うちの犬が腎臓病に、今の気持ち、今できること
今回は ガニング亜紀 さんの記事です。
ガニング亜紀さんの他の記事はこちら →ガニングさんの記事一覧
わが家の雑種犬のニコは13歳と9ヶ月。13歳になるまで一度も大きな病気も怪我もしたことのないラッキーな犬でした。
「その年齢には見えないね」と言われることも、実は密かに自慢に思っていました。
けれど今年の定期検診の時のことです。
獣医師による診察では「心音もきれいだし、体型も毛艶も良い状態。元気ですね。」と言っていただき、満足して帰って来たら、翌日に血液検査の結果が届き、全く予期していなかった「腎臓に問題がある可能性」を告げられました。
そこからまだ1ヶ月ほどですが、その間に私が考えたこと、獣医さんと相談しながらやっていることなどをご紹介したいと思います。
最初に頭に浮かんだのは「なんで?」
愛犬に何らかの病気の診断が下された時には多くの方がそうだと思うのですが、私も最初に頭に浮かんだのは「なんで?どうして?」でした。
食餌はほぼ100%手作りにして、その時その時の調子に合わせてハーブやサプリメントも取り入れ、必須栄養素も欠かさずに来たのに?
毎日の運動も工夫しながら頭も身体も使えるようにして来たつもりなのに?
できる限り気をつけて来たのに病気になるって、なんで?という気持ちです。
けれども頭の中の半分では「どんなに気をつけていても病気になる時はなるし、良い食べ物や良い刺激と言えど万能ではないよね」ということもわかっていました。
人間だって健康的な生活をしていても病気になることもあれば、不摂生をしていても元気いっぱいで長生きする人もいます。
犬と暮らし始めてから「何事も一筋縄ではいかないのが生き物の心や身体」と、いろいろな場面で何度も痛感して来ました。
では犬の身体のことを考えて良いフードを選んだり、望ましくないものを避けることは無駄なのでしょうか?私は決してそうは思いません。
うちの犬の場合も、食餌に無頓着で運動も適当にしていたら、もっと早くに病気になっていたかもしれないし、若い頃にもっといろいろな不調を経験していたかもしれません。また現在の症状ももっと悪いものになっていた可能性もあります。
愛犬の生活のあれこれに心を砕くのはリスクをゼロにするためではなく、リスクをできる限り小さく抑えるためなのだと、今改めて分かった気持ちです。
獣医師からの説明
さて、血液検査の結果について獣医師から連絡が来た時に言われたことは「クレアチニンとBUN(尿素窒素)の値が高い」というものでした。
どちらも本来は腎臓を通して排出される老廃物ですが、腎臓の機能が低下すると体外に排出されずに血液中に残り、数値が高くなると獣医師のeメールに書かれていました。
その後、当日絶食をした上で再検査をして、ニコの腎機能が低下しているということが確定となりました。クレアチニンは基準値0.5〜1.8であるところが2.0、BUNは基準値7〜27であるところが50という数値でした。前回の検査にはなかったSDMA(対称性ジメチルアルギニン)も検査項目に加わりました。
これも本来は腎臓から排出される老廃物で、腎機能が低下した時にクレアチニンよりも早い時期から上昇するため、腎臓病の早期発見に積極的に活用されているマーカーです。ニコのSDMA値は基準値0〜14のところ18というものでした。尿検査の方は、正常値の範囲内で問題がありませんでした。
このような状態で、かかりつけの獣医師が提案してくださった治療の方針はちょっと意外で、私にとってはとてもありがたいものでした。
獣医師が提案したニコの治療方針
ニコの血液検査について最初に獣医師から連絡があった時に「再検査の結果、やはり腎臓に問題があると確認されたらハーブのサプリメントを投与することから始めようと思います。」と言われており、ちょっと意外ながらもありがたい提案だなと思っていました。
わが家のかかりつけの病院はホリスティックケアも行っているのですが、アメリカの動物病院は特別にホリスティックケアの看板をあげていなくても、ハーブサプリメントを処方する先生は少なくない印象です。
腎臓病が確定となって、説明を受けた時に見せられたハーブサプリメントには『Rehmannia Eight Combination』という名前がついていました。
以前に調べ物をした時に、Rehmanniaは漢方で言うところの『地黄』だと知ったことがあるのですが「ん?地黄にEight?それは八味地黄丸のことでは?」と思い当たりました。
先生に「これはオリエンタルメディスンで使われるチャイニーズハーブのブレンドですか?」と尋ねると、やはりそうでした。
東洋医学の漢方薬はアメリカ食品医薬品局の承認を受けていないため、医薬品ではなくハーブサプリメントという扱いになります。
そういうわけで、ニコは動物用の八味地黄丸を1回1錠1日2回服用しています。動物用と言っても処方は人間用と同じで、1回の投与量を動物向けに与えやすいサイズで作っているだけだそうです。
獣医師によっても飼い主さんによっても考え方は様々で、症状によっても治療の方針は「これだけが正しい」というものはないかと思いますが、西洋医学できっちりと検査をして、東洋医学で体全体のバランスを整えて行くという、この治療方針は私にとってはとてもしっくり来るものです。
まだ与え始めて2週間ほどですが、なんとなく動作や行動が若返って、活力を感じるようになった気がしています。
日常生活の中でできること
腎臓病と言えば、専用の療法食フードもたくさんあるように、食べるものの制限が強いイメージがあります。
獣医師からは「必要なわけではないけれど、この段階で療法食をスタートさせる人もいますがどうしますか?」と聞かれたのですが、必要でないなら療法食フードは使わないことにしました。
食餌は今まで通り手作りの食餌で良いと言っていただきました。先生からは「手作りの食餌の良いところは水分がたくさん摂取できることです。今後市販のフードを与える時には、できれば缶詰を。ドライフードの場合にはたっぷりのぬるま湯でふやかしてから与えてください。手作りでも缶詰でも、水もたっぷり飲めるようにしておいてください。」とも言われています。
タンパク質の制限も今の段階では必要がないとのことですが、念のためリンの摂取量を抑えるために、いま与えている肉や魚の3分の1を卵の白身に置き換えることを相談の上で実行しています。
アメリカのスーパーには卵の白身だけを牛乳パックのような容器に詰めたものが売られているので、これはとても助かります。
おやつに与えていたジャーキーなども極力少なくして、フリーズドライのフルーツやパンプキンベースのクッキーに変えました。乳製品や大豆製品にもリンが多く含まれるため、これらも止めました。
ただ、リンの摂取量を少なくした場合、カルシウムの摂取量もそれに合わせて少なくしなくてはなりません。1日に必要なカルシウム量を下回らないようにしながら調整するという注意が必要です。
おやつのフルーツなども、今の段階ではそれほど心配はないようですが、腎機能の程度によってはカリウムの摂取に気をつけなくてはなりません。
そういうことを考えると、安心できる原材料を使った療法食フードを準備しておくことも必要かもしれないなとも考えています。
おわりに
わが家の長女犬ニコの慢性腎臓病の診断を受けて、今私が感じているのはこの通りです。
いろいろと気をつけていても、必ず良い結果につながるとは限りません。そして何と言っても、どんな犬もいつかは命を終えます。
そんなことを頭のどこかにしっかりと置いた上で、後から悔いることを少しでも小さくするために、笑いながら楽しみながら、ニコの腎臓病と向き合って行こうと思っています。
関連記事 →獣医師が解説!慢性腎不全のメカニズムとケア
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします
Twitterでグリーンドッグ公式アカウントをフォローしよう!
Follow @greendog_comガニング 亜紀(ガニング アキ)
最新記事 by ガニング 亜紀(ガニング アキ) (全て見る)
- ホリデーシーズンは急性膵炎のシーズン?「ほんの少し」が招くリスク - 2023年12月15日
- 愛犬との絆を深める:ミラーリングの魔法 - 2023年11月17日
- 犬が幸せに生きるために大切な3つのCとは - 2023年10月6日