2017.07.14その他の体のケア

愛犬のお散歩コースは大丈夫?ノミ・マダニ対策[その1.ノミ編]

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ノミ・マダニ予防は、犬の飼い主であれば病院をはじめいろいろな場所で見聞きすると思います。しかし、ノミ・マダニが自分の愛犬に寄生するということをイメージできない方も多いのではないでしょうか。実は、犬が集まるところやお散歩コース、お出かけ先など至るところでノミ・マダニに寄生されるリスクがあり、多くの犬にとって、とても身近なことなのです。

今回は、このノミ・マダニに寄生されることによって生じる害とその予防について、[その1.ノミ編]と[その2.マダニ編]に分けて、GREEN DOGの獣医師伊東が説明します。

ノミってどんな虫?

ノミは節足動物の体表に寄生して吸血する外部寄生虫です。ノミの成虫は血液を唯一の栄養源とし、吸血することによって犬に貧血、痒み、皮膚炎、ストレスなど直接的な害を与えるだけではなく、犬や人へ病気を媒介するなど間接的な害も及ぼします。

ノミには多くの種類があり、全世界に分布しています。犬に寄生するのは、主にイヌノミネコノミです。イヌノミは、犬とイヌ科の野生動物に寄生します。一方、ネコノミは犬や猫、マウス、鶏のほかに 人などさまざまな動物に寄生しますので、自然界ではネコノミの寄生が多くみられます。ネコノミ、イヌノミともに、とても小さく、体長は雄で1.2~1.8mm、雌で1.6~2.0mm程です。被毛の奥深く寄生していると、肉眼で確認するのが難しいほどです。

ノミの成虫は雄雌ともに吸血します。一方、ノミの幼虫は、ゴミの中の食べ屑や親の排泄物を食べて成長します。その後、蛹(さなぎ)になり成虫へとなります。卵から成虫になるまで22℃では15日を要します。

ノミは、高温・多湿を好み、成虫にとっては室温18~27℃、湿度75~85%が好適環境です。梅雨の時期には活発に繁殖します。成虫は低温・高湿度の環境では摂食しなくても1年間も生存できるといわれています。逆に、乾燥はノミにとって致死的に働きます。真冬は、ノミは減りますが近年は住宅事情も良くなり、室内の環境は冬場も暖かく保たれ、加湿もしてされていることから、通年でノミは生息するようになりました。

ノミの繁殖力はすさまじく、犬に寄生すると直ぐに吸血し始め、36~48時間で産卵をします。ネコノミでは、1匹の雌は1日平均30個の卵を産みます。卵の表面はつるつるしているため、犬の体表から床に落ちます。好適環境では、卵は数日でふ化し幼虫になり、1~2週間で2回脱皮をしてサナギになり、そして1週間程度で成虫となります。このように、ノミは犬の身体だけで過ごすわけではないため、犬の身体にノミが1匹でも見つかった場合には、周りの環境に卵、さなぎ、幼虫が大量にいる可能性があります。

ノミによる害

痒みのストレスは痛みよりも耐え難いものです

ノミは、犬を咬むことによって痒みや痛みなどのストレスを与え(ノミ刺咬症)、またその唾液によりアレルギー性皮膚炎の引き起こすことがあります。瓜実条虫などのお腹の寄生虫の感染源にもなります。また、犬のみならず、人にも害を及ぼします。バルトネラ菌に感染しているノミやそれらのノミに寄生されている犬に、引っ掻かれたり咬まれたりすることによって人が猫ひっかき病を発症することもあります。

ノミによるアレルギー性皮膚炎
ノミの唾液には血を固まらせないようにする成分が入っていますが、何度もさされることによってその成分に対する抗体が犬の体内にできてしまうことがあります。そして次ぎに刺された時に激しいノミアレルギー性皮膚炎を発症してしまうのです。症状としては、腰から尻尾にかけての背骨に沿ってポツポツと湿疹ができて、とても強い痒みがでます。夜も寝られなくなるほど痒くなり、舐めたり噛んだりをし続けるため、その部分に毛がなくなったり、傷が化膿してしまったりします。

瓜実条虫(サナダムシ)感染症
瓜実条虫は、ウリの種のような白い小さな片節が連なる寄生虫で体長50cm以上になることもあり、サナダムシとも呼ばれています。ノミの幼虫が瓜実条虫の卵を食べると、そのノミの体内で発育します。そして、瓜実条虫を体内に宿しているノミの成虫を犬が口にしてしまうことによって、小腸に瓜実条虫が寄生します。犬の肛門に白い米粒のようなものみられることがありますが、これは瓜実条虫の卵が詰まった片節(瓜実条虫の体の一部がちぎれたもの)です。

瓜実条虫が寄生していても、一般的には無症状です。しかし、多数の瓜実条虫が寄生している場合には、お尻を痒がって床にこすり付ける、下痢や軟便、食欲が落ちる、痩せるなどの症状がみられることがあります。子犬では激しい下痢をくり返すことがあります。

ノミは愛犬だけではなく、人へも被害を及ぼしますので、愛犬へのノミ対策と同時に、住環境におけるノミの防除が必要です。

ノミ刺咬症
人に寄生することはありませんが、ノミの成虫に咬まれることによる刺激と唾液によって、皮膚に痒みや発疹、かさぶたなどができます。患部を引っ掻くことで細菌による二次感染を起こし、人によっては犬同様、アレルギー反応を起こすことがあります。

猫ひっかき病
バルトネラ菌を持ったノミに吸血されることによって、犬や猫に感染します。バルトネラ菌は猫や犬では常在菌で症状を現さないので、治療の対象にはなりません。しかし、感染している犬や猫に引っかかれたり咬まれたりすることによって人へ感染し、傷口の化膿、発熱やリンパ節の腫脹を引き起こします。近年、菌を持っているノミから人に直接感染したと疑われる症例もあり、住環境におけるノミ対策をしっかり行う必要があることが分かります。

ノミはどこで寄生するの?

ノミの成虫は優れたジャンプ力の持ち主で、ネコノミは30cmほどジャンプをします。余談ですが、2008年のイグノーベル賞*では、イヌに寄生するノミは、ネコに寄生する個体よりも、20cm高く飛ぶことができることを発見した研究が賞を受けました。

ノミの寄生は、主に犬や猫が多く集まる場所でおこります。例えば、犬の散歩コース野良猫の溜まり場、猫のお産場所、ドッグラン、動物病院などです。ノミの成虫は光の刺激や動物が出す二酸化炭素・体熱に反応し、近くを通りかかった獲物に持ち前のジャンプ力を駆使して飛び乗ります。

また、飼い主がノミに感染している動物と接触して卵などを衣服につけて持ち帰ってしまうこともあります。室内に持ち込まれたノミの成虫や卵が驚異的な繁殖と成長を繰り返し、周囲の環境は瞬くうちに卵や幼虫、さなぎ、新たなノミの成虫によって汚染されてしまいます。

ノミは暗く湿度のある場所を好むため、室内では次のような場所で生息します。

愛犬のベッドの下
ソファ
床の隙間
じゅうたん
畳と畳の隙間
家具の下や隙間

ノミにとっては暖かい室内の方がより適した環境であり、季節問わず寄生と繁殖をくり返します。

*イグノーベル賞(Ig Nobel Prize)は、1991年に創設された「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究の成果」を称えるもので、ノーベル賞のパロディー版です。

見つけたときはどうすればいい?

ノミ1匹発見したらまわりに100匹以上いると覚悟してください

ノミはとても小さく、動きも素早いので、寄生している数が少ないとなかなか見つけることができません。ノミは吸血をし、血液の代謝物のはいった赤色の糞をします。目の細かいコームで毛をすいて黒っぽい小さな粒が取れたならば、それを濡れたティッシュに置いて軽くつぶします。そこから赤黒い色がじわっと出れば、それはノミの糞であり、ノミが寄生していることが分かります。

ノミが愛犬に1匹でも寄生していると、周囲には100匹以上の成虫、幼虫、蛹、卵がいると考えられています。愛犬にノミ駆除薬を投与する必要がありますが、それだけでは十分ではなく、周囲の環境にいるノミも駆除する必要があります。

ノミを見つけた時は、潰してはいけません。雌が卵を宿している場合がありますので、潰すと卵が飛散し、ますます駆除が大変になります。成虫を捕まえた時は、セロテープやガムテープに挟むといいでしょう。

室内のノミ駆除

    掃除機を毎日かける

  • 埃(ゴミ)の中にはノミの卵や幼虫が生息していますので、必ず掃除機による室内の清掃を行います。重点的に吸い取る場所は、愛犬の寝床やソファ、床の隙間、じゅうたん、畳と畳の隙間、家具の下や隙間です。掃除機で吸い取ったゴミはそのままにせずに、必ず袋に入れて捨てるようにしましょう。
    布団や洗えないファブリックなどを天下干し、掃除機をかける

  • 片面を2~3時間ずつ、両面をしっかり日に当てます。ノミは湿度を好みますので、湿度が上がる前に取り入れましょう。また、取り込んだ後は掃除機をかけて死骸や卵、糞を除去します。
    くん煙剤やくん蒸剤、ノミ駆除殺虫剤などを散布する

  • 汚染が酷い場合には、市販の殺虫剤を使う方法もあります。安全性は高いものですが、愛犬や人に対してまったく無害というわけではありませんので、取り扱いは注意が必要です。じゅうたんは、熱処理や廃棄するのも選択肢の一つです。

各地域の保健所では、家庭の状況に合わせた対処方法を指導してくれますので、ノミによる室内の汚染が酷い場合には相談することをおすすめします。

ノミの予防対策

犬が集まるところや草むらなどある場所に連れて行くときは、ノミをなるべく近寄らせないために、ノミの忌避剤 ハーブスプレー などを利用しましょう。ただし、これらは完全にノミを寄せ付けないというものではないため、しっかり予防するためには、医薬品の駆除薬を投与が必要です。

主なノミ・ダニ駆除薬は、ノミやダニなどの昆虫に特異的に作用するものであり、犬や人の哺乳類には安全性が高いというものがほとんどです。最近では、ノミ・マダニ駆除薬にさまざまな種類が発売されています。嗜好性の高いチュアブルタイプ、ピペットに入った液剤、錠剤、など形状もいくつかあります。

チュアブルタイプ
最近発売された、ノミと同時にダニ、犬フィラリアを駆除できるチュアブルタイプのものは、早く効果を発揮し、全身にくまなく作用するため、ノミの吸血回数を大きく減らすという特徴があります。嗜好性が良いため、愛犬にストレスなく与えられるというメリットもあります。

ピペットタイプ(液体)
皮膚に塗布するピペットタイプのものは、愛犬が食物アレルギーをもっていたり、胃腸が弱かったり、オヤツを食べないなどの場合に、適しています。

錠剤
錠剤は、飼い主が愛犬に与えにくい面はありますが、安価で利用しやすいというメリットがあります。それぞれ細かい効果や価格の違い、愛犬に適したタイプなどを考慮して選ぶといいでしょう。

ホリスティックケアでノミを寄せ付けない

ホリスティックケアの観点からすると、ノミを駆除するということに着眼をするのではなく、ノミの居心地の悪い生活環境と、ノミを寄せつかない身体作りをすることが大切です。

まずは、室内の掃除やベッド、ファブリックの衛生的な管理が欠かせません。また、ノミを寄せ付けないものとして、食事にガーリックやビール酵母を加える方法もあります。しかし、ガーッリックは大量だと愛犬に害を与えてしまう可能性がありますので、量が調整されているサプリメント フード などを利用するのもいいでしょう。

おわりに

ノミは愛犬へ害を及ぼすのみならず、人へも危害を加えます。家にノミを持ち込まないためにも、1年を通して愛犬へのノミ予防と駆除をしっかり行いましょう。
次回はマダニについてお話します。

GEEN DOG相談ルーム

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監修:伊東 希(いとう のぞみ) 獣医師、ホリスティックケア・カウンセラー

監修:伊東 希(いとう のぞみ) 獣医師、ホリスティックケア・カウンセラー

1998年、日本獣医畜産大学(現在、日本獣医生命科学大学)獣医学科を卒業。動物病院や大手ペットフードメーカーでの勤務を経た後、GREEN DOGへ。現在は、スタッフ教育や商品の品質検証、オリジナルフードの製造に関わる。
監修:伊東 希(いとう のぞみ) 獣医師、ホリスティックケア・カウンセラー

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