愛犬を癒す!シニア・老犬のマッサージ方法~基礎編
愛しい老犬(シニア犬)のパートナー。被毛に白髪がまじり、少しとろんとした優しい表情になって、老犬には老犬にしかない素敵な魅力があります。そんなシニアのパートナーに、QOL(生活の質)の高い老後を送ってもらうために、愛犬のマッサージをしてみませんか。マッサージ前の準備から、実際のやり方も含めて紹介します。
シニアは関節が固まる
あまり運動ができない状態や寝ている時間が長いシニアは特に、関節や筋肉が固まりがちになります。関節の中に体液(普通なら潤滑油の役目をしてくれるもの)が溜まる、滞る状態です。また血行も悪くなり、犬でも四肢の先が冷たく、冷え症のような症状がでていることもあります。
関節や筋肉が固まったまま、急に動かし散歩に行くのは負担がかかります。転倒や炎症など、新たな問題を生んでしまう心配もあります。そこで効果的なのがマッサージ。レンジで温めるカイロをタオルで巻いてまず温めてあげてからマッサージをすると、さらに血流がよくなり筋肉の疲れや痛みがほぐれます。体も温まってくるのでシニアには特におすすめです。お散歩前にマッサージでウォームアップをしてでかければ、痛みを抱えている愛犬も多少楽になります。お散歩を嫌がる、途中で歩かなくなる愛犬に、お散歩前のマッサージをして関節の痛みを軽減してあげると解決することもあります(病気が原因の場合はマッサージでは解決しませんので獣医師に診せましょう)。実は、固まった関節を動かすと痛くて、お散歩を嫌がっている、ということもあります。またお散歩後にはタオルに巻いた保冷剤で少しだけでもクールダウンしてあげると筋肉の疲れを癒すことができるのでおすすめです。ただし冷やしすぎにはくれぐれも注意してあげましょう。
老犬のお散歩についてはコチラを読む→介護が必要な高齢犬の運動不足を解消!老犬の散歩時間や遊び方のコツ
老犬(シニア犬)のためのマッサージの効果
マッサージは、病気を治すものではありません。予防的、補完的なものです。老犬の関節炎などを治すものではなく、関節炎などにならないように予防するもの。関節を固めないように、健康に歩ける日が長くなるように行うケアです。
マッサージをすることにより血行不良をなくし、全身に栄養が行き渡ることを助けます。また血行がよくなれば、不必要な老廃物も排出されるので、むくみなどの軽減も期待できます。
リラクゼーション効果も期待できますが、注目すべきは、愛犬だけでなく飼い主さん自身にもリラクゼーション効果があることがわかっています。犬を撫でたり、触ったりすると、お互いに愛情ホルモン、絆ホルモンと呼ばれるオキシトシンという脳内物質が犬とヒトの両方にでることが科学的に証明されています。オキシトシンによって犬もヒトも、安心感、幸福感に包まれ、穏やかな気持ちになります。また免疫細胞が活性化することもわかっており、その結果、免疫力の向上、自然治癒力のアップが期待できるともいわれています。
また毎日、全身を撫でることにより、身体の小さな変化、異常を発見できます。一緒にいる飼い主さんにしか発見できない小さなしこり(腫瘤)やイボなど、わずかな変化が、ガンなどの大きな病気につながることもありますから、病気の早期発見ができる意味は大きいといえます。
ココをチェック! マッサージをする前の準備
爪は短めに切り、指輪などもはずします
手を洗います
冷たい手は温めます
犬が落ち着ける環境を用意します。
静電気が起きないように手を保湿します
犬は嗅覚が発達しています。気になる手のニオイや汚れを取る配慮が必要。またマッサージ前には、手をこすり合わせて摩擦で手を温めることもできます。多頭飼育の場合は、できれば落ち着いて1頭ずつじっくり向きあってマッサージする時間があれば理想的です。
要注意 マッサージをしてはいけない場合
パートナーが怪我をしているとき、体調がすぐれないとき
飼い主さんの気分が乗らないとき
愛犬の食事の前後1時間
マッサージは、筋肉を包んでいる筋膜をゆるめるという目的なので、やさしく表面のみを柔らかくするように行います。力を入れる必要はありません。一見、これで効果があるのかしら、と思う程度で大丈夫です。表面をほぐすことで中にある筋肉自体の動きもスムーズになるのです。
お散歩の前後にできるマッサージ方法
お散歩前後にぜひ取り入れてほしいマッサージ。もちろんお散歩前後だけでなく、いつでも顔、背中など体全体すべてにおこなえます。ただ犬がリラックスできていない状態で緊張した筋肉にマッサージをしてもあまり意味がありません。犬があくびをしたり床をカリカリしたりなどのカーミングシグナル(ボディランゲージ)をするときは、犬が緊張している合図。無理をせず、リラックスしているタイミングで行いましょう。
マッサージの力加減
撫でる/円を描く/揺する(触り方・手の形は同じ)
押す
揉む
つまむ
さする
掻き撫でる
おわりに
すでに関節炎などの炎症が起きている場合は、マッサージをすることによって悪化することがあります。まず獣医師に診てもらって、マッサージをしてもよいものか、どういう刺激なら効果的なのか、などを確認してからにしましょう。
愛犬へのマッサージは、自分でできるケアであるということ。シニアのパートナーを大切にしている実感が味わえ、自分で何かしてあげられることはご自身の満足感も大きいものです。そのおかげで、いつか来るお別れのときにペットロスが軽減されるともいわれています。シニア犬と過ごす日々には、老犬ならではの愛しさが詰まっていますよね。1日でも長く健康でいられ、一緒に散歩できるように、毎日5分~10分あるいは少しの時間でもマッサージタイムを設けて、愛犬とのコミュニケーションを深める時間をつくってみましょう。
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Follow @greendog_com監修:山本 由能(やまもと ゆの) ペットフーディスト、ペット栄養管理士、犬の食事療法インストラクター上級師範
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