老犬介護は大変?疲れない、後悔しないための心構えと準備
長く一緒に暮らしてきた愛犬はいつか年をとってしまいます。老化がすすむこことで、私たち人間と同様に身体機能の衰えは避けられません。今は元気でも、この先寝たきりになってしまったら…と不安を抱える飼い主さんが多いのではないでしょうか。特に、初めての老犬介護を経験する場合、愛犬のためにどんな介護が必要なのか、介護の時間が増えると仕事を続けられるだろうか、などわからないことが多いと心配ばかりしてしまいますよね。
そこで今回は、老犬介護の心構えと準備しておくべきことについて、シニア犬カウンセラーの山本がご紹介します。
目次
介護が必要とはどういう状態のことか
毎日一緒に暮らしていると、いつの間にか年老いたパートナーの変化に気づきにくいものです。ハイシニアと呼ばれる年齢を迎えた愛犬の介護はいつから必要になってくるのか。ここでは、シニア期の体の変化と介護でどんなことをサポートするのかについて解説します。
目が見えなくなる
パートナーが少しずつ視力を失う場合は、嗅覚や聴覚などほかの感覚器官で補えるので生活の中での不都合は少ないようです。それでも、ものにぶつかりやすくなったり、明るさの差が激しい場所を怖がったり、さびしそうな声を出したりと行動に変化がみられます。パートナーの通り道に物を置かないようにしたり、家具の角にはクッション材を貼るなど工夫してあげましょう。これまで以上に声をかけて不安をなくしてあげることも大切です。
後ろ足が弱る
多くの老犬は後ろ足から弱り始めます。立ち上がるのに時間がかかったり、震えたり、踏ん張れなくなってきます。できるだけ自分で歩ける機能を維持するためにも散歩が無理なくできるようサポートを考える必要があります。
トイレの失敗が増える
視力が衰えることによってトイレの場所がわからなくなり、阻喪をしてしまうのも老犬の特徴です。なかには、関係部位の筋力の低下により眠りながらお漏らししてしまうケースも…。大きめの防水シートをトイレトレーの下に敷いて、トイレ面積を広くしたり、パートナーが利用しやすいよう場所を考えなおしましょう。犬用オムツも必要になるかもしれません。
ご飯が食べづらい
ご飯を自分で食べることが難しくなったらソフトスプーン やシリンジ で少しずつ口に入れてあげます。飲み込む力が弱い場合は、ご飯をペースト状にしたり、喉越しが良くなるようにとろみのついたスープ状にしてあげたほうが良いでしょう。
夜中に鳴く
ハイシニアになると、夜中に突然鳴きだすことがあります。老犬の夜鳴きは、認知症が進行している代表的な症状ですが、認知症かどうかの判断は難しいため獣医師の診断をおすすめします。夜鳴き対策は、昼間は明るい日差しを浴びさせたり、できるだけ起こしたりして、夜に眠れるよう睡眠のサイクルを整えるようにします。夜鳴きのせいで家族や介護者が睡眠不足になるのは深刻な問題です。獣医師に相談の上、お薬を使うのも選択肢のひとつですね。
準備できること、使い始めるタイミングは
お散歩をサポート
介護用ハーネス
車椅子
- 後ろ足が動かず、前足が元気な場合は後ろ足用車椅子、この反対に前足用車椅子など症状に応じたものがあります。レンタルが利用できる場合がありますので、まずはかかりつけの病院で相談してみましょう。
犬用カート
- たとえ寝たきりの状態になっても、外の空気を吸ったり日差しを浴びたりすることはパートナーの喜びです。大型犬だって大型犬用のカート に乗せられるのであれば、外に連れ出してあげるとよいでしょう。
眠りをサポート
高反発ベッド
- 床ずれを防止するベッド です。柔らかすぎるベッドは足が弱ってきたパートナーには危険です。健康なパートナーにも使えますので早めに使い始めると良いでしょう。長期間使用すれば比較的高額な商品でもランニングコストを抑えられます。
低反発ベッド
- 寝ているときに激しく動き回ってしまうパートナーには、体重でずっしり沈み込む低反発ベッドがおすすめです。
※判断に迷う場合は、専門家に相談しましょう。
生活をサポート
食器台
- 首の筋肉が弱ってきたパートナーには、食器台 を用いて首の負担を減らしてあげましょう。
防水シート
- トイレの失敗が多くなった場合、トイレより広めに敷いて床の汚れ防止に使います。寝ている間の失敗には、洗える布タイプ をベッドの中に敷くとよいでしょう。
犬用オムツ
- 早めに練習して慣らしておくと良いでしょう。オムツ が嫌いにならないよう、たくさん褒めたりご褒美を与えたりするなど工夫してくださいね。
ペットシッター、老犬介護士に相談
数時間でも専門家に任せることで、介護者の体の休息や気分転換ができる
専門家のアドバイスにより正しい介護の方法がわかる
介護の不安や苦労を聞いてもらうだけでも、心の負担が減る
老犬介護とは、基本的には自宅でパートナーのお世話をすることですが、生活の状況によっては介護をするのが難しい場合があります。その場合は老犬ホームに一時預かりしてもらうという選択肢もあります。
老犬介護は、決してひとりで抱え込まないで家族や専門家に相談することが大切です。
おわりに
パートナーは私達よりも早く老いを迎えます。私のパートナー(イタリアングレイハウンド12歳)も老いの変化が頻繁にみられるようになってきました。大切に想うパートナーだからこそ、介護もつい一生懸命になってしまうもの。ですが、心配不安でいっぱいの気持ちや、疲れているのに我慢しているようでは、かえってパートナーに負担をかけることになります。専門家に頼ることも大きな選択肢です。パートナーと一緒に過ごせる時間はできるだけ温かなものにしたいものですね。
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Follow @greendog_com山本 由能(やまもと ゆの) ペットフーディスト、ペット栄養管理士、犬の食事療法インストラクター上級師範
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