2018.08.07子犬のケア

はじめてのお散歩!子犬との散歩を楽しむために知っておきたいこと

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2頭の犬

こんにちは。ヒトと犬の心と行動カウンセリングをしている、心理士でドッグメンタルトレーナーの白田祐子です。

子犬を迎えて今までの生活と変化することのひとつに毎日の散歩があるのではないでしょうか?
犬との散歩は、今までにはなかった出会いや発見の扉が開かれていきます。でも、まだ十分に社会化されていない時期のため、子犬の思いがけない動きに戸惑う方もいるかもしれません。特に他の犬に興奮したり、吠えてしまったりといった行動をとる愛犬も多いのではないでしょうか?
散歩は犬と人それぞれの社会のルールとマナーを覚え、あなたとあなたの犬が信頼関係を築き、互いに気持ちを伝え合えるようになるための大切な時間です。楽しいはずの散歩が苦痛な時間にならないよう、今回は、他の犬との上手なすれ違い方やあいさつをするときの注意点と、トレーニング方法についてご案内します。

基本的な行動を知る

散歩中の犬

他の犬に出会うと、嬉しくて興奮してしまうのは子犬の特徴でもあるため、生後半年くらいまでは、大人の犬たちに大目に見てもらえるパピーライセンスと呼ばれる期間があります。「子供の頃は他の犬と仲良くできたのに」「1歳頃に一度吠えられてから、吠えるようになった」という悩みの声をよく耳にしますが、これは、パピーライセンスが切れても、ルールやマナーを身に付けられず、他の犬に注意されたり無視されたりした結果と考えられます。「成長すると落ち着くよ」という、周囲の言葉を信じて、全くサポートしなければ、成長とともに困った行動へ発展してしまうこともあります。

犬と暮らし始めたら、まず犬の基本的な行動を知ることが大切です。犬の行動はその時の状況や性格によってさまざまですが、どの行動も4つの基本行動に大別することができます。

他の犬と出会ったときの【4つの基本行動】

  • 闘争:吠える、勢いよく向かう、飛びかかる など
  • 逃走:逃げる、隠れる、抱っこを要求する など
  • 回避:見ない(無視する)、通り過ぎる、動かない(フリーズ) など
  • 友好:待つ、接近する、ニオイを嗅ぐ(嗅がせる)、一緒に歩く、遊ぶ など

次に子犬に多い具体的な行動を6つみてみます。

他の犬と出会ったときの【子犬の特徴的6つの行動】

  • 身体を低くして近づく
  • グイグイ引っ張って近づく
  • お腹を見せる
  • フリーズ
  • 立ち上がる(相手に手をかける)
  • 前足を伸ばしてお尻をあげるポーズ(プレイバウ)

4つの基本行動を踏まえて子犬の6つの行動を見ると、4つ全てのパターンがあるように見えます。子犬は成犬と比較すると、他の犬に近づきたい、ニオイを嗅ぎたい、触れたい、遊びたい、甘えたいという欲求をとても強く持っているので、積極的に他の犬に接近したがります。また、犬は元来ルールとマナーを守りながら、群れで平和に暮らす動物なので、子犬にはルールやマナーを学びたいなど、社会性に富んだ欲求もあります。ですから、一見、闘争や逃走に見える行動も、子犬の場合は友好の気持ちから、その行動が発現されていると考えてよいでしょう。実際に子犬の遊びには、フリーズ以外の全ての行動が見られ、成犬は子犬の行動が少々荒っぽくても許しながら、マナーを教えていきます。

6つの行動のうち、前足を伸ばして頭を下げてお尻をあげるプレイバウと呼ばれるポーズは「遊ぼうよ!」と誘う友好のサインです。フリーズは、母犬や兄弟犬と早く離されたり、他の犬に接する機会が極端に少なかったり、他の犬に会わせる時期が遅すぎたなど、近づきたい欲求と「大丈夫かな?」「どうすればいいのかな?」という不安や迷いで動けなくなっている状態。このような時は、無理に犬を動かさず、落ち着いて見守ることで、何事もなければ「怖くないんだ」と覚えていきます。

他の犬たちと上手に付き合うために

街中で出会う犬たち

伏せやお腹見せなど、身体を低くする姿勢は、「何もしません」「仲良くやりましょう」と相手に“友好”を伝えるサインです。このようなサインを犬は生まれながらに持ち合わせていて、成長とともに種類も豊富になると考えられています。

自分の感情をうまくコントロールできず、必要以上に興奮や不安心を高めてしまい、サインをうまく使えない子犬がそのまま成長してしまうと「子犬だから」と許されていた行動も、闘争の行動と解釈されて吠えられたり、「それはマナー違反だよ」と注意されたりするようになります。そうすると「今までは良かったのに何で?」と不満を覚えて、相手に吠え返したり、恐怖心が生まれたりするなど、緊張状態を招いてしまう結果になります。

今、あなたの犬がサインを上手に使えないようであれば、少しずつ使えるようになるために落ち着いて行動することが大切です。

あなたとあなたの犬、そして周囲の犬や人も、みんなが散歩を楽しむためには、犬の4つの基本行動のうち友好の他に回避(スルー)を上手に身に付けさせることが重要です。スルーはあまり好ましくない相手を避けるとき、または避けたいと感じたときに必要な行動です。理想的なスタイルは「落ち着いて友好」か「落ち着いて回避」のどちらかです。

あなたにできること

吠えあう犬

◎挨拶をする:まずはあなたに楽しい!というポジティブな気持ちがなくてはいけません。「あいさつをさせる」「スルーする」のどちらに関わらず、他の犬や飼い主の方に「こんにちは」とあいさつをするオープンマインド(へだてのない好意的な態度)が、あなたの犬にも伝わります。散歩は楽しいことと思ってもらうことが大切です。

◎落ち着く:他の犬が近づいて来たとき、あなたが不安を感じ、緊張をすると、犬も不安になってフリーズしたり、緊張してうまく振舞えなくなったりします。また、あなたが緊張したまま他の犬と接触すると、あなたの犬も相手の犬も緊張して吠えたり、興奮して飛びついてしてしまったりする可能性が高くなります。

◎堂々とする:子犬が母犬にもらう安心感は「自分を守ってくれている」と感じられる、毅然とした態度、つまり「ここは私にまかせておけば大丈夫」と堂々とした態度が子犬に落ち着きを与えます。曖昧な態度をとったり、恐れや戸惑いを感じると、あなたの犬も安心して行動することができず、必要以上に興奮したり、緊張していまいます。

◎ネガティブ感情に引き込まない:他の犬に吠えられたり、あなたの犬がフリーズして前へ進めなかったりしたとき「怖いね、怖かったね」と同情の言葉をかけると恐怖心=褒められる(いいこと)と歪んだ関連付けがされてしまい、恐怖心を持つことから抜け出せなくなります。犬は「今どうすべきか」と「今・ここ」を生きています。過ぎたことではなく今、どうすることが一番いいのかを共有する必要があります。

◎すぐに抱き上げない:犬は嗅覚で情報を集めて安心・安全を判断します。でも、すぐに抱き上げてしまうと、目からの情報(視覚)に頼ることになり、正確な情報収集と状況判断ができず、正体の分からない相手に不安が高まります。また、不安な気持ちの犬をあなたが抱き上げることで、「あー、やっぱり怖い相手なんだ」と判断してしまい、他の犬を視覚で捉えた瞬間、吠えるようになる可能性が高まります。

◎犬同士の接触に介入しない:犬同士が知り合おうとしている時に、あなたがその中に入り込むと犬同士の交流を阻害してしまいます。犬には犬のルールやマナーがあり、互いにその関係性から触れてもいい場所や順番があります。あなたが他の犬に触ることで、あなたの犬がマナー違反をしたと誤解され、知らない人間に触れられることの嫌悪感から、あなたの犬に怒りが向けられる原因にもなりかねません。犬の様子をよく観察しながら「よかったね」など優しく穏やかな声をかけてあげるだけで十分です。

◎今を褒める:上手にあいさつをして穏やかに離れ、何事もなく犬とすれ違うことができたら、すぐに褒めてあげます。悪い行動を注意するよりも良い行動を褒める方が、犬は身に付くと考えられています。また、犬は褒めるのも叱るのも、その行動から2秒以上経過すると効果は下がると言われているため、その場ですぐに褒めてあげます。

◎無理に近づけない:あなたの犬が「どうしよう」「近づこうかな」「ちょっと心配だな」と考えている時に、犬のリズムを無視して、無理に他の犬へ近づけてはいけません。犬⇒むりやり近づけられる⇒不快という流れが他の犬=不快と関連付けされてしまい、吠えたり、怯えたり、興奮したりする可能性は高まります。犬のリズムを尊重して自分から動くのを待つことが大切です。

◎犬に引っ張らせない:あなたの犬がリードをビンビンに張った状態で他の犬に近づいてしまってからでは興奮を静めるのは難しいもの。引っ張り状態は、すでに興奮度が高い状態です。興奮した状態で近づかせないために、犬に引っ張られるような散歩はしないようにしましょう。散歩時にリラックスしていれば、他の犬と出会ってもコントロールできないほどの興奮状態に陥らずにすみます。

◎犬を後ろに引いて制御しない:「バッと跳びついて、迷惑をかけてしまうから」と過剰にリードを後ろへ引くと、犬はますます前へ出ようとして興奮を高めます。友好的な態度頭を低くすることですが、後ろへ引くと上半身が持ち上がり、正しい姿勢を取ることができません。また近づきたいのに近づけないという強い欲求不満は、あなたへの不信感となる場合もあります。さらには首が苦しくなることで犬に会う⇒首が苦しい⇒不快感という流れから他の犬=不快感と関連付けされてしまい、犬を見ただけで吠え、興奮するなど、ますますコントロールしにくい状態へ陥る可能性が高まります。日頃から、リードに余裕がある状態を保てるよう、他の犬との接近前に落ち着かせることが大切です。

◎終わりのタイミングを見極める:あなたの犬が喜んでいても、他の犬が喜んでいるとは限りません。犬の感情を無視して交流をさせては、相手の犬にストレスを与えかねません。成功体験で終わらせるタイミングをあなたが見極め、お互いが「良かったね」「ありがとう」と、楽しい気分で終わらせることは、子犬が成長してからも上手に他の犬と接する土台となります。

スムーズにすれ違うためのトレーニング

あなたの犬がどうしてもすぐに興奮したり不安げにする場合、叱ったり、無理に近づかせたりするのではなく、まず落ち着かせることが大切です。

犬が落ち着いている場合

気をそらす

  • 犬へ気が向くように合図を出す
  • 舌を鳴らすなど

座らせる

  • 号令でも身振りでもよい
  • 座る理由はおやつではなく指示であること

落ち着かせる

  • 座ったらすぐに褒める
  • あなたに集中させる

おやつ

  • 小さなおやつを一粒ずつ数粒あげる
  • おやつを手の中に隠して高くあげるなど、集中時間を保持する

通り過ぎるのを待つ

  • 通り過ぎるのを待つか、互いに興味をもっていれば落ち着いた状態で近づける

【トレーニングで身に付くこと】

  1. あなたに注目するといいことがあった=あなたに注目することを学ぶ
  2. 落ち着くといいことがあった=落ち着くことを学ぶ
  3. 落ち着くと他の犬も落ち着いて通り過ぎることを知る
  4. 落ち着くと、他の犬と仲良くすることができる=自分の欲求が満たされると知る
Yu-ko.shirata,2018

すでに興奮している場合

通り過ぎる

  • その場に立ち止まらない

落ち着かせる

  • 相手への集中と執着をやめるまで離れる

おやつ

  • 合図をしてあなたに注目できたらおやつをあげる(興奮は通り過ぎたことで過去の出来事のため、興奮へのご褒美にはならない)

【トレーニングで身に付くこと】

  1. 通り過ぎたらいいことがあった=スルーすることを学ぶ
  2. 落ち着いていた時は近づけたが興奮すれば近づけないと学ぶ
    注:子犬は他の犬と積極的に交流させるという基本姿勢を忘れず、興奮する前に犬を落ち着かせて、近づけさせる練習も繰り返すこと
  3. いつでも自分の思う通りにはならないと我慢やあきらめを覚える
Yu-ko.shirata,2018

おわりに

積極的に他の犬と交流をすることで、子犬は心身ともに喜びを満たし、時には失敗をしながら「これはダメなんだ」「こうするといいんだ」と覚えていきます。もちろん、そこにはフィーリングの合わない苦手な相手もいるかもしれません。けれど、犬の行動の意味を理解することで、その場しのぎの曖昧な対応は減るはずです。あなたの犬が将来、どのような毎日を送るかは、どのような経験をさせてあげるか、そして正しいサポートとガイドをしてあげているかにかかっています。その結果が犬の性格に現れてくるのです。そのためにも、犬の行動やルールを学ぶことは大切なことです。あなたとあなたのパートナーが、ともに一歩前に踏み出せことを応援しています。

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白田 祐子(しらた ゆうこ)心理士/ホリスティックケア・カウンセラー

白田 祐子(しらた ゆうこ)心理士/ホリスティックケア・カウンセラー

公益社団法人日本心理学会認定心理士。トレーニングスクール、ル・ブラン湘南代表。25年前から犬の気持ちを理解するため犬の行動や心理を独学し、保護施設でしつけなどのボランティア活動を開始。現在のパートナーは、3頭目の雑種の保護犬11歳の女の子。大学で教育学、認知心理学、社会心理学などを専門的に学び、人と犬の関係性や犬の心の成長の研究を行う。2013年にスクールを立ち上げ、飼い主と犬のパーソナリティを重視。思考に訴えかける行動矯正が多くの女性に支持されている。翌年ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。食事の重要性を再認識しフード選びのアドバイスも積極的に行う。里親制度の啓蒙や地域行政と連携した動物相談など、教育、行政、法律と多方面で犬と人の問題に向き合っている。ヒトと犬の関係学会員、愛玩動物飼養管理士、神奈川県動物愛護推進員。