2017.12.19一緒に。もっと、

【犬との暮らし】都会の犬たち11~トイレトレーニングの考え方

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前回、犬を迎えたあとにいろいろと考えなくてはいけないことをお話ししましたが、今回はその中で一番頭を痛めることになるかもしれないトイレのトレーニングについてお話しましょう。

トレーナー三井さんのこれまでの記事はコチラ→三井さんの記事一覧

トイレトレーニングってなに?

パピーレッスンに伺って最初に確認するのがトイレの状況です。個体によって、トイレシーツなど、トイレの場所を早くに覚える犬もいれば、トイレシーツが認識出来ない子(ラグマットなどをトイレと勘違いする子)、わかってはいても、トイレまで間に合わずにミスってしまったりする犬など様々です。犬は猫と違って、自分でトイレの場所(砂)を探してしてくれないので、きちんとトイレを認識するまでには少し時間がかかります。また、母犬と一緒に過ごした頃のトイレの環境も大きく影響しているので、家に迎え入れてすぐうまくいくわけではありませんが、住まいが変わったという大きな環境変化をよいタイミングと考えて、トイレのことを一から教えてあげるといいと思います。

トイレトレーニングと聞くと、犬がトイレの場所を認識して失敗しなくなることと思われがちですが実はそれだけではありません。

犬たちを連れて散歩に出たとき、いつも決まった場所でトイレをしている我が家の犬たちを見て、散歩の途中あちこちで勝手にトイレをしたりすることはないのかと聞かれたことがありました。体調が悪い時を除けば、犬たちは私が「ここでトイレね。」と言った場所でトイレを済ませてくれます。男気の出てきた若犬は、ちょっと目を離すと足を上げたくなりはじめていますが、公道にはトイレをさせたくない場所もあるので、そういう場所では排泄をさせないように気を付けています。場合によって土が無い場合は、トイレシーツをアスファルトの上に直接敷いて済ませてもらうこともあります。

特に都会に住む犬たちにとって周囲は個人の住宅や他人のビルばかりですから、そこに臭気が伴う排泄をさせるというのは、犬を飼っていない人にとってはただの嫌がらせと思われても仕方がないでしょう。我が家も玄関の前に猫の額のような植込みがありますが、そこに排泄をされてハエがたかっていたり、臭いが充満していると、朝から気分がよくありません。

そこで、トイレを完全に犬任せにさせないための「トイレコントロール」のためのトイレトレーニングが必要になってくるのです。「コントロール」と聞くと、何やら人間が犬を思い通りにしているように聞こえますが、愛犬の管理は飼い主の責任ですから、咬傷事件や吠えの騒音被害と同じように排泄物の管理も飼い主の責任です。トイレをさせて良い場所良くない場所は犬にはわかりません。させたくない場所でしようとしている犬を止める前に、トイレをしてもいい場所でさせてから散歩に出るというのが犬にとってストレスは少ないのではないでしょうか。

「でも、ウチの犬はなかなかトイレをしてくれない。」と言う声が聞こえてきそうですね。そんなときこそトイレトレーニングが役に立つのです。

トイレトレーニングの第一歩は。

子犬は一日に何回もトイレに行きます。「行く」というより「してしまう」と言った方がいいかもしれませんが、1~2時間おきぐらいに排泄するので、ちょっと目を離すとどこかでしゃがみこんでいるということはよくある話です。フローリングやクッションフロアなど、後始末が簡単な床素材であればさほど目くじらを立てないで済みますが、一枚敷きのカーペットだったり、しみこんでしまうような素材だと、ついついイライラしてしまうものです。

もちろん、トイレのミスは子犬の失敗ではありません。生まれて数か月の子犬に、トイレの場所をきちっと覚えさせ、シーツからはみ出さずに排泄させるというのはとても難しいものです。小さい頃からミスに対して声を荒げていると、次第に子犬は人間の見ている前でトイレをしなくなり、ますます隠れた場所で排泄をして怒られるという負の連鎖に陥ってしまいます。

では、どうやったら子犬はトイレを覚えてくれるのでしょうか。

子犬アクセスしやすい場所にトイレスペースを作ってあげましょう。

子犬は寝起きや食後、遊んだあとや水を飲んだあとはほぼトイレをするので、そのタイミングを見計らってトイレに誘導してあげるとミスは減ってきます。もちろん最初から「トイレ」と言っても意味はわからないので、トイレスペースに誘導したあと、しばらく犬の様子をさりげなく観察しながら、犬がしゃがんで排泄を始めた時に「トイレ」や「ワンツー(盲導犬などに使うキュー)」「チッチ」などの排泄を意味するキューを静かに言ってあげます。決して大きな声で「オシッコしたの上手ね~」と大騒ぎをしないように。大きな声にびっくりして排泄を止めてしまわないように、やさしく声をかけて、終わったら言葉で褒めてあげます。なかにはここでおやつをあげる方もいらっしゃいますが、個体によってはおやつ欲しさにトイレを小出しにしてしまう子もいるので、犬の状況を見ながら褒め方を考えます

先ほど書いたように子犬のトイレの回数はとても多いので、一日これを10回以上繰り返せば大体の犬たちは、排泄はトイレシーツ(トイレスペース)で済ますものだと認識するようになります。とは言え、子犬ですから間違いもあるので、ミスってしまったときは何も言わずさりげなく片づけるようにします。

遊びに夢中になっている時は、こちらから見計らって声をかけてあげましょう。

楽しく遊んでいる時でも、夢中になっていてトイレに行くことを忘れてしまうと間に合わないことがあるので、こちらから促してあげることが大切です。少し待ってあげれば必ずできますが、あまりじっと見つめていると出来ないこともあるので、ポイントは常に「さりげなく」です。声をかけても排泄しない時は一度サークルなどから出してあげてもかまいませんが、そのまま放っておかず、しばらくしたらまた誘導するようにします。褒められる成功回数を増やしてあげると速く覚えられます。

前回の子犬の住環境のところでお話しましたが、子犬の行動範囲はそんなに広くないので、ベッドの横にトイレを設置したり、サークルの外にも、トイレのスペースを部屋の広さに比例して数ヵ所に置いておいてあげることで、トイレに間に合わないというミスを減らすことができます。

トイレトレーニングのメリット

子犬がトイレを意味するキューを理解するようになると、トイレスペースまで誘導しなくても、「トイレは?」などの声掛けによって自分からトイレスペースに移動するようになります。つまり、排泄とキューの言葉が紐付されたということです。これは「オスワリ」や「ごはん」、「お散歩」と同じように、行動を表す言葉を理解することなので、どんな犬たちにもできるはずです。出来ない場合は単に練習回数が少ないだけです。

もちろん、いつも排泄する時を見張っているわけにはいかないと思われるかもしれませんが、初めて子犬を迎え入れた日ぐらいはさりげなく様子を観察して、その子の行動パターンを知るようにしましょう。また子犬は場所で理解している場合もあるので、いつも同じ場所で排泄するようであれば、その場所をトイレに変更した方がいい時もあります。人間もそうですが、落ち着いた場所でないとトイレは出来ないものです。

さて、こうやって排泄行為と言葉のキューが関連づいてくると、外に行ってもキューを聞けばトイレをするものだと犬はわかってきます。もちろん、散歩に出るようになったからと言って、すぐに外でトイレが出来る犬ばかりではありません。先ほど言ったように安心できる場所でなければトイレは出来ないので、もしかしたらトイレはしないで家に帰ってきて、あわてて家のトイレに飛び込むかもしれません。でもそれはそれでいいのです。外の環境に慣れて、外が安全な場所と理解するようになれば外でも排泄できるようになりますので、それまで待ってあげてください。場合によってはトイレシーツを持参して、静かな場所でトイレを促してあげてもいいでしょう。

散歩中にトイレの声掛けをするとそこでトイレを済ませてくれます。

外でも気にせずトイレが出来るようになれば、迷惑にならないような場所でトイレの声掛けをして済ますことができるようになります。中には土や草の上でないと出来ない犬もいるので、散歩コース内でそういう場所をあらかじめ確認しておく必要があるかもしれません。トイレが済まないと落ち着いて散歩が出来ず、飼い主さんをガンガン引っ張って歩くようなこの場合は、自宅で済ませてから散歩に出てもいいでしょう。

トイレトレーニングとは飼い主さんに「トイレ済ませようか?」と言われたときにその場で済ませられるようになる練習をすることなのです。

一般家庭の場合、どこでトイレをしようが、いつしようがあまり気にならないかもしれませんが、ドッグスポーツをやろうと思ったらトイレトレーニングは必須です。競技中の排泄は場合によって失格になってしまうからです。

おわりに

一歩玄関の外に出れば、カーペット敷きの廊下が続いているマンションであったり、アスファルトが続く住宅街であったりと、都会の犬暮らしはとても制限されているのが実状です。犬のトイレぐらい好きな場所でやらせてあげたいと思う方は沢山いらっしゃるでしょうが、ご近所の迷惑を考えるとなかなか自由にもさせてあげられないでしょう。トイレをしようとするたびに、「あっ、そこはダメ!」とか、道路の真ん中でトイレをしている犬を無理やり引っ張って道路端に寄せるくらいだったら、初めからトイレをしても迷惑にならない安全な場所で済ませてからお出かけしたり、屋内施設に入ったりする方が犬にとってもストレスは少ないのではないでしょうか。

トイレをコントロールするというと人間の身勝手のようにも聞こえますが、犬がトイレをしたい気持ちを少し前に予測してあげることなので、行きたくない犬に無理矢理トイレをするように強要することではありません。もちろん体調が悪い時は犬自身もコントロールが出来ないのでそれは仕方のないことですが、健康であれば、ちょっと折り合いをつけることでお互いのストレスが軽減できますよ。

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三井 惇(みつい じゅん) CPDT-KA、ドッグトレーナー/ドッグダンスインストラクター、ホリスティックケア・カウンセラー

三井 惇(みつい じゅん) CPDT-KA、ドッグトレーナー/ドッグダンスインストラクター、ホリスティックケア・カウンセラー

1997年に迎えたボーダーコリーと始めたオビディエンス(服従訓練)をきっかけ に、犬の行動学や学習理論を学び、2006年WanByWanを立ち上げる。愛犬の出産、子育て、介護と様々な場面でも多くを学び、愛犬のQOLの向上を目指して2008年にホリスティックカウンセラーの資格を取得。2016年自身のトレーニング方法を再確認するために世界基準のドッグトレーナー資格CPDT-KAを取得。現在、4頭目と5頭目のボーダーコリーとドッグダンスの楽しさを広めながら、東京近県で出張レッスンを行っている。
三井 惇(みつい じゅん) CPDT-KA、ドッグトレーナー/ドッグダンスインストラクター、ホリスティックケア・カウンセラー

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