2017.02.23介護

愛犬を癒す!シニア・老犬のマッサージ方法~実践編

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愛犬を癒す!シニア・老犬のマッサージ方法~実践編

愛犬もシニアになると、人間と同じように若い頃よりも筋肉の疲労が溜まったり、関節がこわばりやすくなったりします。犬は、どんなところが凝りやすくて、どんな風にマッサージするとよいのでしょうか。今回は、老犬・シニア犬のマッサージ方法を高齢犬の介護に詳しいGREEN DOGシニア犬カウンセラーの山本が徹底解説します。

基礎編はコチラを読む→愛犬を癒す!シニア・老犬のマッサージ方法~基礎編

老犬はどこが凝っているの?

年齢を重ねた犬が凝りやすいのは、弱っている足とは反対の足。弱っている足をかばうために、反対側の足が凝っていることが多いのです。人間だと、たとえば肩凝りや四十肩などの場合、痛くて弱っている方をマッサージしたくなるものですが、犬の場合はそうではありません。弱い足をかばうため力を使って頑張っている方の足をマッサージします。後ろ足の場合、まず真後ろからパートナーを見てみてください。左右を比べて太い方の足がかばっている足。そちらをマッサージします。弱って筋肉が落ちている方の足の治療は、獣医さんに任せましょう。飼い主が行うマッサージでは、弱っている部分は触らないようにします。

まずは全身チェック

首から尻尾のつけ根までをつまんで、固さをチェックします。他より固いところがあれば、そこが凝っている部分。そこを重点的にほぐします。腰が悪い場合は、腰のあたりが固くなります。

足・お尻のケア

特にシニア犬は、後ろ足から弱ってくるため、その分荷重が前にかかり、前足に負担がかかるようになります。そのほか、後ろ足の片方が悪い場合、反対側の健康な足の方に負担がかかります。

シニア期に衰えやすい後ろ足、お尻の筋肉

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筋肉図(後ろ足)

殿筋(でんきん)

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後ろ足が弱るとお尻が小さくなる。「の」の字を描くように撫でる。

大腿四頭筋(だいたいしとうきん)

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大腿四頭筋は衰えやすい。撫でる、揉む、押すとよい。

老犬の運動についてはコチラ→介護が必要な高齢犬の運動不足を解消!老犬の散歩時間や遊び方のコツ

後ろ足の負担を受けて疲れやすい前足の筋肉

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上腕三頭筋はヒトの二の腕の筋肉の位置

上腕筋(じょうわんきん)、上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)

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後ろ足が弱ってくると前足も負担が大きくなる。さする、つまむ、揉む。

首のケア

ヒトの頭は首の骨に乗っていますが、犬の場合は前に突き出た位置にあり、重たい頭を首の筋肉で引っ張って支える必要があります。そのため、首の筋肉ははとても疲労がたまりやすい部分です。

犬は首が凝る!労わりたい首の筋肉

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筋肉図(首、顔)

鎖骨頭筋頸部(さこつとうきんけいぶ)

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首から前胸にかけて流すように撫でる、両手で首を挟んで揺する、手のひらで円を描くように撫でる

特に老犬は首の凝りが強くなります。ひどいときは、首が下向きに固まってしまうことも。首の筋肉が柔らかくなるようにほぐすと改善がみられることがあるので、老犬だからだと諦めずにしっかりケアをしてみましょう。ほんの5分でも首や首の根元をマッサージすることで、頭を上に起こせるようになる例があります。短時間でも、毎日マッサージしてみましょう。

顔周りのケア

顔の筋肉は、毎日酷使している部分。犬は、鼻、眼、耳といった器官をとてもよく使っているのです。とくに疲労がたまりやすい部位をマッサージしましょう。年をとるにつれ、視力や聴力が衰えたり、白内障になったりする犬が増えてきます。そうした老化も、マッサージで血行を促進することにより、老化のスピードを出来るだけ遅らせる可能性があります。

意外に疲れている顔まわりの筋肉

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意外に疲れている顔まわりの筋肉

鼻唇挙筋(びしんきょきん)

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鼻先からマズルの上部を通って、眼までの間にある筋。指でさする。

眼輪筋(がんりんきん)眼の周りを囲むドーナツ状の筋肉

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ごく軽い圧で押す、グルッと眼の周りをさする(眼球ではなく眼の骨のふちを)

前頭筋(ぜんとうきん)目を動かすときに使う筋肉

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視力が衰えると目や耳の周りの筋肉をよく使う。さする。

咬筋(こうきん)

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よく吠える、骨やオモチャなどをよく咬むパートナーは凝りやすい。さすると良い。

耳の根元

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マッサージは愛犬の老化を出来るだけ遅らせることも。

おわりに

筋肉が衰えてきたかどうかは、日々、観察することが大切です。とはいえ、筋肉は短期間で急に落ちるわけではないので、毎日一緒にいるとなかなか衰えに気がつかないもの。

そこで、簡単に観察できるのが写真。可愛いお顔の写真を撮るときには、真後ろからお尻の筋肉や、真横の立ち姿勢の写真も撮っておいて、お尻の筋肉のつき方、頭が下がっていないか、背骨が曲がっていないか、腰部が下がっていないかなどをチェックして、若いときの写真と比較するとわかりやすいですよ。

また、ときどき意識して違う角度からパートナーを観察してみましょう。たとえば、いつも同じ向きに丸まっていたり、爪の減り方が左右で少し違っていたりと、ちょっとしたサインで老化をチェックすることもできます。足腰の片側の筋肉や筋、関節などが固くなると同じ姿勢をとったり、足の動かし方のバランスが悪くなったりすることもあります。

マッサージでケアをすることによって、血流を良くして老廃物を流したり、冷えをなくしたりでき、パートナーが1日でも長く元気でいてくれることを目指したいですね。またマッサージはパートナーを癒すだけでなく、触れ合うことで飼い主である私たちをも癒してくれる素敵なケアです。ぜひお気軽に始めてみてくださいね。

取材・ライティング:白石 花絵(しらいし かえ)/ドッグジャーナリスト

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監修:山本 由能(やまもと ゆの) ペットフーディスト、ペット栄養管理士、犬の食事療法インストラクター上級師範

現在の愛犬との生活がきっかけで犬の食事や心のケアについて勉強を始めたことがご縁となりGREEN DOGへ。 自身も飼い主のひとりとして愛犬との生活を楽しみ介護も経験。 日々の業務では主に犬の栄養学や健康維持に関する情報を発信しています。
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最新記事 by 監修:山本 由能(やまもと ゆの) ペットフーディスト、ペット栄養管理士、犬の食事療法インストラクター上級師範 (全て見る)