2017.06.19一緒に。もっと、

【犬との暮らし】犬の心を育む3~毎日の散歩が“もっと”楽しくなるポイント4つ

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【犬との暮らし】犬の心を育む3~毎日の散歩が“もっと”楽しくなるポイント4つ

こんにちは。ヒトと犬の心と行動カウンセリングをしている、ドッグメンタルトレーナーの白田祐子です。

愛犬との散歩、楽しいですね。でも、散歩の途中で他の犬と出会ったとき、どのように交流するのが良いのかちょっと憂鬱というお悩みも耳にします。犬同士が交流することは社会的なニーズを満たすための大切な機会です。最大限にその機会を尊重してあげたいものです。今回は、愛犬の正しい交流を助けてあげながら、飼主さん自身ももっと散歩が楽しくなる4つのポイントをお伝えします。どれも基本的なことばかりですが、とても大切なことです。
 
ドックメンタルトレーナー白田さんのこれまでの記事はコチラ→ 白田さんの記事一覧

交流をサポートする4つのポイント

1. 挨拶で友好的な雰囲気をつくる

あなたは愛犬と一緒のとき、同じように犬を連れている方へ挨拶をしますか?アイコンタクトや会釈程度でもよいので、挨拶をする習慣は身に付けておきたいものです。飼主の心のアンテナが不安や緊張、抵抗感に向けられていると、愛犬も不安や緊張を感じてしまいます。友好的な発話は緊張をほぐすので、挨拶をすることは、自分自身だけではなく、愛犬の心やその場の雰囲気を柔らかくする効果があります。また、「いいですか?あまり慣れていなくて」など、犬の状況を事前に伝える機会にもなります。相手の方の犬が穏やかで、交流に慣れている場合は「大丈夫ですよ」など、安心できる声かけをしてくれることもあるでしょう。挨拶をきっかけに、いつかあなたの気持ちに寄り添ってくれる人と出会えるはずです。

「こんにちは」「ありがとうございました」と言ったり、言われたりして気を悪くする人はいませんよね。挨拶を繰り返すことで親近感もわき、人も犬も少しずつ状況に慣れていきます。犬を連れている人同士がお互いの存在を認めあうことは、犬の共感性が身に付くきっかけにもなります。

2. ポジティブな言葉を使って交流を楽しむ

【犬との暮らし】犬の心を育む3~毎日の散歩が“もっと”楽しくなるポイント4つ

飼い主のポジティブな言葉かけが犬に伝わります

もし愛犬が他の犬を苦手にしているなら、あなたが他の犬に対しても友好的な感情を持っていることを日頃から伝えてあげることが大切です。他の犬を見たときに、穏やかな口調になれる言葉を声にしてみてください。できるだけポジティブな言葉を選ぶのがポイントです。声には感情がとても現れるので「良かったね」「楽しいね」「優しいね」など、あなたとあなたの犬が幸せな気持ちになれる、魔法の言葉を見つけましょう。

人はそれが良い方法だと思っていても、なかなか実行できないこともあります。少し面倒とか、恥ずかしいと感じたりすることもあるかもしれません。でも、あなたの気持ちが愛犬に影響を与えていることを忘れないで欲しいのです。くれぐれも「怖いね、怖かったね」など、気持ちがマイナスになる言葉は控えるようにしてくださいね。

3. リードを後ろに引いて自由を奪うのは逆効果

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リードには余裕を持たせます

他の犬を見かけたり出会ったとき、「グイグイと近づくから」「吠えるから」と過剰に心配や警戒をしてリードを強く後ろへ引く人をよく見かけます。犬は他の犬に対して友好的な気持を伝えるために頭を低くします。でも、このときに後ろへ引っ張られると、正しい体勢を取れなくなって逆に相手から吠えられてしまうなど、不幸な結果を招く場合があります。また、横からゆっくり近づくのが犬同士の礼儀ですが、リードに余裕がないと正面から向き合う喧嘩ごしの体勢にもなりがちです。よほど攻撃性の高い犬ではないかぎり、他の犬に近づく時には、リードが緩んだ状態の方が安全な場合が多いものです。私たちの心配からくる行動が、犬の正しい交流の妨げになっていないか見直してみることも大切です。

ワン!ポイントレッスン―リードが緩んだ状態を保つ練習―
「元気があるからしょうがない」と勢いよく犬に引かれたまま歩いたり、「待て!」と犬を引き戻そうと綱引きをすることはおすすめできません。犬は後ろに引かれると、前へ引き戻そうと力で対抗するため脳も体も興奮します。引っ張り癖がある場合、日頃からリードが強く張ったら立ち止まり、緩んだら歩く、を繰り返し練習しましょう。前へ進む欲求を満たすため、引っ張らずに落ち着いて歩く行動選択を犬自身が行うようになります(運動不足や、散歩の回数が少ない場合は嬉しくて前へ引くため、散歩の回数を増やすなど生活習慣の改善が必要です)。

4. 犬を信じて今と向き合う

犬を連れた人と出会ったとき、どちらかの犬が近づこうとしたり歩みを緩めるなど、相手を気にかけている様子が見られたら、立ち止まって機会を与えてあげましょう。ネガティブな部分ばかりに目を向けてすぐに犬を抱き上げるなどして、飼主の都合でせっかくの交流のチャンスを奪ってはいけません。また、犬には犬のルールがあるので、手を出したりせずに見守ってあげることも大事です。「いつも上手くできないから、今日もダメ」「きっと失敗する」と決めつけて行動をすると、その通りの結果になるものです。大切なのは、目の前の状況に向き合い、良いイメージを持つこと。先入観を捨て、犬を信じ、行動を犬に任せてみることも、時には必要なのではないでしょうか。

交流のときに大切なこと

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このまま続けても大丈夫?

終わりのタイミングを見極める

フレンドリーな子にしたいからと、犬のリズムを無視して無理に他の犬へ近づけることは、逆に犬を苦しめることに繋がります。また相手の犬がおとなしくても、顔を背けるなど「今は嫌」と、はっきり意思を伝えていることもあります。愛犬が喜んでいるからといって、双方が異なる感情のまま交流を続けさせるのは、相手の犬にストレスを与えかねます。成功体験で終わらせるタイミングを見極めるのは飼い主の責任。お互いが「良かったね」と、楽しい気分で終わらせることが大切です。

友好的なだけが正しい行動選択ではない

あなたの犬が「気が合わない」「交流を避けたい」と感じた犬と出会ったとき、落ちついてやり過ごす回避行動(無視する)を上手にとれるようであれば、それは正しい判断をしている証しです。回避行動が続いていても心配する必要はありません。そのうち、近づきたいと思える犬に必ず出会えるものです。心を許せる仲間がいたり、うまく交流できない相手がいたりするのは、私たちと同じですね。一生のうちに、お互いが穏やかに触れ合うことのできる、親友と呼べるような犬が1、2頭できれば、とても幸せなことだと私は思います。

友好と回避についてはコチラの記事をどうぞ→ 【犬との暮らし】犬の心を育む2~ニーズとセルフコントロール

おわりに

犬と暮らし犬と付き合うということは、人と犬のプライベートな関係だけではなく、人と人や人と社会といったパブリック(公的)な関係も背負うことになり、さまざまな努力が求められるもの。でも、その努力は犬を幸せにするだけでなく、犬と付き合う前には縁のなかった物事や人や考え方などに出会い、人としての成長や幸せを運んでくれるチャンスなのかもしれませんね。

犬の学習に手を貸すときに私たちがすべきことは、自主性が伸びるようにそっと見守り支えることです。そのためのカギとなるのは信頼関係。次回は人と犬の信頼についてお伝えします。

【関連記事】【犬との暮らし】犬の心を育む4~犬に信頼されるための「3つのC」

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【犬との暮らし】犬の心を育む3~毎日の散歩が“もっと”楽しくなるポイント4つ

白田 祐子(しらた ゆうこ)心理士/ホリスティックケア・カウンセラー

公益社団法人日本心理学会認定心理士。トレーニングスクール、ル・ブラン湘南代表。25年前から犬の気持ちを理解するため犬の行動や心理を独学し、保護施設でしつけなどのボランティア活動を開始。現在のパートナーは、3頭目の雑種の保護犬11歳の女の子。大学で教育学、認知心理学、社会心理学などを専門的に学び、人と犬の関係性や犬の心の成長の研究を行う。2013年にスクールを立ち上げ、飼い主と犬のパーソナリティを重視。思考に訴えかける行動矯正が多くの女性に支持されている。翌年ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。食事の重要性を再認識しフード選びのアドバイスも積極的に行う。里親制度の啓蒙や地域行政と連携した動物相談など、教育、行政、法律と多方面で犬と人の問題に向き合っている。ヒトと犬の関係学会員、愛玩動物飼養管理士、神奈川県動物愛護推進員。
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