愛犬にもビーツを~栄養素と簡単レシピ
みなさんはビーツという野菜を食べたり使ったりしたことはありますか?最近では犬用の食品としてもフードの原材料や手作り食のレシピにも使われるようになってきました。
身にも馴染みが少ない食材も多く使われるようになってきました。
ボルシチ(ロシアの煮込み料理)の材料と言えば思い浮かぶ方は多いようですが、「食べる輸血」と呼ばれるほど栄養価が高い野菜。ドッグフードや愛犬の手作り食レシピにも使われるようになってきました。
今回はビーツの栄養素や家庭で出来る簡単な愛犬用レシピについてペットフーディストの山本が説明します。
ビーツはどんな野菜?
ヒユ科の野菜
ヒユ科でも白いビートと赤いビーツがあります。白いビートは甜菜(テンサイ)やサトウダイコンと呼ばれ、食用ではなく砂糖を作るための原料です。
赤いビーツは生でシャキシャキ歯ごたえのあるサラダとして、また加熱するとほくほくした食感になる食用野菜。ビーツは日本国内でも作られて販売されています。旬は年に2回ありますが、あまりスーパーなどでは見かけることが少ない野菜です。私が見たものでは1個200gくらいのものですと400円~500円くらいでした。ジャガイモ、カブ、大根などと比べるとかなり高価格です。
インターネット上では水煮、粉末といった加工品が販売されています。ただし、缶詰の中にはかなり塩味の強いものもありますので、愛犬のために使う場合は添加物が使用されていないものを選びましょう。
豊富な栄養素
ビーツには愛犬の健康にも役立つビタミンやミネラルが豊富。特に特徴的なのは葉酸とベタシアニンと食物繊維です。
- 葉酸
- 特に注目したいのは“食べる輸血”と呼ばれる理由である葉酸(ビタミンB群)。葉酸は、ビタミンB12と一緒に血液を作るために必要な栄養素です。
- ベタシニアン
- 赤色色素はポリフェノールの一種の“ベタシニアン”というもの。抗酸化栄養素として体のイキイキをサポートしてくれるものです。シニア期には摂りいれたいですね。
注意したいこと
- カリウム
- ビーツにはカリウムが豊富です。体内の様々な働きに必要なミネラルです。腎不全など腎臓の機能が低下していて医師から制限されることがあります。その場合はカリウム豊富な食材は避けますが、通常は食事で過剰になることのない成分です。
- 食物繊維
- 腸内細菌のエサとなり、腸の健康に役立つ短鎖脂肪酸を作り出す材料になります。また余分なコレステロールや胆汁酸を吸着して便として排出する働きがあります。体にとってメリットが多いのですが、多すぎても腸の動きを遅くしたり、詰まらせたり、デメリットになることもあります。便秘がち、または下痢しやすい愛犬には少量ずつためして様子をみてくださいね。
- カロリー
- ビーツのカロリーは100gあたり41kcal。これはニンジン(37kcal)より少しおおめ。ジャガイモ(76kcal)よりは少な目です。
調理法
ビーツを食べるとほんのりとした甘み、土臭い匂いを感じます。この土臭さは加熱により少し弱くなります。大根よりずっと硬いので、加熱して柔らかくしたものがおすすめです。加熱の際に貴重な栄養(赤色色素)が流れ出てしまわないよう、皮付きで調理することが基本です。
<茹でる>
シチューなど煮汁ごと食べるなら皮を剥いて調理すると良いでしょう。それ以外は皮付きの調理です。完全に中まで火が通ったかどうかは流水にあてたときに皮が簡単にめくれる状態ならOK(私は串で刺して確かめていますが、この方法は赤色色素が流れてしまうと言われます。)
<焼く>
皮付き丸ごとアルミホイルで包み180℃で40~50分焼く。竹串で刺して中までスッと入れば火が通った状態。
ちなみに私たちが食べる場合は少し酸味のあるものと合わせます。ビーツを使った有名な料理ボルシチはサワークリームを添えますし、サラダはマヨネーズと一緒に食べるとおいしいですよ。ポテトサラダやポタージュみたいなレシピにも適しています。
ビーツの赤色色素はそのまま尿の色にも影響します。ヒトの場合はたくさん食べると血尿が出たのかと驚くこともあるようです。愛犬に与える際も観察してみてくださいね。
愛犬用ビーツを使ったトッピングレシピ
ビーツの水煮を使った、さっと作れる【アンチエイジングなフルーツソース】です。
トッピングの材料の一つにおすすめ。お肉や卵と一緒にどうぞ。もちろん、これだけでも美味しいソースです。
材料
(作りやすい量)
- 水煮ビーツ 30g
- リンゴ(生スライス) 20g
- 寒天(寒天粉を使って固めたもの)大さじ3
※与える量:小型犬は小さじ1~3、大型犬は大さじ1~3程度(1食分)
最低量からはじめて便の状態など様子をみてください。
ビーツとリンゴのソースだけでもいいのですが、そこにブレンダーなどで寒天を混ぜると、とろみのついたジュレが出来ます。
リンゴは少し足すだけで食べやすい味になりますし胃の働きをサポートする有機酸を含みます。寒天は繊維質や水分補給にも良い素材です。夏は冷やしておやつにも。冬はほんのり温めて与えてくださいね。寒天はたくさん与えると下痢や軟便を招きますので、適量として体重5㎏のパートナーで1食につき大さじ1~2杯くらいを目安にして様子をみてください。
タンパク質を加えたい場合は、鶏のささみや卵などでも良いでしょう。(写真はウズラの卵)
おわりに
今回は珍しい野菜のひとつビーツについてご紹介しました。私たちのイキイキした毎日に役だつ野菜なので、見かけたらぜひ一度利用してみてください。私はスーパーで見つけたら1個だけ買います。茹でたものを冷凍して少しずつ使っています。めったに作りませんが夏はバナナやキウイで甘みと酸味を足してスムージーにしても食べやすいですよ。みなさんもお気に入りのレシピを見つけて愛犬と一緒に摂ってくださいね。
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Follow @greendog_com山本 由能(やまもと ゆの) ペットフーディスト、ペット栄養管理士、犬の食事療法インストラクター上級師範
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