2023.12.15一緒に。もっと、

ホリデーシーズンは急性膵炎のシーズン?「ほんの少し」が招くリスク

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ホリデーシーズンは急性膵炎のシーズン?「ほんの少し」が招くリスク

年末から年始にかけては友人や家族が集まってホームパーティーやおもてなしの機会が増える時期です。犬と暮らしている方にとっては、来客は楽しい時間である半面、「お行儀よくしてくれるかな?」と少し緊張する面もあるのではないでしょうか。犬が料理を食べてしまったらどうしようという心配も一般的ですね。
今回は年末年始のごちそうと犬の膵臓について考えてみたいと思います。

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犬にとっても人間にとっても誘惑の多い季節

ホリデーシーズンは急性膵炎のシーズン?「ほんの少し」が招くリスク
普段は人間の食べ物を欲しがらない犬でも、家の中に家族以外の人がいて雰囲気が違っていたり、いつもよりもずっと豪華なごちそうが並んでいたりすると誘惑に勝てなくなることがあるかもしれません。

またお子さんや年配のお客さんの中には「特別な日だからわんちゃんにも」とテーブルの食べ物を与えてしまう人がいる可能性もあります。
飼い主さんもおしゃべりやおもてなしに気を取られて、目が届かないこともあるでしょう。

いつもと違う食べ物で具合が悪くなり辛い思いをするのは犬なので、お客さんには「犬には絶対に人間の食べ物を与えないで」と徹底しておくことが必要です。犬用のトリーツを少しだけお客さんに渡しておいたり、来客時には犬が空腹ではないようにしておくなどの準備も大切ですね。

しかし何といっても心配なのは、犬にとって危険なものを食べてしまうことではないでしょうか。

犬と人間の食べ物で特に覚えておきたいこと

ホリデーシーズンは急性膵炎のシーズン?「ほんの少し」が招くリスク

犬が食べてしまうと危険な人間の食べ物でよく知られているのはネギ類やチョコレート、ぶどう、アルコール類があります。肉類の骨も危険なものです。これらのものを犬が口にすることがないよう十分に気をつけなくてはいけないのは言うまでもありません。

しかし食品の成分自体は有害でなくても犬の健康を害してしまう食べ物もあります。
その代表的なものは高脂肪の食べ物、例えばフライドチキン、ケーキの生クリームなどです。いかにもこの時期の食べ物という感じですね。犬がこのような脂肪分の多いものを一度に大量に食べると急性膵炎を誘発することがあります。
特に超小型犬やシニア犬では、人間が「ほんの少し」と思っても大量の脂肪分に相当します。

私の住むアメリカでは「ホリデーシーズンは急性膵炎のシーズンでもある」と毎年獣医さんが注意を呼びかけることが恒例となっています。

単純にお腹を下したり嘔吐したりするだけでも十分に辛いものですが、急性膵炎は放置すると生命を脅かす可能性がある深刻な病気なので、愛犬を守るためにも膵炎について知っておくことが大切です。

膵臓のはたらきと急性膵炎の兆候

ホリデーシーズンは急性膵炎のシーズン?「ほんの少し」が招くリスク
膵炎とは簡単に言うと膵臓の炎症で、急性のものと慢性のものがあります。
膵臓は食べ物を消化するための消化酵素を分泌する「外分泌機能」と、ホルモン(血糖値を上げるグルカゴンや血糖値を下げるインスリン)を分泌する「内分泌機能」を持っています。

犬の急性膵炎において問題となるのは消化酵素です。膵臓から分泌される消化酵素が膵臓自身をはじめとして近くの臓器や組織を消化してしまい、炎症が起きた状態が膵炎です。(これを自己消化と言います。)通常は膵臓で自己消化を防ぐ機能が働いているのですが、何らかの原因でこの機能が破綻すると炎症が起こります。

急性膵炎は深刻な病気ですが、ほとんどの場合は適切な治療によって回復しますので、次のような兆候があればすぐに動物病院で受診する必要があります。

  • 食欲不振
  • 吐き気/嘔吐
  • 下痢
  • 発熱
  • ぐったりして元気がない
  • 腹痛

腹痛がある時の犬は背中を丸めてじっとしていたり、前足を伏せの状態にしてお尻を高く上げるポーズ(お祈りのポーズと呼ばれます)をとることがあります。急性膵炎は腹部に強い痛みを伴うので、これらのポーズは重要な目安です。

大切な愛犬の急性膵炎のリスクを避けるためにも、人間のごちそうは人間だけで楽しむよう心がけ、食べ残しは速やかに冷蔵庫へ、犬にとって魅力的な匂いのゴミは屋外のゴミ箱に捨てましょう。

おわりに

ホリデーシーズンは急性膵炎のシーズン?「ほんの少し」が招くリスク

犬の急性膵炎を誘発する可能性がある高脂肪のごちそうが並ぶ年末年始、犬の誤飲やつまみ食いに注意しましょうという話題を紹介しました。

年末年始は、かかりつけの動物病院もお休みになる場合が多いため、愛犬のリスク管理に気をつけすぎということはありません。いざという時のために夜間救急動物病院の場所や道順、電話番号を常に準備しておきましょう。

飼い主さんがお酒を飲む機会も増える時期ですから、万が一に備えてペットOKのタクシー会社やペット専用タクシーについて下調べしておくとさらに安心ですね。

ここに書いたようなことが何も起きず、人も犬も元気でおだやかに過ごせる年末年始が一番です。皆様、ご愛犬とともに良いお年をお迎えください。

【関連記事】【犬との暮らし】愛犬救命2 イベントシーズンは誤飲誤食に注意!?

《参考URL》
https://www.morrisanimalfoundation.org/article/pancreatitis-in-dogs

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ガニング 亜紀(ガニング アキ)

米国カリフォルニア州在住。2005年から犬との暮らしをスタートして2匹の犬をそれぞれ15歳で見送りました。犬たちとの16年間で知識が増えると犬との暮らしが楽になることを痛感しました。自分が「へ〜!」と感じたことを堅苦しくなくお伝えしていきたいと思っています。