【犬との暮らし】都会の犬たち12~家の中の犬をたいくつさせないためには
ちょっとお題が長くなってしまいましたが、今日は日ごろ外で思いきり遊んでやれない都会の犬たちをたいくつさせないために、家の中でも出来る遊びについてお話しようと思います。
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遊びってなぁに?
数年前から、「犬と遊ぶ」ということに目が向けられるようになってきましたが、それ以前の飼い主は犬と遊んでいなかったのでしょうか。犬が遊んでいると言うと、ドッグランなどの広い場所で嬉しそうに走っている景色が想像されるのではないでしょうか。犬同士で追いかけっこをしながら走る様子は本当に楽しそうで、まさに犬たちの遊びの時間と言ってもいいでしょう。しかし、人間は犬のようには走れません。どうやったら、犬を楽しませてあげることができるのでしょうか。
子犬同士の遊びを見たことがありますか?子犬の月齢によって遊び方は多少変化していきますが、タオルの端を噛みながら兄弟で引っ張りっこしてみたり、プロレスのようにゴロゴロと体当たりでぶつかってみたり、相手の顔に噛みついてみたりと、様々な動きを見せてくれます。
走り回れるようになれば、逃げる相手を追いかけて後ろからアタックしたり、飛びかかったりと、体全体を使って遊びに没頭しています。私たちはさすがに子犬たちのようには動けませんが、子犬の気を引くことはできます。子犬の前で動いてみたり、体にタッチしたり、転がしてみたりと、友達役に近い動きをすることは出来ます。しかも人間は道具を使うことができるので、犬が追いかけたくなりそうなものを見せて、動かすこともできます。
犬は元々狩りをすることが好きなので、本能的に追いかけたり、噛みついたりします。ならば噛みついてもいいものを目の前で動かしてあげれば彼らの本能を刺激することができるのではないでしょうか。
「ウチの子はおもちゃで遊ばないんです。」とおっしゃる方のお話をよく聞いてみると、犬のおもちゃを床に並べてみたけれど、全然遊んでくれないとのこと。床に並べてみるのは別に悪いことではありません。「これはなんだ?」と犬が自発的に見に行くことは犬の好奇心を掻き立てるステップにもなります。しかし、置かれたおもちゃが動かなければどうでしょう。すぐに噛みついて確認するタイプであれば、音がなったりすると楽しくなるかもしれませんが、これはどちらかというと一人遊びに発展してしまいます。
愛犬と一緒に遊ぼうと思ったら、置いてあるおもちゃを魅力的にし、さらにそのおもちゃは自分から取りに行かないと、誰かに取られてしまうかもしれないという競争心をめざめさせてあげることです。そうすることで、犬はそのおもちゃの価値を高め、そのおもちゃを自ら取りに行くことで、本来持っている狩猟本能を満たすことができます。
中には一人でおもちゃを投げて、自分で取ってきて、噛んでまた投げるという完全に一人遊びを楽しむタイプの犬もいますが、それでは飼い主との絆は作りにくいですよね。飼い主が犬と同じ目線でおもちゃに執着していくことで、おもちゃを介して愛犬との共同作業が生まれてくるのです。投げたものを取ってくる「持来」や、ひとつのものを引っ張りっこすることは、犬の狩猟本能を掻き立てる楽しい遊びのひとつです。
犬が動くのをじっと待つのではなく、犬をその気にさせるように飼い主が動いて、遊びの中に引っ張り込んでしまいましょう。その時注意しなくてはいけないのは無理強いしないこと。「ほらほら」とおもちゃを顔の前に突き出すのではなく、追いかけたくなるように、小動物の動きを見せることです。ネコじゃらしならぬイヌじゃらしといってもいいかもしれませんね。
こういった遊びは犬に噛ませることを教えるのではなく、人間を噛むのではなく、噛んでもいい対象物(おもちゃ)を使うことで犬のストレスを発散させる効果がありますが、すでに人間に対する噛みつきぐせが出てしまい、プロのドッグトレーナーなどに、犬を興奮させないように言われている場合は、トレーナーに相談してから始めてください。
頭を使うことも遊びのひとつ
犬と本気で遊ぶことは当然犬も楽しんでくれるので、集中力の切れないタイプの犬であれば、エンドレスに遊びに誘ってきます。例えばディスクが好きな犬であれば、飼い主がヘロヘロになるまでディスクを投げても、咥えて戻ってきては「もっと投げろ。」とせがんでくるでしょう。しかし、体を使うことだけが遊びではありません。
犬は様々なことを学習し、日常的にその能力を駆使しています。例えば来客好きな犬は、お客さんが帰ろうとすると玄関に先回りして、お客さんの靴を持って逃げようとします。そんなバカなと思われるかもしれませんが、犬はちゃんと前後の関係を見て、状況を判断することができるのです。散歩用のカバンを手にすれば、尻尾を振りながら扉の前でワサワサし、スーツを着れば留守番だと判断し自分のクレートに入る。そんな愛犬の様子に気づいたことはありませんか?
犬たちを頭を使ったゲームに誘うのはとても楽しいことです。頭を使ったゲームの中には、様々な動きを教えるものもあります。一発芸のようなトリックもあれば、アジリティやオビディエンスのように行動を教える根気がいるトレーニングもあります。特にクリッカーを使ったトレーニングは、クリッカーが鳴ったら「正解!」と犬に伝えるので、犬にもわかりやすく、次のステップに進みやすいため、犬がゲームのように楽しみながら参加してくれます。
犬は動物ですから当然体を動かすことで体力を消耗しますが、都会暮らしの犬たちがその体力を満足できるまで消費できるとは限りません。しかし、頭を使うことで犬たちは体力の消耗に劣らないほど疲れます。遊び好きの犬たちに、「正解!」ゲームは魅力的だと思いませんか?
鼻を使うと犬は疲れる
体を使うのが狩猟本能をくすぐるのであれば、鼻を使ったゲームも嗅覚が自慢の犬にとってはとても楽しいゲームになります。最近は「ノーズワーク」と言われるドッグスポーツが知られるようになってきましたが、専門的に習わなくても犬と手軽に遊べる方法があります。「探し物ゲーム」です。
我が家が「探し物ゲーム」を始めたのは3頭目となる犬を飼いはじめた時でした。ボーダー・コリーという犬種はとにかく頭がいいと当時(20年前)から言われていました。そこで子犬の頃から家の中でボールを転がして取りに行かせるゲームをやっていた私は、ボールを追いかけさせるだけでなく、部屋のあちこちに隠して探させるゲームを考えました。
もちろん何を探させるのかわからないと犬も混乱してしまうので、ボールを取りに行く遊びの中で、「ボール」という言葉を教えました。教えると言っても、「これはボールだよ。」と言うのではなく、転がしたボールを指さしながら、「ボールちょうだい。」や「ボール取ってきて。」と言うように「ボール」という固有名詞を入れて呼ぶようにしたのです。
「ボール」という名前を覚えた犬に、次は「ボールは?」や「ボールどこ?」「探して」というような言葉を交えながら隠したボールの近くに犬を誘導して、犬が気づいたときに一緒に喜んでみせたのです。こんなことを繰り返していると、犬は「ボール」と「探す」と言う意味をリンクさせ、最後は別の部屋に隠したボールも探して持って来るようになりました。別の部屋と言うことは当然目視出来ない場所に隠しているので、犬は鼻を使わなくてはみつけられないこともわかっています。
「ウチの犬は鼻を使わないのよ。」とおっしゃる方がいます。「落ちたおやつさえ見つけられない。」とか。犬は動体視力がいいので、最初は目で探します。動いている物には瞬時に反応しますが、一度地面に落ちてしまった物を探そうとするとなかなか見つけられません。そこで、目から鼻にギヤをシフトして匂いを追って探し始めるのですが、匂いは直接犬の鼻の方に向かっては来ません。外であれば当然風に乗って流れていきます。すると犬は流れた先から匂いの元を追って戻ってくるので、遠回りをしてしまうこともあるのです。時間をかけて待ってあげると、必ず正解に辿り着けるので、焦って答えを教えてしまわないことも大事です。
こうして嗅覚を使いながら何かを探してみつける楽しみを覚えると、犬たちは真剣にこのゲームに没頭してくれるようになります。頭だけでなく、鼻を使うことでも犬は大変集中するので運動不足の解消にはもってこいの遊びとも言えるでしょう。
おわりに
都会暮らしの犬たちにとって、毎日の散歩で野山を駆け回ることは出来ませんが、犬たちはたいくつすると自分たちでゲームを作り出してしまいます。そのゲームが人にとって困ったことにならなければいいのですが、いつもそうとは限りません。犬をたいくつさせないために、家の中でも手軽に出来る「遊び」に愛犬を誘ってみてはいかがですか?愛犬の隠れた能力に驚かされることは間違いなしです。
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