2017.04.24心のケア

犬の多頭飼いのメリットやデメリット、犬同士の相性についてのポイント

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犬の多頭飼いのメリットやデメリット

犬の可愛さ、犬との暮らしの楽しさを知ってしまうと「もう1頭、増やしてもいいかな」と思う家庭は少なくなりません。近年では、保護犬を2頭目に迎えたり、あるいは先住犬が歳を取りつつあり、いつか来るお別れの日のことを考えて2頭目を迎える家庭もあります。

では、実際に新たな犬を家族として迎える前に、具体的に何をしてどんなことを心に留めておくといいのでしょうか。

今回は、犬の多頭飼いについて、メリットやデメリット、迎える前の注意点、先住犬へのストレスケアや相性の良し悪しなどについて、GREEN DOGのトレーナー遠藤が解説します。

多頭飼いのメリット

犬のニーズを満たしてあげる

犬は、高い社会性のある動物であるとともに、柔軟性も兼ね備えた動物です。そのため異種の動物であるヒトやその他の動物とも仲良く共存することができます。猫と一緒に仲良く生活している犬もいますし、外国では馬小屋や羊舎で寝泊まりしている犬もいます。

しかしやはり犬にとっては、他の犬と関わったり犬からしか学べないことを学んだり、群れとしてともに暮らすことは、犬の基本的なニーズ(自然な欲求)であり必要不可欠なものです。

多頭飼いをするということは、そういう犬のニーズを満たしてあげることができるというメリットがあります。

家人が家を空けて留守番をさせなくてはならないとき、同居の犬がいると、寂しい思いをさせることはグッと減ります。そもそも犬は群れで暮らす動物ですから、ひとりぼっちは苦手なのです。

そのほか、先住犬に教えた家庭ルール(たとえばトイレの場所など)を、新入り犬が模倣して短期間で学んでくれる場合もあります(すべての新入り犬がそうとは限りません)。

2頭目はレスキュー犬、いわゆる保護犬を家族として迎える方が最近増えています。人間の都合で失われてしまう命を1頭でも減らすということにおいては、大きな意義のある選択ともいえます。

多頭飼いのデメリット

メリットがあればデメリットもあります。いいことばかりではありませんので、安易に2頭目を増やそうと思うのは賛成しかねます。しっかりと熟考することが大事です。

まず、単純に「わが子」として「責任を持たねばならない命」が1頭分増えるわけですから、手間や時間、金銭的な負担も増えます。食費、獣医療費、ペット保険料なども約2倍になると考えてよいでしょう。

サイズの違う犬で、また年齢や犬種などからくる運動欲求量に差があれば、2頭を一緒に散歩に行けない場合もあります。散歩の時間が2倍になる可能性があります。また、トレーニングの時間、病気になったときなどの緊急事態の可能性も約2倍になります。

家の中の犬空間(スペース)の確保も必要です。ケージは、犬が落ち着いて寝られる場所としてそれぞれに用意してあげる必要があります。ベッドやトイレの置き場所、工夫も必要となるでしょう。また、車で移動する際のケージやクレートが2つ必要となりますから車の大きさも検討が必要です。家族で旅行に行くときは、ホテル利用は2頭分になり、一緒に連れて行くときには、犬のための荷物(ごはんや食器など)が増えることを考慮しないといけません。

先住犬が家庭ルールを教えてくれるというメリットと同時に、新入り犬が先住犬に好ましくない行動(飼い主にとって都合の悪いこと)を教えてしまうこともあります。また先住犬が、飼い主にとって都合の悪い行動をすでにしていた場合(たとえば要求吠えや不適切な場所での排泄など)、それを新入り犬が真似してしまい、悩みの種が2倍になってしまうことがあります。

さらに、先住犬にも配慮が必要です。今まで自分だけに向けられていた飼い主の愛情や注目が、新入り犬に分散されてしまうということが起こります。それをあまり快く思わない犬もいます。新入りを迎えることは、先住犬のストレスになりかねないことも理解しておきましょう。不満を分かりやすく表現(飼い主の注意をひこうと吠えるなどの行動)する犬もいますが、なかにはじっと我慢してストレスをため込んでしまう犬もいるので注意が必要です。

また犬同士の相性もあります。小競り合いや大ケガするほどの喧嘩といった犬同士のトラブルを避けるため、別々の空間に隔離しなくてはならなかったり、散歩も1頭ずつ連れ出さなくてはならなかったりする場合があります。

「仲良しの2頭の多頭飼い」という心躍る光景は、必ずしもそうなるとは限らないのです。そのために結局どちらかの犬を手放すことになったりしたら本末転倒。そのようなことにならないように、2頭目を迎えるということは、用意周到な準備と覚悟が必要だということを肝に銘じておかないといけません。2頭目だけでなく、3頭目と頭数を増やすときも同じことがいえます。

犬に相性はあるの?

犬の相性とは

犬は私たちと同じように感情や意思を持った生き物ですから、当然個々で好き嫌いがあり、お互いに相性があります。とくに注意が必要なのは、思春期(犬種にもよりますが、だいたい生後6か月から1歳頃)以降で、自己主張が強くなってきているオス同士の組み合わせです。

経験がまだまだ浅いため、自分の主張を下げるべきかどうか、下げるならどのタイミングがいいのか、といった判断ができず、お互い引くに引けなくなって大喧嘩に発展する場合があります。

一度こじれてしまうと、元通りの関係になるのはなかなか難しいかもしれません。そのような争いはオスメスのペアよりもオスオス、メスメスといった同性同士の方がトラブルは起きやすいようです。

互いの年齢や性格も慎重に見極める必要があります。パピーとシニアでしたら、一日の過ごし方や時間のペース、運動量などに違いがあるので、特に注意が必要です。生活ペースが違ったり、散歩の時間が違ったり、元気のある子犬をうるさいと老犬が感じて、ストレスがたまり、免疫力が下がってしまう可能性もあります。年の差がある犬を迎えるときは、シニア側の体力、健康状況などを考えてあげる必要もあるでしょう。面倒見のいい犬や適応力のあるシニアであれば、子犬のよき先輩となってくれる場合もあります。年の差があるために、お互いうまく折り合いをつけて、丸くおさまるペアもいます。

また性格についても、たとえば元気ハツラツな犬と比較的おとなしくて引っ込み思案な犬とでは、うまくかみ合わないこともあります。ほかにも人間では気がつかないような、犬にしかわからない好き嫌いポイントがあるかもしれません。

片方に環境適応能力があり、相手に合わせてくれる性格で、かつそれをストレスと感じない大らかなフレンドリーな性格の犬であれば、一緒に問題なく生活できることもあるでしょう。

ただこれらもあくまで傾向にすぎません。相性というのは、それぞれの組み合わせで1組1組ごとに違うからです。いろいろな要因、すなわち年齢、性格、性別、犬種、体格、第一印象、遊び方など、さまざまなことが複雑に絡み合って、相性がいい、悪いという関係が構築されます。

犬を擬人化するのはよくありませんが、人間でも、お見合い相手に対して、「この人は絶対に相性がいい人だ」と言い切るのは難しいですね。実際に生活してからわかることもあります。価値観やお互いの好みや趣味(さしずめ犬だったら、インドア派かアウトドア派か)などが絡み合って相性のいい相手が見つかる、と想像すれば少し犬の気持ちに近づけるかもしれません。

多頭飼いの始め方

優先順位はどうするの?

優先順位の付け方については諸説ありますが、GREEN DOGでは、お互いの関係性については基本的に犬たちに任せるのが良いと考えます。2頭それぞれで、大切に思うこと、絶対譲れないことなどに違いや程度の差があります。相性が良い犬同士なら、生活の中でお互いのことを知り、少しずつうまく折り合いをつけて、それなりのルールを築いていってくれるはずです。

注意が必要なのは、先住犬という理由だけで、すべての面で優遇しないこと。仮に先住犬だからと大事にして優先すると、当事者(2頭)からすると、不自然な関係を強いられている例もあります。まずは飼い主が犬同士の関係をよく観察することから始めましょう。ただし、精神的、身体的にストレスがかかって日常生活に支障が出るような状況の場合は、もちろん飼い主の介入が必要です。

犬同士の会わせ方

いきなりお家に連れてきて迎えるのではなく、事前に数回引きあわせて相性を確かめるのが理想です。最初は、十分に距離を取って、お互いの存在を目やニオイで確認させるところから始めます。問題なさそうなら、じょじょに距離を縮めて接触させたり、その接触の時間を伸ばしてみたりします。

成犬同士を接触させる場合は、できれば経験豊富なドッグトレーナーや専門家のつきそいがあったほうが安心です。片方の身体の自由を奪って(抱っこや保定をして)おいて、もう片方に相手(特にお尻)のニオイを自由に嗅がせるといった風景をときおり見かけますが、これはやめておきましょう。犬本来の挨拶の方法ではありません。身体の自由を奪われて他の犬から好き勝手にニオイを嗅がれる、というのは、される側からすれば尊厳を無視された扱われ方です。

多頭飼いの注意点

多頭飼いの注意点

命の責任が増えることを忘れない

多頭飼育は楽しい面ももちろんあるのですが、とはいっても責任、手間や負担が2倍になることですので、安易に頭数を増やすのは推奨できません。新入り犬が保護犬の場合に注意すべきことや、先住犬・新入り犬の両方の生活にとって大切なこと、必要なことは何でしょう。

レスキューされた犬の場合

それまでの経緯(バックグラウンド)がわからないことが多いので、他犬に対する反応については、より注意深く観察する必要があります。新入り犬を動物愛護団体の一時預かりさんや動物福祉団体の施設等から引き取ろうと考えている場合は、今までその犬を直接お世話していた人から詳しい情報を収集しましょう。

また先住犬が保護犬だった場合でもそうでない場合でも、たとえば人間相手にはまったく問題がない犬でも、犬に対してはどうでるかはわかりません。自分の大好きな飼い主を独占しようとするなど、今までしたことのない行動をとる可能性もあります。よく観察してあげましょう。レスキューされた犬だからといって特別問題視する必要はありません。ただ初めての多頭飼育、初めての保護犬の受け入れなどで、もし不安がある場合には、経験のあるドッグトレーナーや専門家に相談する とよいでしょう。

多頭飼いを始めるうえでの心得

     多頭飼いのタイミング

  • 先住犬との生活が安定しているとき良いでしょう。家庭に迎えたばかりで飼い主と先住犬の関係性がまだできていない場合や、身体的・行動的に何かしらのトラブルを抱えているときは避けたほうが無難です。
     それぞれの犬との時間を大切に

  • いつも2頭同時に相手をするのではなく、少しの時間でいいので飼い主と1対1の時間をそれぞれにつくってあげましょう。
     それぞれの犬が落ち着けるように

  • 犬それぞれの個別の空間を確保するため、スペースを仕切るゲートやクレートを、犬を迎える前に準備します。いつも一緒に群れることを望まない犬もいます。また、犬同士の組み合わせによって、飼い主の目の届かない時間や場所では別々にした方が安心ということもあるからです。
     慣れるまでは注意する

  • 犬種による体格差が、思わぬケガを招くことがあります。体格の違う組み合わせの場合は、飼い主の目の届くところで遊ばせるなど、注意もより必要になります。
     繁殖について考える

  • 望まぬ繁殖を防ぐために、同性の2頭にするのか、あるいはオスメスにするのならば不妊処置についてきちんと考えましょう。
     関係づくりを継続する

  • 犬同士が仲良くなりすぎて飼い主への依存が薄くなり、いつのまにか日常生活の中で飼い主が蚊帳の外になってしまう場合があります。そうならないように、日々のトレーニングや散歩の時間に、飼い主と犬との関係づくりを継続することが欠かせません。

おわりに

犬のパートナーが増えることは、私たちや犬たちの生活をより豊かなものにしてくれます。ただ、迎えた犬同士が仲良くなったとしても、飼い主の存在を無視するようになっては人間社会で犬が暮らす以上、不都合がおきてしまいます。犬たちが生活する環境は私たちの人間社会にあることや、犬社会のルールで暮らせるわけではないことをしっかり認識しておきましょう。

また、多頭飼いにはメリットだけでなく、デメリットもあります。それを理解しないまま安易に多頭飼いをするべきではありません。預かる命が増える分だけ、それと比例して飼い主の責任も増えます。初めて犬を迎える場合と同様に、2頭目、3頭目を家族に迎える場合にも次のことについてしっかりと考えましょう。

  • 本当に迎えるその命と一生に責任が取れますか?
  • その犬を迎えることで、家族全員が幸せになれますか?

家族でよく話し合い、全員が同じ気持ちで迎える決断をしてあげましょう。

取材・ライティング:白石 花絵(しらいし かえ)/ドッグジャーナリスト

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監修 : 遠藤 和義(えんどう かずよし) ドッグトレーナー、ホリスティックケア・カウンセラー

監修 : 遠藤 和義(えんどう かずよし) ドッグトレーナー、ホリスティックケア・カウンセラー

犬業界のキャリアは今年で20年目。 国内外の著名なドッグトレーナーに師事し、モチベーショナル・トレーニングの 知識や技術を学ぶ。同時に、多数の保護犬・保護猫の日常ケアにもたずさわる。 各地のしつけ方教室の運営や動物系専門学校の教員などを経験後、縁あって GREEN DOGへ。実店舗やしつけ方教室の運営を手がけ、現在は年間3000件の健康相談を受けるセンターの責任者。

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