老犬の目~目が見えなくなる原因と対処法
老犬になると、体調の変化も含めて視力の衰えはどうしても避けられません。私たち人間と違い、パートナーの目がちゃんと見えているのかを判断することが難しいのも事実。白内障も含めて視力が衰える原因には、さまざまな理由があります。
たとえば、ふとした瞬間に加齢が進んでいるパートナーの瞳が、白く濁っていることに気づくことはありませんか?「もしかしたら白内障!」と不安にかられてしまいますよね。白内障は水晶体が白く濁ってくる病気ですが、その多くは加齢によるものです。パートナーに嗅覚や聴覚に問題がなければ普段の生活には大きく支障をきたすことは少ないようです。しかし、急に視力を失う重篤な病気を発症しているケースも…。
今回は、老犬の目が見えなくなる原因と対処法について、シニア犬カウンセラーの山本がご紹介します。
目次
老犬の目が見えなくなる原因とは
白内障
老犬の目が見えなくなる原因には、老化によるものと目の病気によるものがあります。老化が原因とされる代表的な病気が白内障です。犬種によって違いはありますが、10歳前後またはそれより若くから発症することもあります。白内障は少しずつ進行するため、視力の衰えに合わせて嗅覚や聴覚などで感覚的に行動する範囲を覚えることができます。犬は普段から視力だけに頼って生活しているわけではないので、少々視力が落ちても普段の生活に不自由はないようです。
犬の白内障に関する記事はコチラ→「愛犬の目が白い!犬の白内障の症状や自宅ケアと予防法」
ブドウ膜炎(筆者の体験記)
白内障が進行すると他の病気を発症するケースがあります。実際に、私の愛犬(12歳イタリアングレイハウンド)は末期の白内障が原因のブドウ膜炎を発症しました。ブドウ膜炎とは、眼球のブドウ膜が炎症を起こす病気で痛みがあります。また、炎症が網膜に影響を与えるため視力の低下を招きます。
犬は目が痛いと訴えてはくれませんが、眠いときのように目を細めていたり、目が開けにくそうに見えたり、前肢で目をこすったりすることで飼い主が気づくことができます。食欲がない場合もありますので、よく観察してください。私のパートナーも前の晩に早めの時間から大人しくなり眠そうな細い目をしていたので少しおかしいと感じました。
朝は普通に起きてきたと思ったら、ある場所から動きが鈍くなり、前に進むのを躊躇しているようでした。顔をみると白目が真っ赤に充血していました。顔を触ると驚く様子を見せたので、かなり視力が低下していることがわかったのです。また、突然に目が見えなくなった愛犬はトイレに行くことができずブルブル震えながら部屋の真ん中で阻喪してしまいました。
幸いすぐに病院に連れて行くことができたので、検査を受けて点眼薬が処方されました。その薬が効いてすぐに炎症がおさまり、2週間経ったころには以前のような目の状態に戻りましたが、白内障が末期の状態なので今後も炎症は起こりやすいから注意する必要があるそうです。ブドウ膜炎でも放っておくと失明する場合がありますので、できるだけ早く異変に気づいてあげる必要があります。
そのほか、視力が失われる原因とは
視力が失われる病気として老犬に多くみられるのは、糖尿病やホルモン系の機能低下があげられます。また、外傷性の視力低下やウィルス感染などが原因となるケースもあります。老犬は運動機能の衰えにより怪我をしやすかったり、免疫力の低下によりウィルスに感染する可能性が高くなったりします。「目やにが増えた」「体が震えている」「目を極端に細める」などパートナーの様子がいつもと違う点があればすぐに獣医師に診てもらいましょう。
家の中で飼い主にできる工夫
加齢とともに視力が衰えるパートナーのために、普段暮らしている室内の環境を整えておきましょう。パートナーの視力の低下は、はっきりとした症状がわかりにくいため気づかない場合も多いのです。そのため、少しずつ老犬生活にふさわしい準備が必要なのです。
怪我を防ぐ
滑りにくい床材にする
パートナーがよく歩く場所は障害物をできるだけ減らす
室内の出角(角が出ている壁や家具)にクッション材を貼る
(L字型シールタイプの商品があります)
失敗をさせない
トイレスペースを広げる、数を増やす、暗いと失敗するようなら照明を用意する
(太陽光で充電できるランタンやセンサー式のライトは経済的です)
散歩コースの安全を確かめる
(電信柱にぶつかったり、溝に落ちたりしないよう注意が必要)
元気をサポートする
目や体の細胞の健康維持をサポートする栄養素を与える
(健康食材についてはコチラ→病気にならないために。老犬の食事~健康維持に役立つ食材とは?)
できるだけ声をかけたり触れ合ったりして、寂しさを感じないようにする
毎日の観察でパートナーの変化に早く気づけるようにする
(目やに、表情、動作、鳴き声の状態、便の匂いや硬さなど)
嗅覚を刺激する美味しい香りのご褒美を与える
(カツオ節の香りは多くのパートナーに人気→老犬にも食べやすいやわらかドライタイプフード)
まとめ
シニア期にさしかかっているパートナーの目がどれだけ悪くなってきているかは、普段の様子からはなかなか判断しづらいものです。また、痛みがあることを教えてくれることもないため、良くない症状が出ていることに気づきにくい場合もあります。そのため、特に老犬はコミュニケーションを密にして体調を観察してあげましょう。
心と体の健康維持をサポートしてあげるのは飼い主の役目。老犬との生活をはじめて迎える方は、どのようなことが起こるのかを知っておきましょう。心の準備ができていれば、パートナーに大きな変化が訪れても落ち着いてケアをしてあげることができますね。
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Follow @greendog_com山本 由能(やまもと ゆの) ペットフーディスト、ペット栄養管理士、犬の食事療法インストラクター上級師範
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