【犬との暮らし】心臓病を抱える愛犬と暮らす(1)咳=心臓病?と慌てる前に
アドバンス・ホリスティックケア・カウンセラーの佐藤です。今回から『心臓病を抱える愛犬との暮らし方』について、我が家の愛犬・ブルー(チワワ・13歳)との暮らしを通じて私自身が経験したことを綴って参ります。
ひとくちに『心臓病』といっても、その種類はさまざまありますが、本コラムでは主に小型犬に多いと言われている『心臓肥大』と『僧帽弁閉鎖不全症』について触れていきたいと思います。同じ犬種、年齢ステージ、あるいは同じ疾患に罹っているパートナーがいらっしゃる方の参考になれば幸いです。
目次
我が家の自慢の『健康優良児』
先天性の疾患を持っていたダンディに比べて、ブルーはこれまで特に大きな病気に罹ったこともなく、動物病院のお世話になることはほとんどありませんでした。毎年受診している定期検診でも大きな異常は見つからず、そんな『健康優良児』のブルーを飼い主としてとても誇りに思っていました。
ダンディの診察で一緒に病院へ行っても特に悪いところのないブルーは、例えるならば、けしてスポットライトを浴びることのない、さながら『バイプレーヤー』のような存在でした(もちろん、病気に罹っていないという意味ではとても素晴らしいことなのですが…)。ところが残念ながら、彼が診察台という舞台に上がり『主役』となる日が、遂に訪れてしまいました…。
咳が出た=心臓病?と慌てる前に
全ての咳の原因が心臓病にあるとは限りません。生理的現象によるものや、喉の炎症によって出るもの、臓器(心臓、肺)や気管の異常により誘発されて出るものなど、様々な原因が考えられ、病気を特定するにはきちんと調べなければわかりません。
気管虚脱(逆くしゃみ)の咳
実は、ブルーには若い頃から気管虚脱の傾向がありました。気管虚脱とは、肺へ空気を送る気管がつぶれてしまい、上手に呼吸ができなくなってしまう呼吸器の病気です。チワワなどの小型犬や短頭犬種に多く見られるといいます。『アヒルの鳴き声のようなガーガーという咳をする』といえばピンとくる方も多いでしょう。この特徴的な咳を『逆くしゃみ』と表現をすることもあります。
ブルーの場合、たくさん吠えるなど過度の興奮が続いたあとにこの咳(逆くしゃみ)をすることが多いのですが、回数がそれほど頻繁というわけでもなく、呼吸困難やチアノーゼなどの重篤な症状に陥ることもありません。特に治療を必要とする状態ではないという獣医師の判断により、現在は注意深く見守るという程度に留まっています。
逆くしゃみについて詳しい記事はコチラ→発作?苦しい?犬の逆くしゃみの原因と対処法
気管虚脱が起きる原因
ちなみに気管虚脱が起きる原因としては、先天的な気管の異常、肥満、呼吸器系や心臓の疾患などといったことが一般的によく言われています。ブルーは若い頃の時点では心臓の異常が見られなかったので、おそらく先天的なものが原因と考えられます。
心臓病と診断されるまで
心臓病の薬の副作用について
そして、薬による治療が始まります。まず、ACE阻害薬という種類の薬が処方されました。これは血管を広げて血液の流れを改善する薬で、心臓のポンプ機能(血液を送り出す役割)に負担をかけずに血流を改善することができるといわれています。
ダンディの時もそうでしたが、薬を飲む上で私が一番気がかりなことは、副作用と長期にわたり薬を飲み続けることで蓄積される身体へのリスクです。先生曰く、この薬には副作用がほとんどなく、長期間の服用でも特に心配することはないとの説明をうけたので、安心して飲ませています。
もっとも恐れていた診断が…
それからさらに1年半が経ち、今度は気管虚脱の咳とは異なる症状が見られたので、精密検査をした結果、初期の僧帽弁閉鎖不全症と、それに伴う肺水腫という診断がでました。シニア期の小型犬ということを思い見れば、この診断が出ることはある程度覚悟をしていたものの、やはりショックな気持ちは否めませんでした。
僧帽弁閉鎖不全症とは
心臓には僧帽弁というものがあり、これは心臓が収縮するときに閉鎖して血液が体内に逆流するのを防ぐ役割をしています。僧帽弁閉鎖不全症はこの弁が完全に閉鎖できず、血液が弁の隙間から逆流してしまう状態をいいます。
肺水腫とは
また、肺水腫とはその名前からも分かる通り、肺に水分がたまってしまう状態をいいます。肺に溜まった水は心臓を圧迫し咳を誘発します。ですので、治療としてまず行うこととして、水分を体外に排出するための利尿剤が処方されました。幸いにしてこちらも早期発見が功を奏し、利尿剤を飲み始めて数日で咳もおさまりました。現在では、少量の薬を一日置きに飲ませれば良いという状態で安定しています。
咳の状況を説明できるようにしましょう
私がブルーの咳が頻繁にでることに気が付き始めた時、先生からは「その咳は乾いていますか?それとも、湿っていますか?」と聞かれましたが、それが具体的にどのような状態のことを指すのかがいまいちわからず、返答に困ったことがありました。
咳の状況を言葉で説明することは非常に難しいものです。先にも記しましたが、咳の全ての原因が心臓病にあるとは限りませんので、心臓病か否か(あるいは他の疾患なのかどうか)を診断してもらうために、動物病院を受診する際は獣医師に咳の状況を正しく説明できることがとても大切になってきます。
パートナーが咳をする頻度が増えたと感じたら、その時の様子をあらかじめよく観察して状況を整理しておくことをお勧めします。また、可能であれば併せて動画も撮影しておくと説明がよりスムーズに行えます。
◎咳の状況を説明する際の表現の例
どんな音の咳をするか
アヒルのようなガーガーという音、痰を吐くような感じ、乾いた感じの音、
水分を含んだような湿った感じの音、何かが詰まっているような感じ、など
いつ咳をするか
夜寝ている時、朝方、食事の後、水を飲んだ後、興奮した後、
リードで首が締め付けられた時、など
どこで咳をするか(場所)
散歩の時、家の中にいる時、その他特定の場所にいる時、など
普段(咳込んでいない時)の呼吸の様子
早い感じ、浅い感じ、息苦しそう、など
咳の理由として思い当たることはないか
寒さ、暑さ、空気の乾燥、湿度の高い場所、タバコの煙、生活環境の変化、
既往症がある、など
咳以外に気になる症状や、様子の変化はあるか
食欲がない、元気がない、横にならない、鼻水が出る、熱がある、など
咳はすぐにおさまるか、長引くか
数回咳き込んだだけ、時間にするとどのくらい、なかなかおさまらない、など
咳を繰り返すか、またその頻度(間隔)はどのくらいか
時間を空けずに咳き込む、咳き込まない日もある、毎日咳き込む、など
飼い主ができること
私は「完治はしないけれど現状を維持していけば十分に長生きができるでしょう。」と先生がおっしゃったその言葉を胸に、飼い主としてできる限りの最善のケアを施してあげたいと思っています。
今回お話しした内容は、あくまでも我が家のパートナーのケースです。病気の症状や発作の状態などには個体差がありますので、必ず獣医師に相談の上、適切な処置を行うようにしてください。
【関連記事】気管虚脱を獣医師が解説!苦しい咳、呼吸の症状とケアまで
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Follow @greendog_com佐藤 奈緒子(さとう なおこ) ペットアロマセラピスト、アドバンス・ホリスティックケア・カウンセラー
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