、犬が自分の足で歩く前に、外の環境に慣らしたり、家の中で首輪やリードに慣らすことから散歩への準備が始まるのです。初めて犬を飼う人にとっては、犬は首輪と紐をつければ人間の横を付いて歩くだろうと思っている人もいるでしょうが、実はそんなに簡単なことではありません。犬が首輪やリードのことを気にしなくなってからようやく実際に外を歩く散歩がはじまりますが、当然犬が好きな方にばかり行くわけには行きません。

個人的にはリードが無い状態で自由に匂いを嗅ぎながら歩き、でも飼い主のことは意識していて、飼い主が方向を変えればきちんと付いてきて距離感を保つ。もちろん呼べばすぐ戻ってくるという散歩が理想ですが、都会にあっては夢のまた夢です。道路を歩いていれば車が横をすり抜け、公園を歩いていればジョギングの人や自転車が横をすり抜けていく。子犬の散歩練習で、自発的に歩くことを促すためにロングリードを使うことがありますが、それも周囲の状況に細心の注意を払って行わなければいけません。人や他の犬が視界に入ればリードを短めに持って犬の安全を確保することが必要です。

飼い主に集中する時間があることも大切

飼い主よりかなり前を歩かせていれば危険は回避できません。先日も公園の駐車場で車の陰から飛び出してきた小型犬に危うくぶつかりそうになってしまいました。見るとフレキシブルのロングリードでした。緑道を散歩しているときも、距離がある状態ですれ違い出来ると思っていたら、急に大型犬がこちらに突進してきて、我が家の犬たちがびっくりしたと言うこともありました。これもフレキシブルリードでした。

犬に自由に散歩させたいという飼い主心はわかりますが、やはり都会では、危機管理能力は不可欠です。もちろん、都会だけでなく、自由な散歩を楽しんで山歩きをしていたら、愛犬が匂いを追っていなくなってしまい、戻ってこなかったと言う話も聞いたことがありますので、危機管理は都会に限ったことではありませんが、飼い主は様々な想像力を働かせながら散歩することも必要でしょう。自分の犬を守れるのは飼い主だけなのですから。

おわりに

海外にはオフリードでゆったり散歩が出来るパーク(日本の公園よりはるかに大きな公園)が多く存在していると聞くと、日本の都会の散歩は人にとっても犬にとってもなかなか窮屈なものですが、犬が自由になれる時間と、飼い主に集中して歩く時間を混ぜながら、ただ歩かせるため(飼い主が散歩中ずっとスマホを見ているような)だけではない、気持ちが伝わる散歩を楽しめる関係になれるといいですね。

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三井 惇(みつい じゅん) CPDT-KA、ドッグトレーナー/ドッグダンスインストラクター、ホリスティックケア・カウンセラー

三井 惇(みつい じゅん) CPDT-KA、ドッグトレーナー/ドッグダンスインストラクター、ホリスティックケア・カウンセラー

1997年に迎えたボーダーコリーと始めたオビディエンス(服従訓練)をきっかけ に、犬の行動学や学習理論を学び、2006年WanByWanを立ち上げる。愛犬の出産、子育て、介護と様々な場面でも多くを学び、愛犬のQOLの向上を目指して2008年にホリスティックカウンセラーの資格を取得。2016年自身のトレーニング方法を再確認するために世界基準のドッグトレーナー資格CPDT-KAを取得。現在、4頭目と5頭目のボーダーコリーとドッグダンスの楽しさを広めながら、東京近県で出張レッスンを行っている。
三井 惇(みつい じゅん) CPDT-KA、ドッグトレーナー/ドッグダンスインストラクター、ホリスティックケア・カウンセラー

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