老犬の散歩はどうすれば良いの?散歩の方法と注意点について
犬と暮らしている方なら誰しも、毎日の散歩を日課にしていることでしょう。しかし、年齢とともに足腰が弱ってくる老犬になると、歩き始めてすぐに疲れた様子を見せたり、散歩に出かけるのを嫌がる場合がありますよね。そんな愛犬の様子に「もしかしたら、散歩が負担になっているのでは…」と不安に感じる飼い主さんが多いのではないでしょうか。
そこで今回は、老犬ならではの散歩の方法と注意点について、シニア犬カウンセラーの山本がご紹介します。
目次
老犬を散歩に連れて行くべき3つの理由
老犬であっても、犬にとって散歩は重要な役割を果たしています。ここでは、老犬を散歩に連れて行くべき3つの理由について解説しましょう。
理由その1:運動機能の維持
散歩は、たとえゆっくりしたペースであっても、歩くこと自体が老犬にとっての運動になります。固くなりがちな筋肉をほぐし、関節の動きをできるだけスムーズにさせることができます。さらには、運動によって血行が良くなると代謝が上がり、食事でとりいれた栄養素が体のすみずみまで行きわたります。老犬にとっての散歩は、運動機能を高めるというより、体の機能を維持する意味合いのほうが強いのです。
理由その2:精神面を高める
散歩には、飼い主との密接なコミュニケーションによる、老犬の精神面の向上効果も期待できます。老犬にとって、大好きな飼い主とともに散歩に出かけることは、喜びや安心感につながり、精神面を高めることができるのです。また、室内に閉じこもりがちな老犬には、ある程度の気分転換が必要ともいえます。
理由その3:健康状態を確認できる
散歩では、排便や排尿の回数や状態を明確にチェックできます。老犬になると、急に病気の症状が表われるケースが考えられます。毎日の散歩で排泄状態を確認することで、老犬の健康状態や体調の変化に気付きやすくなるのです。
さらには、散歩を通して目がちゃんと見えているのか、まっすぐに歩けているのかなど、視力の低下や姿勢の変化も確認することができます。これは室内では気付きにくい変化のひとつといえます。たとえば、老化とともに衰える視力は、普段の生活ではなかなかわかりにくいものです。なぜなら、老犬になっても、室内における安全な動線を覚えているからです。散歩の時に、突然として障害物にぶつかることで飼い主さんが初めて気付くケースも…。
特に犬は、後ろ足から老化の症状が表われるケースが一般的です。したがって、老犬との散歩の際には、後ろ足に衰えが見えないかを特に注意することが重要といえます。
老犬を散歩に連れて行く際の注意点
成犬とは異なり、老犬を散歩に連れて行く際にはいくつかの注意点があります。たとえ今は健康状態に問題がなくても、年齢とともに筋力の低下や体力の衰えは日々進んでいるのです。ここでは、老犬を散歩に連れて行く際の注意点をご紹介します。
老犬のペースに合わせる
散歩では、老犬のペースに合わせる必要があります。散歩の所要時間や時間帯、歩く距離や速さなど、老犬の様子に注意しながら調整しましょう。老犬の散歩は、あくまでも犬が主体であることが大切です。こまめに休息をとることはもちろんのこと、語りかけも大切。もし疲れているようだったら、散歩を早めに切り上げて帰宅することも必要ですね。
子どもに老犬の散歩をさせる場合は、飼い主も付き添いながら、老犬の状態をしっかりと把握できる状態で連れて行くことが大前提です。老犬の散歩は、思わぬトラブルが起こる可能性もあるので、子どもだけに任せないで必ず飼い主さん自身が付き添って散歩しましょう。
また、多頭飼いの場合、成犬と一緒の散歩は老犬に負担をかけることになりかねないので注意が必要です。シートやタオルケットを持参して、公園などで成犬を遊ばせながら、老犬とはゆっくり過ごす方法がおすすめですよ。
若い頃とは異なり、毎日必ず散歩に行かなければならないわけでありません。老犬のその日の状態によっては、散歩に出かけない日があっても良いかもしれませんね。
体調の変化に細心の注意が必要
老犬になると、体温調節機能の衰えに加えて、感覚器官が鈍くなります。たとえば、真冬の散歩では、ウェアを着せるなどして体温調節の工夫が必要です。逆に真夏の散歩の場合は、小まめな水分補給と涼しい時間帯を選ぶことが最も重要です。水分補給と合わせて、体を冷やせる量のお水をペットボトルなどで携帯することを忘れないでください。
また、太陽熱によって熱くなった道路は、老犬だけでなく、どの年齢の犬にとっても大きな負担となりかねません。特に気温が上昇する真夏の日中は、決して散歩には出かけないようにしましょう。夕方以降のお散歩の際には、熱のこもったアスファルトの道路を避けることも必要ですね。
もしもの事態に備える
老犬の散歩では、突然の体調の変化などの思わぬ事態が起こる可能性があります。そんな「もしもの事態」に備えるために、携帯電話や緊急でかかりつけの動物病院に連れて行ける交通費程度のお金をお散歩バックとともに常備しておきましょう。
老犬の散歩に関する記事はコチラ→介護が必要な高齢犬の運動不足を解消!老犬の散歩時間や遊び方のコツ
散歩に行けない時の対策法
老犬の体調や天候によっては、散歩に行けない時がありますよね。ここでは、室内でも散歩と同様の効果を得られる対策法をご紹介しましょう。
マッサージやブラッシング
飼い主の手で行うマッサージは、固まった筋肉をほぐし、リラックスさせます。背中やお腹、太ももなどをなでるだけでも効果的です。ブラッシングは、被毛を清潔な状態に整えるだけではなく、代謝を上げたり体の血行を促すマッサージ効果が期待できます。マッサージの変わりにラバーブラシ で撫でてあげても良いでしょう。何よりも、飼い主と直接触れ合うことで老犬に安心感を与えることができますね。
室内で簡単な動作を行う
<足の老化防止>
散歩のかわりに室内でできる運動として、厚めのお布団の上を端から端まで歩かせる方法もおすすめです。わざと歩きにくい状況を作ることで、犬は足を上げて移動しなければならなくなります。柔らかな素材のお布団は、老犬の足に負担をかけることなく筋肉を鍛える効果が期待できるのです。
<後ろ足の老化防止>
老犬の場合、寝たままでは筋肉や関節が固まってしまいます。そこで、まだ元気に歩けるうちからトレーニングをはじめることが理想です。たとえば、パートナーを壁と自分の間に立たせ、オヤツなどを使いながら一歩ずつ後ろ向きに歩く練習をすることのはおすすめです。普段使わない筋肉が動くので後ろ足の機能維持に役立ちます。犬は前足を主体に動かすため、後ろ足から次第に衰えていきます。後ろ向きに歩かせることで、後ろ足の筋肉を使うことになるのです。ただし、無理強いするのではなく、あくまでも老犬の様子を見ながらゆっくりと行いましょう。その際には、ご褒美を用意して褒めることも必要ですね。
<首周りの運動>
他には、伏せからお座りにさせる動作を繰り返すことで運動効果が期待できます。腰に不安がある老犬の場合は、伏せの状態のまま、好みのおやつなどを鼻先に近付けて、左右や上下に頭を動かせるだけで首の運動になります。直立する人間とは違い、頭が前に突き出している犬は、首の筋肉だけで頭を支えています。老化とともに首の周りの筋肉が固まりやすくなるため、頭を動かすことで首のコリを解消する効果があるのです。
老犬が散歩に行きたがらないことに関する記事はコチラ→どうする?老犬が散歩に行きたがらないときにできること
まとめ
足腰が弱ってきた老犬に「果たして散歩は必要なのか」と悩む飼い主さんが多いようです。しかし、成長期を迎える成犬とは異なり、老犬にとっての散歩は運動機能の維持や精神面の向上に効果が期待されます。何よりも、飼い主と一緒にお出かけする散歩は、わずか数分であっても老犬に無上の喜びを与えることができます。老犬の体調を日々判断した上で、かけがえのない楽しい時間を共有するような散歩を提供してあげてください。
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Follow @greendog_com山本 由能(やまもと ゆの) ペットフーディスト、ペット栄養管理士、犬の食事療法インストラクター上級師範
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とってもわかりやすくすぐに役にたつお話をありがとうございました。
1つ1つ意識していたことですが、アドバイスがいくつもいただけ
すぐに愛犬ルキに取り入れてあげたいと思います。
山本先生 これからもいろんな記事を楽しみにしていますね!
今回もどうもありがとうございました~(*^-^*)
yukiko様 コメントをいただきありがとうございます。GREEN DOGの山本です。
嬉しいお言葉をいただき、感謝しております。
ルキちゃんはいろんなケアをしてもらっているようで、幸せですね。
私のパートナーも白内障がすすんだり、太りやすくなったりとすっかりシニア犬らしくなってきました。
お散歩はパートナーとの大切な時間ですから、いろいろ工夫して楽しく過ごしたいと思ってます。
また、いろんな情報をキャッチして記事にしていきたいと思っているので、楽しみにしてくださいね。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。