2018.08.17一緒に。もっと、

犬の学習の効率化-後編-

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こんにちは!ケーナイン・ストレスケア・スペシャリストの清水です。
学生時代、楽しい先生の授業は成績も上がったのではないでしょうか? これは何かを学ぶとき、より楽しい方が苦痛も少なく、効率的に覚えることができるということの一例です。
犬の学習も同じで、楽しくそしてゲーム性を持ち、より彼らの期待を引き出す方法だとトレーニングも捗ります。

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期待度増で、喜びも増

これは、何か貰えるかも知れない! という期待で、脳内には少量のアドレナリンやドーパミンなどの神経伝達物質が放出されます。そして、最終的に予想通りご褒美をもらえると、より多くのドーパミンなどが分泌され、これが快感や喜びとなります。また期待を大きく上回る大当たり(ジャックポット)は、通常の4倍とも10倍ともいう快感が得られるという科学者もいます。

このドーパミンですが、記憶にも関与するとされているもので、より強固な記憶として残る手助けをします。

そして、この期待を持たせるトレーニングの相乗効果として、トレーナーも楽しむことができるので、多くの回数をやりたいという気持ちにもなりますし、犬たちの集中力も非常に高く保つことができ、短時間でも内容の濃いトレーニングができる訳です。

スケジューリングとは何か?

そこで必要となってくるのが、スケジューリングです。これは2つの意味合いがあり、1つ目は、トレーニングをいつ何回するのかという計画的なものです。定期的に行えば効果は高く、逆に感覚が空いてしまうと再現性は低くなります。そして2つ目は、1セッションにおいてどのタイミングでご褒美または罰を与えるか?というものです。ここには大きく分けて回数で分けるものと、時間で分けるものがあります。

まず回数で分けるものですが、単純に何回に一回ご褒美をあげるかです。

連続強化(CRS)

一番ベーシックなものは、犬が適切な行動をした場合に毎回ご褒美をあげるものです。これはContinuous Reinforcement Schedule(連続強化)と呼ばれるもので、行動の再現性は短時間で非常に高いです。オペラント的学習 における初期段階に使われることが多いものです。その理由としては、成功例を多く作ってあげ、成功率をあげてあげることが重要となるからです。

オペラント的学習における初期段階に使われることが多いものです。その理由としては、成功例を多く作ってあげ、成功率をあげてあげることが重要となるからです。

最初の段階では、ご褒美がもらえることが嬉しいので、トレーナーにも集中します。もし、最初から複雑な駆け引きをしてしまうと、犬たちは混乱してしまい、やる気を失ってしまったり、こちらが何を希望しているのか分からなくなってしまったりしてしまいます。ですので、慣れるまでは毎回ご褒美をあげることが望ましいのです。しかし、これをずっと続けていると次第にご褒美の価値が下がると共に、トレーニングの面白みも減ってしまいます。そうすると集中力も下がり、結果、質の良い時間は過ごせなくなります。そこで、犬たちが飽きる前に、次のスケジューリングが必要になる訳です。

固定比強化(FR)

●Fixed Ratio Reinforcement Schedule(FR)
 ~固定比強化スケジュール

これはCRが毎回リワードが与えられたのに対して、これは数回に1回ご褒美を与えるというものです。例えばFR=5ということであれば、成功回数が5回に1回ご褒美が与えられるということです。

このスケジューリングへの移行での注意点は、一気に大きな数字まで進ませず、徐々に増やしていくことです。急な数字の増加は、犬の期待を膨らませることを通り過ぎでしまい、途中で犬が諦めてしまうことがあります。こうなると、犬たちはこちらが何をしたいのか見失ってしまい、成功しているにも関わらずご褒美がないという状態になってしまいます。これでは逆効果であり、少しずつ数字を増やすことによって、ゲーム性を高めながら、集中力を継続させ、ご褒美の回数も減らしていくことが可能なのです。

不定比強化(VR)

●Variable Ratio Reinforcement Schedule(VR)
 ~不定比強化スケジュール

これはFRの応用型です。平均値にてリワードが与えられます。例えば、VR=5ということであれば、【総成功回数÷総ご褒美数=5】となっているということです。

しかし、絶対に5回に1回というのではなく、2回で与える時もあれば、7回の時もあり、10回の時もあっても良いのです。あくまで平均値が5になれば良いのです。これもFR同様に、当初は回数を少なく始めた方が良く、犬がルールを把握するまでゆっくり進めることがポイントです。ご褒美がランダムに出現することになるので、より一層理解には時間が掛かるとことになります。ということは、FRの時と同様に、犬が勘違いをしてしまい途中でトレーニングを諦めてしまう可能性があります。しかし、このスケジューリングの大きな利点は、他のどのタイプよりもゲーム性が高く、犬の集中力を牽引し易いことです。

通常のトレーニングでの活用

通常のトレーニングでは、CR→FR→VRというステップで進めて行きます。そして、ある程度慣れてきたら、これらを全てごちゃ混ぜにして行うことも面白いと思います。但し、何か合図を決め、犬に明らかにスケジューリングが変わることを提示する方法だと、お互いの駆け引きも入り、また犬にとってもフェアだと思います。ここまで来ると、犬は逆に「今度はどんなルール?」という感じで見てくることと思います。

最後に

これらの手法は、トレーニングを効率良く行う為にも役に立ちますが、やはり犬との関係がより深くなることが大きな財産です。普通に生活をしている場合、トレーニングに要する時間はそんなに多くありません。ということは、それ以外でどのように一緒に過ごせるかということが重要となります。この時に、より強い絆で結ばれていれば、より楽しい時間を過ごせることができ、犬が「笑顔」になる時間も増えると思います。

すくすく子犬BOX

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清水 克久(しみず かつひさ)

清水 克久(しみず かつひさ)

英国Natural Animal Centre (http://naturalanimalcentre.com/)で、ケーナイン・ビヘイビアーとバッチフラワーレメディを学び、アニマルプラクティショナー(BFRAP)を取得。ストレスケアを中心に、行動学や生理学など科学の面からも解説するケーナイン・ストレスケア・スペシャリスト。元Dog Actuallyライター。ホリスティックケアカウンセラー。
清水 克久(しみず かつひさ)

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