草むらも怖くない!体を保護する犬の毛の役割と安全な虫除けの選び方
気温も上がり、草木の生い茂るこれからの季節、お散歩に出かける際に気になる犬の虫さされ。虫さされは、犬にとって時には重大な病気の原因となることがあります。今回は大切なパートナーを虫から守るために、犬の毛の役割と、注意が必要な虫の種類、また安全な虫除けアイテムの選び方などについて紹介します。
犬の毛の役割とは?
犬の体を覆っている毛は「被毛(ひもう)」と呼ばれます。健康的な犬の被毛は豊かで艶があり、フケなどもありません。犬の毛は、あなたの愛犬が健康かどうかを教えてくれるバロメーターの一つと言えます。
犬種によって毛の特徴はさまざま。でもどの犬の毛にも役割があります。まずは、そんな犬の毛の役割について詳しく見ていきましょう。
体温調節の役割
人間は通常、汗腺から汗を出して体温調節を行いますが、犬の汗腺は体のごく一部にしか発達していません。そのため、犬は全身に汗をかくことができないのです。では、犬はどうやって体温調節をしているのでしょう。
気温が高い夏や、激しい運動をしたときなど、ハァハァとした激しい呼吸をしている犬を見たことがあるでしょう。これは「パンティング」と呼ばれ、呼吸器表面の水分を蒸発させて体温を下げている犬の体温調節の方法です。
けれど、ハァハァとしている犬は胸が激しく動きます。実はこの方法では、筋肉の収縮運動も伴うので、せっかく呼吸で体温を下げられても、その筋肉の運動が体を温めてしまうことがあるのです。犬ってとても体温調節が苦手な動物なのですね。特に体温の放出は苦手といわれています。
そのため、犬の毛には、本能的にちゃんと体温調節の役割が備わっています。夏や冬が近づくと犬の毛は衣替えします。これは体温調節が苦手な犬の大切な機能。ですから、犬の毛が生え変わる春や秋にはマメなブラッシングをして、いつでも快適に過ごさせてあげるようにすることがとても大事なのです。
外敵や刺激から皮膚を守る役割
犬の毛は外敵や刺激から体を保護する役割も持っています。犬の皮膚は薄くてとてもデリケート。紫外線や皮膚の乾燥、草などの刺激から皮膚を保護するには、犬の毛が重要な役目を果たすのです。このように犬の毛には体を守る大切な役割があります。そのためブラッシングでほこりや汚れ、ゴミなどを取り除き、いつも清潔にしておくことが大切です。
注意すべき虫とは?
外敵から皮膚を保護してくれる犬の毛。残念ながら、それでも虫にさされてしまうことがあります。さされる虫によっては、その虫を媒介して病原体や寄生虫に感染する恐れもあり、症状が深刻になることもあるのです。
そうならないように、どんな虫に気をつける必要があるのか、さされないためにはどうしたら良いのかを知って、虫が多い季節に備えましょう。
ノミ
日本にはイヌノミ、ネコノミなど約2000種類のノミがいると言われています。ノミのほとんどがネコノミで、犬にも寄生します。気温が13℃以上で活発になるため、特に5月~10月までは大量発生します。草むらなどにいるノミは、散歩中のパートナーの体につき、やがて室内で繁殖し始めます。
ノミは目に見えている以上にたくさんの数が、卵やさなぎとして隠れています。また成虫は非常に小さくすばしこいため、容易に捕らえることはできません。とても繁殖率が高いノミ。外からパートナー(愛犬)が持ち込み、家の中でも増えてしまうのでそうなると大変です。駆虫薬などで確実にケアして守ってあげることが肝心です。
マダニ
犬のお腹や耳など皮膚のやわらかい部分から吸血し、犬の血液をエサとして成長するマダニ。マダニは血を吸う際に犬の体内に唾液を吐き戻します。この唾液がアレルギー性皮膚炎を起こし、はげしいかゆみを引き起こします。またマダニによって、犬は栄養障害や吸血による貧血になったり、さまざまな感染症になったりします。
マダニは、春から秋ごろにかけて活動が活発なるのでその時期は特に注意が必要です。全国各地の公園や森林、川原などに生息していて、日本に生息する種類は10種類以上、世界的には800以上いるといわれています。
お散歩中にパートナーが草むらや茂みに入っていくときには、しっかり対策をして愛犬を守ってあげることが飼い主の役目です。怖いのは、マダニの感染症は犬だけでなく人にも感染すること。近年ではマダニの感染症で死亡者も出ていますね。マダニについて知識を持って、パートナーと一緒にしっかり予防しましょう。
蚊が運ぶフィラリア
外出の際に気をつけなければならない虫はノミやマダニだけではありません。犬は蚊を介してフィラリアに感染することがあります。フィラリア症とは犬の病気で、犬フィラリアに感染した犬の血を吸った蚊に刺されることによって、健康な犬の体内にフィラリアの幼虫が入り込み感染する病気です。
フィラリアが犬に寄生すると、心臓や肺動脈を中心に成長を続けて約30cmもの長さになり、さまざまな身体的障害を引き起こします。犬フィラリア症は放置すると死に至ることもある怖い病気です。
しかしそんな怖いフィラリア症でも、薬による感染予防の確立は100%。ケアをしてあげれば確実に防ぐことができる感染症です。パートナーを確実に救ってあげられるのですから、蚊が増え始める少し前の時期からしっかりと予防しておきましょう。また予防をせず、屋外で過ごすことが多い犬が食欲不振になったり、咳が続いたりしている場合は、必ず獣医さんに相談しましょう。
虫除けアイテムの選び方
犬を虫から守る虫除けアイテムは、大きく3種類あります。選ぶ際の注意点としては、
- 犬は体をなめることがあるので、体内に入っても問題ない安全性の高いものを選ぶこと
- 犬は嗅覚が鋭いので香りの強いものは避けること
- 虫除けアイテムは必ず犬専用のものを選ぶこと
両方とも犬専用のものを選ぶようにすることがポイントです。ではどんなものがあるのか、ご紹介します。
体や毛に直接つけるもの
パートナーの体全体もしくは部分的にスプレーしてつけるものは、一般的に防虫効果は高いものが多く市販されています。けれどデリケートな皮膚についてしまったり、なめて口に入ってしまったりすることもありますね。必ずパートナーにとって安全な成分が使われているものを選びましょう。
ハーブやアロマオイルといった、化学薬品を含まない植物成分で作られたものを選ぶと安心ですね。
虫除けになるハーブ・・・タイム、パセリ、ナツシロギクなど
虫除けになるアロマオイル・・・ユーカリレモン、ゼラニウム、レモングラスなど
これらの植物由来の成分を使った虫除けアイテムは犬用にブレンドされて市販されていますので、お散歩の時はパートナーの体はもちろん、ウェアやハーネス、リードなどにもつけてあげるといいでしょう。スプレーが苦手なパートナーの場合は、飼い主さんの手にスプレーしてパートナーの体をなでながら塗ってあげるといいですね。
空間に虫除け作用があるもの
庭や玄関、アウトドアなど、広い範囲に作用するものには、蚊取り線香や窓にぶら下げるものがあります。直接つけるタイプのものよりもパートナーの体への負担が少ないのが特徴です。空間に作用するので、パートナーへの防虫効果は低下しますが、室内はもちろん、アウトドアでも使えるものは、パートナーと一緒にみんなで快適に過ごせます。こちらも合成殺虫成分の入っていない、天然成分使用のものがおすすめです。
自分で作る虫除け
アロマオイルを使って、虫除けを作ることもできます。作り方はとても簡単です。
用意するもの:
- 精製水 57ml
- 虫除けになるアロマオイル(レモングラスなど) 3滴
- 無水エタノール 3ml
材料をスプレー容器に入れてよく振って混ぜ、お散歩やお出かけ前に噴霧してあげましょう。大事なのは犬用に作る場合はオイルの濃度を人の1/4~1/10(0.25~0.1%)位に希釈すること。また長期保存はできないので、2週間程度を目安に使い切るようにしましょう。パートナーに初めてアロマオイルを使用するときには、必ずパッチテストを行い、アレルギー反応がないかを確かめることも忘れずに。さらにアロマオイルの濃度は最小量に加減しましょう。
おわりに
犬の毛は、体温調節の他にデリケートな犬の皮膚を外敵から保護する役割を持っています。しかし被毛だけではフィラリアやノミ・マダニは予防しきれません。虫による感染症がなぜ怖いのかを理解して、まずは動物病院やペットショップ等で扱われている駆虫薬や飲み薬でしっかりパートナーを守りましょう。そして毎日のお散歩やお出かけをより安心して楽しむために、駆虫薬やお薬にプラスして、天然由来の虫除けアイテムをうまく取り入れることで、より安全にパートナーを虫から守ってあげましょう。
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Follow @greendog_com「犬のココカラ」編集部 チームGREEN DOG 監修・執筆
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