体調不良や病気のサイン?犬の目やにの原因とケア方法
犬の目に目やにがついていることがあります。正常でも少量の目やにが見られることがありますが、多量であったり、色が黄色や黄緑色であったり、べたべたしたものは異常のサインです。
そこで今回は、犬の目やにの原因と治療法や家庭でできるケアの方法をお伝えします。
正常な目やにとは?
目やには、正式には眼脂(がんし)といいます。結膜などから出るムチンという粘液を主成分に、新陳代謝で剥がれ落ちた細胞や老廃物、ゴミなどが混ざってできたものです。少量の白や黒、茶、灰色の目やにであれば、異常ではありません。
朝、犬の目のふちや目頭についていた目やには、昼間はまばたきによって涙とともに目頭に流されます。睡眠時はこの作用がありませんので、健康な犬でも起床時には目やにがついているということはあります。
このような正常な新陳代謝によって出る目やにと、炎症や感染などの目の病気によって生じるものがあります。
異常な目やにとは?
次のような目やにがみられる場合には注意が必要です。このような目やには、何らかの目の病気によって現れている可能性が考えられます。
- 目やにの量が急に増えた
- 黄色の目やに、黄緑色の目やに
- ねっとりとした目やに(粘度がある)
- 眼球にべったりつく目やに
異常な目やにの原因とは
次のような目の病気の症状として、異常な目やには現れます。
ココをチェック!気になる目やにの原因7つ
結膜炎
結膜は、白眼の表面からまぶたの裏側まで覆う粘膜で、外界に接しているので刺激を受けやすく、炎症を起こしやすい部分です。
結膜炎の原因で最も多いのは、細菌やウィルス感染によるものです。また、アレルギーの症状として現れることや角膜炎やドライアイ、まつげの異常などから二次的に起こることもあります。症状としては、結膜が赤く腫れ、涙がふえ、黄色や黄緑色の目やにがでます。
全身の健康状態が悪かったり、免疫力が落ちていたりすると、細菌やウィルスに感染しやすくなり、結膜炎を併発することもあります。
角膜炎
角膜は、黒目の部分を覆う透明の膜で、外部環境から目を保護すると共に、光を透過させる働きを持っています。この部分に異物が入ったり、擦ったりして傷がつくと炎症が起こります。
鼻が短く眼が大きなシーズーやパグ、フレンチブルドッグなどの犬種は、草むらなどで目を傷つけたり目をぶつけやすかったりするため、角膜炎が起こりやすいといわれています。
角膜炎では、強い痛みを生じ、目をしばしばさせ涙の量や目やにが増えます。放置すると角膜の表面が白く濁り輝きがなくなり、さらに進行すると角膜に穴があき、失明に至ることもあります。場合によっては、眼球を摘出する事態にもなりかねません。
ドライアイ(乾性角結膜炎)
涙腺の異常により涙がじゅうぶんに作られないと、角膜や結膜に炎症が起こります。ドライアイの原因は、ジステンパーウィルス感染や炎症、涙の分泌に関係する神経の異常などによるものがありますが、免疫介在性(免疫細胞が自分の涙腺細胞を破壊する)によるものが最も多いとされています。シーズーやパグ、ペキニーズは、他の犬種よりも発生率が高いようです。
実はすごい!涙の主な役割4つ
- 目の洗浄
- 目の殺菌
- 角膜、結膜の表面に潤いを与える
- 角膜に対する酸素や栄養供給
まつ毛の異常
逆さまつ毛やまつ毛が重なって生えたり、生える向きが不規則だったりすることによって、まつ毛が眼球にあたり、角膜炎を起こします。
麦粒腫(ばくりゅうしゅ)
まぶたの縁にあるマイボーム腺は、皮脂を分泌し、涙の蒸発を防ぎ、また目から涙がこぼれ落ちるのを防ぐ役割を持っています。マイボーム腺に細菌が感染して化膿性の炎症が生じたものを麦粒腫といい、まぶたが赤く腫れ、痛みを伴い、涙や目やにが増えるなどの症状を示します。人では、ものもらい、めばちこ、と呼ばれています。
眼瞼内反症・外反症(がんけんないはんしょう・がいはんしょう)
外見内反症は、まぶたの縁の一部もしくは全体が内側に反転し、まぶたの被毛が眼球に接触してしまうものです。一方、眼瞼外反症はまぶたの縁が外側にめくれ結膜が表に露出してしますもので、先天性のものが多く、セント・バーナードやブルドッグ、ボクサーによく見られます。いずれも、角膜や結膜が刺激を受けて、炎症が起こりやすくなります。
目やにの家庭でのケア方法
軟らかい目やにの場合は、折ったティッシュの角を目の縁に当て、目やにの端に引っ掛けて、スッと引くと簡単に取れます。その際に、ティッシュの角を眼球に直接当てないように注意しましょう。
真正面から行うと犬がびっくりしたり、嫌がったりすることがあります。声を掛けて撫ぜながら犬をリラックスさせ、あごの下に手を当てて少し上を向かせます。頭の後からそっとティッシュをだして、なるべく犬に見えないように拭うといいでしょう。
凝り固まった目やには、ティッシュやガーゼに水やローションをたっぷり含ませたものを当てて、ふやかします。根元がふやければ、コームで漉き取ることもできます。またティッシュで丁寧にほぐしながら取ってもいいでしょう。
決して無理やり引っ張ってはいけません。目の周りの小さい毛を引っ張り痛い思いを経験させてしまうことで、目のケアを嫌がるようになってしまいます。
まとめ
愛犬の目の病気の予防はもちろん、美容のためにも目の周りのケアをすることは大切です。
しかし、異常な目やには目の病気の症状です。少しでもおかしいと感じたら、動物病院で原因を追究し、治療することが大切です。
コチラもおすすめ⇒雑菌?アレルギー?犬の涙やけの原因と対策について
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Follow @greendog_com伊東 希(いとう のぞみ) 獣医師、ホリスティックケア・カウンセラー
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