2018.01.09一緒に。もっと、

【犬との暮らし】心臓病を抱える愛犬と暮らす(2)飼い主の心構え

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【犬との暮らし】心臓病を抱える愛犬と暮らす(2)飼い主の心構え

アドバンス・ホリスティックケア・カウンセラーの佐藤です。前回に引き続き『心臓病を抱える愛犬との暮らし方』について、我が家の愛犬・ブルー(チワワ・13歳)との暮らしを通じて私自身が経験したことを綴って参ります。

ひとくちに『心臓病』といっても、その種類はさまざまありますが、本コラムでは主に小型犬に多いと言われている『心臓肥大』と『僧帽弁閉鎖不全症』について触れています。同じ犬種、年齢ステージ、あるいは同じ疾患に罹っているパートナーがいらっしゃる方のご参考になれば幸いです。

ブルーが僧帽弁閉鎖不全症と診断され、本格的に治療を始めてから一年が経過しました。幸いにも早期の発見であったため、それほど深刻な状態ではなかったということで、この一年はとにかく『現状維持』を心がけてきました。

佐藤さんの前回の記事はコチラ→【犬との暮らし】心臓病を抱える愛犬と暮らす(1)咳=心臓病?と慌てる前に

我が家の『心臓病ケア三箇条』

【犬との暮らし】心臓病を抱える愛犬と暮らす(2)飼い主の心構え

獣医師の指示を守ることはとても大切

(1)獣医師から処方された薬を正しく飲ませる
(2)太らせないように体重管理に気を配る
(3)興奮させずに、できるだけ安静にする

どれも当たり前のことなのですが…実はこの普通の決め事を守って続けていくということは、簡単なようで意外と難しいものです。今回は、三箇条のうちのひとつめ『獣医師から処方された薬を正しく飲ませる』ことについてお話しします。

咳が出るのに、何故おしっこを出すの?

僧帽弁閉鎖不全による肺水腫を起こしている可能性があるからと、利尿剤が処方されました。利尿剤とは、尿を増やして水分をより多く排出できるよう腎臓に働きかける薬のことです。前回のコラム にも書きましたが、同じ『咳』でも呼吸器感染症などによるものとは異なるので、咳を鎮めるための咳止め薬は使いません。

犬は、腎臓で血液から老廃物を取り除いておしっこを作り、体の外に出しています。ところが、心臓病が進行すると全身に血液を送り出せなくなるので、心臓に血液が溜まります。すると心臓の近くにある肺の血管にも血液が溜まり、肺にまで血液成分が染み出して『肺水腫』になります。イメージとしては、溺れて肺に水が入ってしまったような状態です。これを放っておくと呼吸困難に陥り、大変危険な状態になります。

心臓病の治療に利尿剤を用いる理由は、おしっこの量を増やして水分をできるだけ体外へ出すためです。結果として、心臓が体中に送り出す血液量を少なくできるので、心臓への負担を減らせるというわけです。

利尿剤の副作用

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不安なことがあれば獣医師に相談しましょう

ブルーの場合、利尿剤を始めてすぐに効果が現れました。数日で咳がピタッと止まりましたが、今まで見たことがないほどのおしっこの量にとても驚きました。

どんな薬でもそうですが、薬には何らかの副作用があります。利尿剤の副作用として代表的なものに、脱水症状が挙げられます。水分を排出するための利尿剤ですが、水分が失われすぎるのもまた、犬の体にとって大きな問題となります。

おしっこをたくさん出すための薬を飲んでいるので当然のことではあるのですが「本当にこれで大丈夫?」と不安に思い、すぐさま先生に相談をしました。

利尿剤は腎臓に直接働きかける薬ですので、おしっこの出過ぎは腎臓の病気を招く可能性も否めないそうです。また、シニアということもあり、多飲多尿の原因は腎臓からきている場合も視野に入れて考えた方が良いというお話も伺いました。

おしっこの量を把握する方法

先生から「どのくらいたくさん出ていますか?」と聞かれましたが、普段からおしっこの量をつぶさに観察していたわけではありません。

そこで、今まで使っていた吸収の良いペットシーツから、敢えて吸収力があまり良くないものに切り替えてみました。利尿剤を飲んだ後と、飲んでからしばらく経った後とでの量の違いを比べて、おおよその目安を把握することにしたのです。おしっこの量の数値化はできなくても、シーツへのおしっこの広がり具合などで視覚的に多いか少ないかを判断でき、とてもわかりやすかったです。

脱水症状を起こしてしまうほどではありませんが、利尿剤を飲むようになってから『多飲多尿』になったことは明らかです。我が家にはブルーの兄弟犬・ダンディもいるので、飲み水の管理を正確に行うことは難しいため、水分の補給は極力食事から摂れるように心がけています。

『正しく』飲んでもらうための工夫

錠剤はそのままの形で飲んでくれればこんなに楽なことはありませんが難しいものですね。

我が家の工夫(錠剤の場合)

    ピルクラッシャー(錠剤粉砕器)を使う

  • 市販のピルクラッシャー 錠剤を粉末状にしてからフードにふりかけると薬の味がするのでフード自体を嫌がって食べなくなる恐れがあります。味覚に敏感なパートナーには不向きかもしれません。特に糖衣錠は、苦味の強い薬を飲みやすくする目的で表面を糖でコーティングしているため、砕くことにより苦味を感じやすくさせてしまいます。
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      食材(茹でた肉や野菜など)に挟んで食べさせる

    • 一口サイズの食材に薬を挟みます。我が家では茹でたささみが一番の好物。大きなサイズで与えると、くちゃくちゃと咀嚼をしている間に口の中で薬を見つけ、ペッと吐き出してしまいます。大きな錠剤はハサミなどで割り、数回に分けて与えると確実。糖衣錠はこの方法がおすすめです。
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        フリーズドライタイプのトリーツに埋め込む

      • 調理する手間が省け、あるていど保存もできるので便利。嗜好性も高いので、確実に薬を飲ませたいときは重宝します。指で簡単に形が崩れてしまうものなので、錠剤を埋め込むにはちょっとしたテクニックが必要ですが…我が家では、薬を飲ませる時の補助食品 として、以前から活用しています。基本はおやつですので、与え過ぎには注意してください。
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        この他、普段食べているフードをふやかして薬を埋め込むのも、手軽ですね。「嗜好性が高いから」という理由で、チーズやパンに包んで与えるというお話を聞きますが、これらには塩分が多く含まれています。心臓病の場合には悪い影響を及ぼしますので絶対にやめましょう。

        時にはハーブの力も借りて

        今現在は咳の回数や頻度も少なくなりとても安定している状態のため、先生の指導のもと、利尿剤を与えるのは一日置きです。我が家では、薬がお休みの日は利尿効果のあるハーブのサプリメントをフードに混ぜて与えます。穏やかに作用するハーブの利点を活かし、体に負担のかからない方法でおしっこが出るように気を配っています。

        心臓病のサポートにおすすめのハーブ

          ホーソンベリー

        • 主に心臓に関係する症状と血流の改善が期待できるハーブ 。心臓の強化、血管拡張・血行促進作用のほか、利尿作用もあると言われています。
           
          他にも、肝機能の強化や解毒のサポートで有名なダンディライオン も、利尿作用があります。心臓病の治療は薬の服用が長期に渡りますので、肝臓をいたわるといった観点からおすすめのハーブです。
        • 最後に

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          飼い主のポジティブな気持ちもケアのひとつ

          薬を毎日正しく飲んでもらうためには、私たち飼い主の知恵と工夫と愛情、あとは…多少の根気(!?)も必要ですね。

          特に小型犬の場合は小さな錠剤でも飲ませるのに苦労される方も多いことでしょう。食事に混ぜれば食べてくれるだろうという飼い主の思惑に反して、お皿にポツンと残った薬を見たときは、とてもがっかりした気持ちになります。そしてつい感情的になってしまいがちですが、そのネガティブな感情はパートナーにも伝わってしまうものです。


          そんな時、私は「小さな口の中でフードと薬をきちんと選別するあの技術…実は、ものすごい特殊能力なのかもしれない!」と、ポジティブに考えるようにしています。そして、上手に飲めた時はしっかり褒めてあげます。些細なことですが、前向きな気持ちでパートナーの病気と向き合っていくことも大切なケアの一環なのです。

          パートナーの体調が一時的に良くなると、薬を休みたくなるかもしれません。ですが、目には見えないところで病気は少しずつ進行しています。決して自分だけで勝手な判断をせず、信頼できる獣医師ときちんと連携を取りながら治療を続けていきましょう。

          ※今回お話しした内容は、あくまでも我が家のパートナーのケースです。病気の症状や状態などには個体差があります。また、ハーブやサプリメントなどを用いる場合は、必ず専門家や獣医師に相談の上、適切な用法や容量を守り使用してください。

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          佐藤 奈緒子(さとう なおこ) ペットアロマセラピスト、アドバンス・ホリスティックケア・カウンセラー

          ルナ・クリエーティブ合同会社代表CEO。幼い頃から常にペットと一緒に暮らし、これまでに犬(16歳)と猫(18歳)を看取った経験を持つ。現在のパートナーはシニア期まっただ中の双子のチワワ、ダンディとブルー。ダンディのてんかんの持病をきっかけにホリスティックケアを学び始め、同じ境遇の飼い主へ情報を発信したいという強い気持ちから、2015年 Agreableを立ち上げる。健康寿命を一年でも長く&老いや病気に負けないカラダづくりをサポートする「愛犬ご長寿アドバイザー」として活動中。特にシニア期のチワワに関しては、12年にわたる飼育経験にもとづいた「飼い主目線」で丁寧にアドバイスを行う。てんかんや心臓病にかかった愛犬を持ち、同じ悩みや不安を抱える多くの飼い主から共感を得ている。ペットの仕事のかたわら、webデザインなどのクリエイティブ制作、ホリスティックケアを導入している動物病院の検索サイト「動物病院.jp」(2017年リリース予定)の運営も行っている。
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